心の友は突然に・・・
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浩平が何げなく部活に顔を出したとき、彼に微笑みかける少年が居た。 氷上シュンと名乗る少年は、浩平と出会えたことに喜び、同時に悲しむ。 彼、氷上シュンは浩平がもうすぐ永遠の世界へ旅立ってしまう運命だと言うことを見抜いていたのだ。そしてシュン自身もまた生来の病気のためあとわずかの命。 そんな終局へ近づいているという同じ運命を辿る二人。彼らがその短い間で育んだのは、お互いを想う友情の絆であった。 浩平はシュンとの邂逅を生涯忘れ得ないものとした。 シュンはただ祈るのみ。もしかしたら浩平を救えるかもしれない。そう信じて浩平を想いつづける。 その思いが届いたのだろうか? 輝く季節の中を、浩平は再び歩むことが出来たのだろうか? 浩平は見慣れた風景の中で、氷上シュンの笑顔を見ていた。 |
| 好感度 | 10 |
| 忘れられない指数 | 9 |
| 燃え度 | 7 |
| 弟子入り志願発生率 | 5 |

| 概要 | 説明 | |
| 容姿 | 線の細い美形と言ったところだろう | その顔も、身体つきも、そして笑顔も全て、「ガラスのように繊細だね」。故に行為に値すると? うーむ、これじゃホモエンディングと言われても仕方ないかもしれない。 |
| 性格 | 流されず、穏やかで、自分の道を行く | その若さにして悟りを開いてしまった男だから、そりゃ打っても響かない性格にもなるというものだよ |
| 言動 | ごく稀に出現しては、浩平と意味不明の問答を繰り広げる。実は重病。 | 本当は病院に居なければならないのに、それでも同じ境遇にある浩平を何とかしたいと思い、何とか気付いて欲しいと訳の分からない言葉をたたみ掛けるシュン。私自身も意味はわからないが、その気持ちは純粋な優しさと言えるのではないか? |
| 好きなもの | 自分と同じ魂を持つ者 | それはつまり、折原浩平。女より男。誰にも流されないシュンは何の臆面も示さない。 |
| 嫌いなもの | 人間、現実社会 | みんな自分とは違うから・・・。そう思って世捨て人のようにふるまっていた。しかし最後に浩平という男と出会えて幸せだったのだろう。彼こそは希薄な日常において唯一自分の魂を賭けても惜しくない輝きなのだから・・・。浩平がシュンと出会ったのが奇跡なら、シュンにとってもそれは奇跡とも言える邂逅だったのだ。性別を超えた相思相愛の究極形が余すところ無く繰り広げられている。 |
| 特技 | 言葉遊び | 子供のくせに随分と煙に巻く言葉を行使するものだ。しかしなぜかそれがしっくり来るから不思議だ |
私的分析
永遠の世界に旅立つということ・・・。
折原浩平はまだ自分の運命を知らない。
未だ、誰も知り得ない・・・。
そんな日常の中で、
全てを悟り、
全てを知る一人の少年が居た・・・。
氷上シュン
突然に、しかし運命的に浩平と出会った少年。
渚カヲル君か?最後のシ者か?
繊細なところ、世捨て人のような考え方、果ては喋り方まで一緒ではないか。
一体どっちが先なの?
と、そんな疑問は全く以ってどうでもいい。
彼はタダの学生。生徒。だけど浩平に熱い意味深な視線を投げかける、ちょっと妖しい少年でしかない。
その少年はかく言う、
「この出会いは変則的な邂逅だ」、と。
まあ勿論浩平には理解不能であろう。
ギャグを本懐とする浩平にとって、唐突のシリアス路線は打つ手なし。
見も知らぬ男が話し掛けてきて、あまつさえ心の底を見透かしているような瞳で静かに微笑んでいる。
浩平にとってはまさに危険人物であろう。
もしかしたらコイツは自分の全てを握っているのではなかろうか、と。
しかし、同時にそれは浩平のことを最も理解していると言うことにもなる。
漠然とした不安の中で、誰にも言えない、もしかして自分でさえ抱いているかどうかハッキリしない悩みを、シュンは受け入れてくれるかもしれないのだから。
だから浩平はシュンに興味を持ったに違いない。
それはまさにシュンの言うとおり変則的な邂逅。本来出会ってはならないルート。
バッドエンドへのフラグがここに降り立った・・・。
それでもシュンには浩平を惹きつけて止まない存在感がある。
話している間、無意識にシュンへすがっている自分に果たして気付いただろうか、浩平は?
そして結局その邂逅こそが、浩平と永遠の世界とONEの物語を結ぶキーワードとなる。
つまり、絆である。
シュンは、自分に関わらないほうが良いと忠告しているし、浩平も浩平でこれが自分にとって悪い選択肢だと理解しているはずである。
それでも敢えて、シュンに行くこの様はどうだ?
はっきり言って私はこの上なく感動した。
ホモエンディングなどと茶化すのも馬鹿馬鹿しいほどに気高く粋な、魂の共存がここに再現されるのではないか、と。
そう、これはまさに魂の繋がりである。
友情パワー炸裂である。
男ルートでこれほど震えたことははっきり言って無い。
鉄壁のガードを誇る七瀬という上玉を落としておきながら、苦労の末に彼女とクリスマスの約束を取りつけたというのに・・・。
そんな大切な約束をすっぽかした挙句、何を思ったか浩平はシュンの元へ走ったのだ。
いつ交わしたのか思い出せないくらいに希薄な、その頼りない約束が何よりも最優先だ、とそう言うのだ・・・。
そしてそんな浩平の姿にシュンは驚く。しかし同時に違う感情をあらわにした。
「何だか嬉しいよ・・・」
泣いているような、喜んでいるような、そんな複雑な表情で。
多分、嬉しいのだろう。浩平が自分の元へやって来たのは以外だったかもしれないが、間違いなく心から喜んでいるのだろう。
だからこそ、この選択は正しかったのだ。
普段クールなシュンが見せたこの表情は、何よりも貴重だから。
何も言わなくてもその表情が全てを物語っているから。
浩平だって、自分の取った奇異な行動に微塵の後悔も感じていないはず。
それはシュンのために起こした行動、そして浩平自身のために起こした行動だということを忘れてはならない。
シュンの心と浩平の心。
恐らくいずれもがお互いの心境を理解している。
なぜなら二人は親友だから。
出会った回数はほんの数回だけど、その密度は他の誰よりも濃いものに違いないから。
それはつまり、心の友。魂の友。
同じ魂を持つ者だからこそ、何も言わずとも理解できた。
そして浩平自身は気付くまい。
永遠の世界から自分を救い出すための唯一の武器である「現世での絆」。
この時点で浩平はすでに海よりも深い絆を掴み取っていたことを。
クールで華奢で、微笑むこの氷上シュンという儚い少年との交流の中で・・・。
だからシュンは、今にもあの世へ直行せんばかりの病弱の身を顧みず、最後の命尽きるまで浩平のためにその時間を使おうと決心する。
浩平を巻き込んでしまったのは自分だから。そして浩平もそれを分かっていながら尚シュンに愛を投げかけたのだから・・・。
全てに先んじて男である自分を選んでくれた浩平に、
時を見ず永遠の世界に旅立ってしまうであろう浩平を、
いつの日か呼び戻すために。
シュンはただ、自分に出来ることをするだけ。
それはただ、浩平との絆を深めること。
身体など重ねる必要などは無い。形などは必要ない。
なぜなら想いは決して形には出来ないものだから。
ただ、祈るだけで良い。想うだけで良い。深く。誰よりも深く。
それこそが決して他のヒロイン達には真似できない、シュンにしか出来ない浩平への愛の形なのだから・・・。
氷上シュンは病弱でいけすかない男だけど、とても浩平とウマが合うようには見えないけど、
でも本当の親友だ。
だから心の中だけでも良いから素直に言うが良い。
「お前に会えて良かったよ」、と。長森が霞むくらいに最大級の感謝を込めて。
そしてそんな心と心の繋がりだから、シュンが儚く命を落としても、あの世に旅立つとしても、その強き想いは残っている。
浩平が戻ってきたとき、彼の耳にはあのクールだけどとても優しかった親友の声が木霊するのだ。
「僕の思いは届いたかい?」
その罪の無い笑顔を浩平に向けて・・・。
シュンの結末、浩平の結末。
それは、この上なく曖昧。
しかし、シュンの微笑みと、彼の立つ見慣れた風景と、最後に流れるハッピーエンドのテーマ曲。
ならばきっと奇跡は起きたのだと信じている。
浩平と、シュンと。
最も相容れないけど、最も近しい親友同士の友情によって・・・。
だから浩平がシュンにまみえたら、シュンの問いにきっとこう答えるはずだ。
「ああ、届いたよ氷上」と、滅多に見せない笑顔と共に・・・。
これが私の描く、ONE〜輝く季節へ〜における最後の奇跡であった。