一応主人公
目立たない三井の貴重な全身像の一つ(右) (C)ねこねこソフト |
大学生。 引っ越して来た先の街にて、ふと目の前の喫茶店に立ち寄る。 そこで篠崎あやめという喋れない少女に出会い、彼女の支えになりながら、次第に心惹かれていった。 様々な障害を乗り超え最後に言葉を取り戻したあやめと共に、これからも三井はこの街で生きていくだろう。 |
| 好感度 | 2 |
| 忘れられない指数 | 1 |
| 燃え度 | 2 |
| 弟子入り志願発生率 | 1 |

| 概要 | 説明 | |
| 容姿 | 可もなく不可もなく | 恐らく普通の好青年といった感じだろう。特筆されないから分からない。そして特筆する必要もないと思われる。 |
| 性格 | 適当に明るく、適当に流して、適当に生きる | まあ、いわゆる今風の大学生? |
| 言動 | あやめちゃんのいる喫茶店に通う | インパクトが薄いため、通いつめ常連となることであやめちゃんに存在感をアピールする。その必死さは注目したい。 でもそれだけでは決定打に欠けるため、三井は外堀から攻めることを試みた。あやめちゃんの親父をマスターなどと言って慕う様に、三井の抜け目なさが光る。 |
| 趣味 | 不明 | そんなもの知ったところで誰も喜ばないだろう。 |
| 特技 | 無し | 彼は弱々主人公なので・・・ |
私的分析
名作・銀色。
その集大成は4章で、ヒロインはあやめちゃん。
しかしそのヒロインの輝きに反比例するように、主人公はこの上なくくすんでいた・・・。
つまりそれが、三井真也。
この男、余りに特徴が無く、全くと言って良いほど存在感が無い。
ただ、それに尽きる。
所詮主人公などヒロインのオマケに過ぎない。
その不文律を思い知るに、彼は最も適切な資料だったろう・・・。
それにしても、何故三井はこれほどまでに存在感がないのか?
彼は一応主人公。
あやめちゃんというターゲットを発見してから主人公としての義務は発動し、特に過不足無くこなしている。
彼女のいる喫茶店へ通い続ける三井。
そのマメさは不可欠。
そして何かにつけて彼女の相談に乗り、自分への依存心を高める。
気付かないフリをして次第に心を捉えていく狡猾さも、全くの王道だ。
そして緊急事態にもしっかり対応。
あやめちゃん貞操の危機。でも三井はしっかり駆けつけている。
守るべきものを守れる甲斐性。
それも主人公として、男として外せない見せ場であろう。
雄々しい三井にあやめちゃんは釘付け・・・。
そして、
「君が、好きだから・・・」
うわ言を発して傷付く彼女をそっとなだめて、後のフォローにも抜かりがない三井。
キミは充分格好良かったよ・・・。
と、このように主人公としての起承転結は過不足無く果たしているはずだ。
そんな健気な三井くんなのに、何故?
それが分からないから三井は報われないのであり、
だからこそ彼は最後まで弱々主人公なのだろう。
主人公の存在感に関する法則。
この命題に確固たる解を以って立ち向かうには、まだまだ修行不足であった・・・。
タイガー三井
哀れな事実に誰もが嘆く。
しかし最も悩んでいるのは自分自身に違いない。
誰も自分がショボいなどとは思いたくないものだから・・・。
それは三井も同じ。
彼は今までのダメな自分を脱ぎ捨てて、違う自分を演出したいと考えた。
その願望の果てに及んだ決意がこれだ。
積極的な自分。
押しの強い自分。
その比喩として、虎になる。
自分なりの定義付けを行った三井は、あやめちゃんと共にマニアックなえちぃを試みようと強引に事を進める。
どこかズレてしまった彼だが、それによって多少は主人公としての名誉を挽回出来たのかもしれない・・・。
まあ、その後三井が本当の意味で虎になれたかどうかは誰も知らない。
虎になったつもりのコイツに評価を下すのは、所詮他人なので・・・。
しかし、可能性が無いわけではない。
なぜなら他の主人公と違い、彼のことはいくらでもこれから語ることが出来るから。
その根底として、彼が今を生きているから・・・。
他の章の主人公に比べ、あまりに話にならない主人公・三井。
しかし、唯一三井が他の主人公に勝るものがある。
それが、彼が生きているという事実だ。
無念のまま守りたかった少女を失った儀助も、
理不尽に激昂した頼人も、
望まない結末を迎えてしまった志朗も、
後悔と怨恨だけを残して自らの命を絶った大井跡さまも、
彼らはみんな、死んでいる・・・。
現代という時間軸に照らし合わせた時、彼ら全てが過去の人。
いくら当時強々だろうが、死んだ者の歴史を変えることは出来ないのだ。
でも三井・・・、
キミは今、生きてるんだよね・・・。
機会があるなら変える事が出来るかもしれない。
過去を変えることは不可能だけど、その先に未来があるなら、いつか変える事が出来るかもしれない。
それ全て、生きているから出来ること・・・。
悲しみ以外に生み出さなかった銀色の物語の中で、唯一悦びを掴めたあやめちゃん。
その隣に居るのが影の薄い三井だとしても、あやめちゃんにとってそれは幸せ。
一際輝く彼女を守る男として、三井のような男では荷が重いかもしれないが・・・、
それでも彼は生きているのだから。
あやめちゃんと同じく今を歩め、未来を築くことが出来るのだから・・・。
「いつか」という言葉。
「変わる」ということ。
その言葉を吐くことも、それを願い目指すのも、生きていればこそ。
生きている者にしか許されない特権だ。
だから存分に目指せばいい、虎を。
今は弱々でも、いつか強く。
影が薄くても、いつか存在感の主張を。
あやめちゃんの為に、俺の為に、二人の未来の為に・・・。
三井真也、大学生。
何も無い彼、何も知らない街。
そこであやめちゃんと出会って、彼女を得て、
今はとりあえず怪しいえちぃを極めたい・・・。
たとえ今は彼女のオマケでも、
三井の人生はまだまだ続いていくのだから・・・。
と、弁護したところで多分誰も喜ぶまいなぁ・・・。