笹桐月菜
<バルドフォース(戯画)>


不幸指数全快幼なじみ


(C)戯画
透の幼馴染。
昔から透の世話を焼きたがり、事有る毎に彼の後を付け回している。
その結果、ハッキングには向かない性格ながらもステッペンウルフのサポートとして居場所を確立してしまい、透達を健気にサポートしているのであった・・・。

ステッペンウルフ解散後、超一流のセキュリティ会社「V・S・S」からヘッドハンティングされる。
寂しがり屋の月菜は半ば強引に透も入社させるのだった・・・。

以後、彼女は透と共にV・S・Sの精鋭部隊「α-ユニット」のメンバーとなり、シュミクラム操縦の腕を飛躍的に上げていく。洗脳と薬物による破滅的な訓練で精神を削りながら・・・。

結局月菜はその洗脳の虜になり、人類を洗脳によって統率しようとする橘玲佳V・S・S社長の陰謀の手駒と成り果ててしまった。
最後、透の捨て身によって正常な精神を取り戻すも、その後遺症から二度とネット世界にダイブ出来ない身体となる・・・。


<私的データ>
美人 可愛い 明るい 大人 楽観的 ライト 好き 鮮烈 絶大 絶対















美人度 可愛さ 性格 言動 思考 好感度 存在感 萌え度 信奉率











不美人 全然 暗い 子供 悲観的 ダーク 嫌い 希薄 皆無 皆無
 

 

 


独自調査と思い込みによる詳細

 概要 説明
容姿 大雑把であるが、崩れてはいない いかにも下町っ子の容貌。故に色気は皆無であった。
だけどV・S・Sの制服を着た瞬間、そそる女に変身。
これが、女の恐ろしさ・・・。
性格 気さく、快活 その気さくさは、主に馴染みの人間に向けられる模様である。赤の他人と会った時は静かであったり、激情であったり、色々である。
とりあえずバチェラとは大変仲が悪い。
言動 透の世話を焼く、アブない訓練 尽くすタイプには分類出来ないかもしれない。でも透には構って欲しいから、生来のものぐさを封じ込め、色々と世話を焼く。でも根ががさつだから、その行動に隠された恋心に気付かない。
それに気付いたのは、えちぃ特訓を受け始めてから。ある日月菜は「透になら何されたっていい」と言い切るのだった。
趣味 家事? とりあえず透の身の回りの世話は彼女が取り仕切っているので・・・。だがその色気の無い容姿の為、メイドよりも家政婦という言葉が何となく似合う。
特技 オペレーター、シュミクラム ステッペンウルフではオペレーター。V・S・Sではシュミクラムパイロット。でも両者とも大したレベルではないと思われる。
唯一光を放ったのは、α-ユニット入隊後。それも社長の卑猥トレーニングを施されて強化人間になった時のみである。
その時の彼女は既に闇の人間だということに気付かないままに・・・。
 

 

 


私的解釈


(壱)もう一つの道

優哉を殺され怒りに燃える透。
その仇を効率良く探し出すため、彼は「FLAK」いわゆる軍隊への入隊を目論んだ。
だが、復讐という最優先事項を胸に俄然やる気を出す透に対し、早々に水を差す者が居た・・・。

それが笹桐月菜。
ステッペンウルフのメンバーにして透の幼馴染でもある女だ。
そんな彼女は「復讐万歳」と熱を吹く透を冷静に見つめ、突如提案した。


「私と一緒に『V・S・S』に就職しない?」


バーチャル・スフィア・セキュリティー、通称「V・S・S」。
それはハイテク犯罪の蔓延るネット空間で活躍する、大手セキュリティ会社。いわばネット空間の傭兵部隊とも言える存在である。
そのV・S・Sの社長が直々に月菜をヘッドハントし、月菜はそのチャンスを逃さず透も入社出来るよう根回ししていたのであった・・・。

軍顔負けの設備と技術、そして戦闘能力を有したV・S・Sは、まさしくネット世界におけるエリート達の巣窟。大企業に漂う特有の高級感を除けば、透の適性を最も発揮出来る環境である。
彼は本来、ウィザードも夢ではないと言われる実力を持っているのだから・・・。
そこは今まで不当な評価しか受けてこなかった透の人生に転機をもたらす居場所。
彼が飛躍するために最良の選択であるはずだった・・・。

しかし透は即断出来ずに居る。
確かにV・S・Sに入社すれば、今までとは全く違った人生が待っているに違いない。
だがその代償として、透は今までの自分を捨てなければならないのである・・・。
最高級の生活を手に入れるということは、透の自尊心を支えたハングリー精神を切り離すこと。
組織の犬になるということは、自由奔放を旨としたステッペンウルフの誇りを捨てること。
そして何よりも、その選択肢は優哉の復讐を諦めることに繋がるのである。
守るものが出来た人間は、自分の為だけに生きるわけにはいかないのだから。
仇討ちとは、捨て身でしか挑むことが出来ないのだから・・・。

月菜と歩く道は過去との決別。復讐心との決別。
それは親友との決別であった・・・。

優哉の死に報いたい透と、報いることが出来ない透がここで葛藤する。
もはや亡き親友への想いと、今も尚生きている月菜。
かけがえの無い二つの存在を、その天秤に掛けながら・・・。





(弐)決心
その時、月菜は静かに言った。
「自分たちにも幸せになる資格がある」と・・・。
確かに復讐に身を投じれば、いつかは優哉の魂を弔うことが出来るだろう。
だがそれは、いつでも命の危険を孕む不毛な行為。そして結局は自己満足でしかないのだ。
優哉がそんなことを望んでいるとは思えない・・・。

ならば、もう一つの方法で優哉の死に報いるのが望ましい。
それは、ただ幸せになることだった・・・。
はみ出し者でしかなかった自分達が裕福な暮らしを得て社会に認められることは、適わなかった優哉の望みを果たすことに繋がる。
優哉のことを知るのが自分達しか居ないならば、彼の分まで生き抜くのが残された者の義務。
そして幸福だと言えた時、きっとその安らぎは優哉の魂にも届くだろう。

月菜はそう言っているのだ。
優哉もそれを望んでいると、彼女は確信しているから。
何より、透には死んで欲しくなかった・・・。


それは透も分かっている。彼自身が一番よく分かっていた・・・。
だけどそれとは相反する感情が、完全に吹っ切れない自分がそこに居るのだ。
優哉への想いは決して消えないものであり、また消してはならないものなのだ。
その決着をつけない限り、自分は前に進めない。
そのこともまた、自分自身が一番良く知っていた・・・。

だから透は、強情なまでに月菜と口論する。
独りでもやらなければならないと、自分だけ幸せになるなど許されないと、敢えて・・・。
だけど、透の反撃もそこまでであった。


月菜が泣き出してしまったから・・・



駄駄をこねるに止まらず、泣き落としにかかる月菜。
最も卑怯な「女の涙」という手で透を引き止めようとする。
たとえそれが気の知れた幼馴染の涙でも、透にとっては心を狼狽させるに充分だった。
いや、もしかして幼馴染の涙だからこそ心が動いたのだろうか・・・?
それは分からない。しかし、


月菜は独りでは生きていけないことを知ってしまった・・・。



振り返れば過去。
両親の記憶が無い透が世話になった、「笹桐」という他人の家。
そこには彼の父親代わりとなる男が居て、その娘の月菜が居た。
彼女は良くお姉さんぶって、良く透を構って、そしていつも朗らかに笑っていた。

初めて訪れたあの日から、しばらくの間は・・・




だけどいつしか立場は逆転し、月菜は透に懐くようになる。
彼女は透への依存心を強くし、何時であろうと何処であろうといつも彼に着いて来た。
そして、寂しい時には泣くようになった。

父親を失ったあの日から、ずっと・・・



月菜は孤独に耐えられなかったのだ。
誰かに支えて欲しかったのだ。

昔は父親が彼女を支え、その後は優哉やあきら達”ステッペンウルフ”のメンバーが彼女を孤独から守っていた。
だが彼等は死に、散り散りになって、今はもう透しか居ない。
月菜を守れるのはこの世に透しか残っていない。


そんな月菜の弱さが今、透には痛いほど分かった。
V・S・Sの件はただの口実でしかなく、彼女はただ身を委ねることが出来る人に一緒に居て欲しいだけ。
そう、彼女の心が訴えていることを。
止まらない涙に惹き付けられながら・・・。

そんな月菜を放っておくことなど、もう透には出来ない。
仇討ちの夢は始まる前から破れることになるけれど、今ここに泣き止まない月菜が居るから。
優哉の魂を救えるのは透だけだけど、月菜を救えるのもまた透だけだから・・・。


今は生きている者の為に・・・



こうして信念を捻じ曲げてしまった透。
だけど彼の本質は変わらないはず
大切な人間の為に身を賭け、己を投げ出しす本質は、昔も今も変わらないはずだった。
それを誇りに透は今まで生きてきたのだから・・・。

だから優哉もきっと分かってくれる。
これは月菜が望み、透が望み、そして優哉も望んだ結果だと信じている。
彼は、透と月菜のことを誰よりも良く理解してくれていた親友だ。
きっと分かってくれる・・・。


そう自分に言い聞かせながら、透は新たな世界へ足を踏み入れる。
大切な幼馴染と共に・・・。







(参)幼馴染として
貧乏暮らしから脱却した成り上がりコンビ、相馬透と笹桐月菜。
がさつな彼等には不相応過ぎる高級宿舎にて、二人の共同生活が始まったのだが・・・。

何故か二人は同じ部屋。
V・S・Sの社長である橘玲佳の粋な計らいであった。

しかし、この状況はまるで同棲生活。
相馬透は早速ピンチに陥った・・・。
何故なら彼は、幼馴染に女を感じてしまったからである。

子供だと思っていた月菜。
しかし実際のところは年相応に育った胸、腰、尻、太股、その他諸々の部分。何より女としての色気。彼女はそれを既に持ち合わせていた・・・。

そんな、凝視して初めて分かる驚愕の事実。思い出した当たり前。
それは、月菜が幼馴染の前に女だったということである・・・。

艶かしい肉体が透を釘付けにし、
欲情が更なる欲情を呼び、


透の理性は今にも弾け飛ぶ勢い・・・


だけど、ここは踏み止まらなければならない。
月菜が透に抱く好意は、彼女が父親に抱くそれと同じであると、透は知っているから・・・。
今はまだ、仲の良い幼馴染のままでいい。
お互いが自分の気持ちに気付き、ハッキリと口に出来る時までは・・・。








(四)女として

だけど、それに気付く時は意外と早く訪れて・・・。

ネット犯ならば子供であろうと容赦しないV・S・S。
その冷酷さに嫌気が差していた透が、会社を脱走する算段を立てた時のことである。
月菜は予想通り付いて行くと言って聞かなかった・・・。
だが透は月菜に辛く当たり、敢えて彼女を置き去りにした。
自分と共に行動すればするほど、月菜は危険に晒されると確信していたから・・・。
たとえ連れて行きたくても連れて行けない。
もう優哉の時のような悲しみは味わいたくないから・・・。

だけど、それはとんでも無い勘違いであった・・・。

居なくなって分かる、愛しい人の大切さ。
離れて気付く、自分の気持ち。
月菜が透を必要とするように、透もまた月菜を必要としているのだと、こんな状況になってやっと分かったのだ。

だから透はV・S・Sに舞い戻る。
恐らく泣きはらしているであろう、月菜の元に。
自分が月菜と居たいから・・・。


予想通り・・・。
月菜は透の胸で、捨てられた子供のように泣きじゃくる。
それは泣き虫になってしまったあの頃と変わらなかった。
そして彼女を優しく抱きとめる透も、見かけは変わることが無いけれど・・・。


今なら月菜の気持ちが分かる。
好きな人が居ないことが、どれだけ不安で悲しいことか。
その人が側に居てくれることが、どれだけ幸せで嬉しいことか。
月菜の涙の意味が、今では良く分かった。


いつだって月菜は、こんな悲しみを抱えていたのだ・・・



だから彼女をその悲しみから解放しよう。
自分の気持ちに素直になろう。
そうすれば全てが上手く行くに違いない。
月菜は透のことが好きで、透も月菜を愛している。
それを伝えるだけで、幸せは舞い降りてくるのだから・・・。

こうして透はV・S・Sで生きることを決意する。
大切な恋人と共に・・・。

それは、優哉を失ってから初めて感じた心からの幸せだった・・。








(五)兆候
しかし、幸せというものは壊れ易いもの。
磐石だと思えたV・S・Sに、そして月菜に崩壊の予兆が現れていた・・・。

V・S・S内で最強の精鋭部隊「α-ユニット」。
透と月菜はそこに配属され、日夜厳しい訓練を受けていた。
だが、それと同じく頃から月菜にも異変が現れ始める・・・。

次第に感情を表に現さなくなっていった月菜。その能面のような表情。
それに呼応するように、メキメキとシュミクラム技術の腕を上げていく月菜。その非常識過ぎる習得スピード。
そしてその原因となった、地下室での卑猥なトレーニング。


その拷問のようなやり方に、透は絶句した・・・。

同時に狂気を感じずにはいられない。
V・S・Sに。それを統率する橘玲佳という女に・・・。


だけど透の予感は正しくて・・・。
橘玲佳が月菜に施した処置は『洗脳』。
そしてV・S・Sという企業は、来るべき『人類洗脳計画』に先駆けたテストケースの役割を担った組織だったのだ。
透の世界と常識は、ここで崩壊した・・・。


そして月菜もまた、崩壊の一途を辿っていく・・・。






(六)崩壊
洗脳に次ぐ洗脳を施された月菜。
もはや命令に逆らうことなど出来なくて、
ゲンハに弄ばれ、でもその時は透も洗脳されていたから、助けに来てくれなくて・・・。
気付いた時には、取り返しの付かない心の傷が月菜に植えつけられていた。

これは彼女にとって辛い現実。
だけどそれよりも、自分のせいで透まで洗脳の渦に巻き込んでしまったという事実。

そんな自分で居ることが辛い・・・



それでもその辛さと苦しみに、月菜は耐え抜いていた。
大好きな透のことは、まだ心の片隅から消えないから・・・。

透に対する愛だけが、壊れかけた彼女の心を支えていたのかもしれない。
きっといつかいいことが有るはずだと、心の中で願いつつ、月菜は自分と戦っていた・・・。



だけどそんな月菜の健闘虚しく、またも洗脳の虜。
橘玲佳の命令に抗えず、愛する透の前に敵として立たされる。

透は殺したくない。
でも殺せという命令に逆らうことも出来なかった・・・。
自分に対して戦闘態勢を取る透を止められないのは、悲しい光景。
だけどそれよりも、そんな状況に透を追い込んでしまったのは他ならぬ自分自身だという事実。

そんな自分を止めれなかったことが悲し過ぎる・・・



これが洗脳された者の運命。
月菜の人生は、他人に操られていると同様だった・・・。




それでも最後まで透のことを想い続けていたから、最終的には生きて帰ることが出来た。
洗脳という恐怖を克服し、透とまた歩むことが出来た。
いつかいいことがあればと願っていた末に、一番大切なものだけは無くさずに済んだのだ。
愛の為せる技か、とにかくこれで月菜は不運な過去を清算し、新たな人生をやり直す。
誰もがそう思っていた。

だが・・・、



最後の最後に仕掛けられた罠。
洗脳の後遺症と、それによって傷付いた脳内チップによる副作用。

そして月菜のチップはショートした・・・


それが意味するのは、ネット世界に二度とダイブ出来ない現実。
もはや通常の生活すら送れないという烙印。
全てがネットで成り立っているこの世界において、月菜はもう一人では生きていけない・・・。

これこそが、彼女にとっての真の崩壊。
不幸過ぎるヒロイン・笹桐月菜の人生は、こうして幕を閉じた・・・。







(七)希望
それでも、月菜の生が幕を閉じたわけではない。
ネットの世界を覗けなくなったとしても、月菜にはまだリアルの世界が残っている。
二本の足でしっかりと立ち、生を感じることが出来た・・・。

そして側には透が居る。
一人では生きていけないけど、透が彼女を支えてくれている。
だから彼が支えてくれる限り、月菜が絶望することは決して無かった。
大切な人がそこに居るのなら、人は上を向いて生きていけるから・・・。




こうして二人は過去のネット世界に決別し、リアルの世界に未来を描く。
優哉はもうどちらの世界にも居ないけど、いつか彼には会えるだろう。
だけどそれは、透と月菜の生が終わった時だから・・・。



今は会わなくていい。
二人はまだ、優哉との約束を果たしてないのだから・・・。

二人で生き抜くという約束を、
二人で幸せになるという約束を、

それが叶えられた時、きっと優哉は二人に笑いかけてくれるだろう。




そう信じて、今は精一杯生きていく。
ネットの世界に生きられなくてもリアルの世界で・・・、
一人ではなく、二人一緒に・・・。





全てはこれから・・・




透と月菜の人生はこれから・・・