白河さやか<水夏(サーカス)>
「おむすびころりん、すっころりん♪」
![]() (C)サーカス |
常盤村で絵画の塾を開いている白河律の一人娘。 父と同じく絵に関しては天才と呼ばれるが、父のことは嫌い。 それを紛らわすためか、塾の唯一の生徒であり、学校の後輩でもある上代蒼司にちょっかいをかけて楽しんでいる毎日であった・・・。 いつも笑っているが、本当は寂しがり屋であり、それを埋めるためか蒼司と恋人関係になる。それで日常は楽しく続いていたのだが、ある時父がさやかを題材にしたがっていることを聞きつけ、普段の父の奇行と照らし合わせて彼女は身の危険を感じる。蒼司の助けも借りて何とか自分の身を守りたいと必死であるが、実はそれは大いなる誤解であることに気付く。 父が娘を心から愛し、それに気付いたとき、父はこの世を去っていた。 蒼司という大切な人を得て、父という大切な人を失ったさやか。 それでも彼女は父と母の想いを受け取り、笑顔で過ごすと心に誓う。 事故で絵が描けなくなった身で、それでもこの夏の物語をこれからの子供達に伝えるために、物書きという自分を目指して・・・。 |
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白河さやか<どっちかって言ったら>![]() |
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| 概要 | 説明 | |
| 容姿 | 美人。流れるような黒髪。華奢な体。麦わら帽子愛用 | 何をしても絵になるほどの美人だと蒼司はのたまう。よほどの上玉だ、ぐへへ・・・。とか言ってもその笑顔の何と素敵なこと。邪な心も吹き飛んでしまうというものだ。まさにお嬢様。金持ちじゃないけどお嬢様という言葉がピッタリだ。またはお姫様とも言う。蒼司は全く良い言い回しをするぜ。 つまり、これが名は体を現すということ。 そしてその比類なき萌えお嬢様の頭にはセンスの光る麦わら帽子が・・・。美人は何を装着しても絵になるものだよ。 |
| 性格 | のんびりほのぼの犬チック | おおらかというよりは、まるで子供みたいな性格。もしその上目遣いに甘える仕草に落ちない男が居たとしたら、それは異常だ。つまり、それほどにたまらんのだよ。 「さやか先輩ボクが守りますっ!!」。 フヌケの誕生だなこりゃ・・・。 |
| 言動 | 蒼司と一緒に絵を描いたり昼寝したり・・・ | さやか先輩と肩を並べるだとっ!!羨ましすぎるぞ蒼司!!ハンモックでもひまわりでもいいからとにかく彼女の近くに行かせて欲しいと思っても、それは至極正常な妄想。 |
| 趣味 | 昼寝。散歩。 | 眠る姿はお姫様。散歩する姿はお嬢様。 お姫様、今私めがその眠りから起こして差し上げますよ〜、ぐへへ・・・。 という感じで変態を増殖させるさやか先輩の罪深きことよ・・・。 |
| 特技 | 絵 | そりゃ天才だから・・・。 でも父親は嫌いらしい。本当の気持ちを知れば、きっとさやかにも違う道が待っていたというのに・・・。悲しくも不器用な天才親子に一筋の涙を・・・。 |
私的分析
絵が好きで、
自分も絵になるお嬢様。
片田舎に凛として輝く華のように、一見清楚なお嬢様。
でも本当は子供っぽくて、よく笑う。
そんな、さやか先輩。
だけどそれだからこそ周囲の目を惹きつけて止まない存在。
ただ、そこに居るだけで絵になり、華になるひと。
周りの空気さえも彼女に感化されて優しさを増していく。
そんな先輩には、
麦わら帽子と、何よりも笑顔がよく似合う
彼女はいつも笑っている。ひまわりのような笑顔・・・。
蒼司といる時はいつも楽しそうに。
時には蒼司には諭すような聡明さを以って、彼女はこの大地に立っている・・・。
自分の大好きな歌のこと、蒼司の絵のこと、自分のこと蒼司のこと。父と、そして母のこと・・・。
目の前に広がる自然さえも受け止めて、眩しい大空の下で、森羅万象を全身で感じるさやか先輩は、確かに輝いていた。
そんな中、先輩は言った。
自分の心に素直に、それが最も大切なことであると。
「想いだけは必ず届くから」、とそう言ったのだ。
しかし、さやかの真実を知る者からすれば、それはあまりに痛々しいセリフである。
なぜならさやかの想いはいつも届かなかったから・・・。
友達が欲しいと思っても、いつも疎んじられ、
仲良くしたいと思っても、逆にいじめられ、
唯一の肉親である父との距離も遠のくばかり。
そして何より全ての発端。母の死を回避できなかった。大好きなお母さんの命をさやかは救えなかったのだ・・・。
たとえさやかのせいじゃないとしても、彼女は心の中でいつも泣いているのだ。
「想いは届く」というセリフ。
それはもしかしたら蒼司にではなく、さやかが自分自身に向けた願望ではなかったか?
叶えたかったけど叶わなかった悲しい心の結晶ではなかったのか?
だから悲しいかな、今蒼司の前にいるさやかは本当のさやかではない。
それでも、それが分かっていながらがらも、彼女は笑う。
たとえ独りぼっちでも、悲しくても、つらくても・・・。
いつも笑っていなさいと言われたから。
大好きだったお母さんに、そう言われたはずだから・・・。
何より今は、側に蒼司が居る。8年前初めての友達になって、今現在さやかの恋人として、傍で笑顔を向けてくれる。
だからさやかはまだふんばれたのだろう。
そしてこれだけで多分、さやかは幸せだったに違いない。
記憶の奥に隠された真実を知ることなく、思い出さなければならないモノから目を背けて作り物の自分を演じるさやか先輩は、ただのか弱い女性であるけれど・・・。
そのまま思い出さなければ最後まで幸せで居られたと思う。蒼司の肩に寄り添って・・・。
蒼司も気付かなければ何事も無く時を過ごせたと思う。この、ひまわりのような笑顔を向ける愛しい先輩と共に・・・。
しかし、思い出してしまった。気付いてしまった。
自分が笑っているのは、母の幻想を追いかけているに過ぎないということに・・・。
独りでいる辛さをごまかすために笑い、しかもその孤独は自分の心の弱さが招いたものだということに・・・。
それはとても、辛いこと。
今までの自分を否定するが如き結論を導き出すのは、勇気の居ること。
だけど分かってしまったから、もう後には引けない。
なにより蒼司も、そして優しかった母親も、今のさやかを望んでいない。
そして二人をこの上なく愛し、誰よりも心の痛みを知り、誰よりも人に優しくなれるさやかだから、
後は前に進むだけでいい・・・。
過去の自分は思い出の中に、新たなるさやかの人生をやり直すべし。
その時吹いた風。それこそさやかの背中を後押しするものだったのかもしれない。
まるで、
さやかの物思いを全て吹き飛ばすかのように・・・
そして、さやかは変わった。
以前よりも、より優しく、より美しく・・・。
本当のお姫様のように・・・
そうやって手に入れた新しい自分。
それでもさやかには、未だ届かない想いがある・・・。
それは、蒼司と同じくらい大切な人であるはずの、父。
父である律と昔のように戻れない。それは、最後のわだかまり。
さやかは父のことを悪人だと言い聞かせてきた。幼い頃に母を無くした悲しみと怒り、全てをぶつけるかのように。
律はさやかに嫌われていると思い込んできた。自分がさやかの母親をこの上なく愛し、同じくらいにさやかを愛していることを胸の内に秘めたまま、今更戻れないのだと自分勝手に解釈して・・・。
そんな思い込みの中日常の一コマで起きた、端から見ればささいな出来事。
ただ、父親が眠っている娘の髪を撫でたという仕草。
しかし、そこに滴る血と、蒼司の行方不明という事実が、さやかの中で大いなる勘違いを起こさせる。
ほんの心の入れ違いによって、さやかは律に命を狙われていると思い込んでしまった。
さやかの8年間の偏見と、律の日常における奇行。
全てこの親子の素行が招いた勘違い。
どちらも絵に関しては天才とまで呼ばれているくせに、
なんて不器用な二人。
家族に対する愛情は誰よりも深いと心の中で自負しているはずの二人なのに、
なんて悲しい思い込み。
それは、
切なすぎるすれ違い。
それが生み出すものは愛情でもなく、ただ自責と後悔。
回避できない父の死と、ただ泣き崩れるさやかの姿があるだけだった・・・。
さやかも、律も、きっとお互いを愛していると、
心の中では分かっていたはずなのに・・・。
望んだ関係は二人が生きている間は、決して取り戻すことが出来なかった。
二人の心を氷解させるには、もはやその命を投げ出す以外に道は無かったという、まさに救えない悲劇。
そんな愚かな二人だから、得るはずのものを失って、取るはずのものを取りこぼす。
誤解されて、忌み嫌われて、最後に結局悲しみに打ちひしがれる。
いったいそんなものが何になるというのか?
素直になれなかった二人に対する仕打ちだとしても、あまりに悲しすぎて涙が出るのだ。
だからせめて、心だけは届いてほしい。
父と娘と、お互いが確かに愛し合っていたという魂だけは届けて欲しい。
そう思ったとき、何かの因果が働いたのだろうか?
もはや意識さえあるかどうか分からない律の心に響く声。それは死神と呼ばれた名無しの少女の声。
彼女は言う。「忘れ物を届けに来た」、と。
そして少女が律の手渡したそれは、薄汚れた麦わら帽子。
しかし忘れるはずも無い。それは律が心から愛した妻にプレゼントした思い出の麦わら帽子なのだ。
端から見れば変哲も無い帽子。
でも、その麦わら帽子こそが、心。
律の手から妻に渡り、それはいずれさやかに手渡される。母親として娘へ、父の愛を伝えるように・・・。
そしてさやかは今までずっとその帽子を被り続けてきたが、風に飛ばされ姿を隠す。
だが、名も無い少女が橋渡しとなって、もはや目の見えぬ律の元へ再び還って来たのだ。まるでさやかがこの手に戻ってきたと言うかのように、静かに律の頭に収められる。
そしてその麦わら帽子が運んできてくれた最後の奇跡は、さやかという最愛の娘・・・。
薄れていく意識の中で、自分に抱きつき泣きじゃくるさやかの温もりを、彼は確かに感じることが出来たのだ。
最愛の娘・さやかは今、父である自分の元に帰ってきてくれたのだと・・・。
律にとっては唯一の忘れ物。だけど一番の贈り物。
父から母へ、母から娘へ、そして娘から空へ放たれた行き場の無い麦わら帽子に込められた想い。
その想いこそが、さやかと律の忘れ物、
最後の最後に父へと伝わり、再びさやかの元へ戻ってきた。
以前さやかが蒼司に言った言葉。
「思いだけは必ず届くから・・・」。
その言葉そのままに今、本当の想いが優しい親子を包み込む。
昔あった仲の良い家族。
今はもうさやかしかこの世に居ないけれど、確かに想いは伝わったのだと、誰もがその家族愛に涙する。
そして想いが届いたからこそ、さやかは正直に生きることが出来る。
本当は好きだったけど、嫌いになろうとしたひまわりの花。
でももはや今のさやかには偽る必要など無くて・・・。
父も母も好きだったひまわりの花へ、自分も大好きなひまわりの花へ、
大切な麦わら帽子をそっとかぶせる。
さやかの想いを全て伝えるかのように
父と母との想い出。
麦わら帽子に一杯つまった想い出。
例え麦わら帽子が彼女と共にいなくても・・・。
その想いはさやかの心の中で永遠に色あせることはない。
そして、たとえ麦わら帽子を被っていないさやか先輩だとしても、
蒼司の目には、我々の目には何ら変わることのないさやか先輩が写っている。
そして振り向く彼女を見たとき感じるはずだ。
さやか先輩の笑顔は前にも増して輝いている、と
思いはいつか、届く・・・。
そう実感できる瞬間。
それは、とびきりの笑顔を見せてくれるさやか先輩を心に感じたとき・・・。