名無しの少女<水夏(サーカス)>
「忘れ物、見つかったよ」
別名「お嬢」![]() (C)CIRCUS |
死神。 死亡した人間の魂を運ぶ役目を担う。 間もなく死ぬ人間、または身近んに死人が出る人間にしかその姿は見えないため、少女が出会った人間は少なからず不幸であった・・・。 死神として長い時を生き続け、今回も死人の魂を運ぶ任務のため、常盤村という場所にて多くの人々の死に目に立つ。 しかし、少女が常盤村を訪れたのは偶然ではなかった・・・。 稲葉宏という少年との出会いは少女にある記憶を思い出させる。 昔、彼と出会っていたかも知れないという事実・・・。 彼との果たされなかった約束・・・。 少女は宏の故郷である常盤村に何か忘れ物をしていたことを思い出し、それを取りに来た。 そしてそれこそが少女の無意識から来る本来の目的・・・。 幾人もの死を看取り、その度に不安定になる身体。そして宏に恋をしたこと。 それは彼女の死神としての性。同時に一人の少女としての、人間としての目覚め。 死神としての悲しい責務と人間としての感情を戦わせながら苦しむ彼女だが、最後は宏の命と引き換えに人間として生を歩むことが出来た。 そんな一つの奇跡が起こった夏・・・。 だからこそ、もうひとつの奇跡を。 見上げれば、大好きな稲葉宏もきっと側に・・・。 |
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名無しの少女<どっちかって言ったら>![]() |
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| 概要 | 説明 | |
| 容姿 | 赤い瞳。銀色の髪。白く透き通る肌。でも見かけはただの子供。漆黒の服に、鈴付きの変な帽子。変な猫のヌイグルミを肌身離さず抱えている。 | その姿は日本人とはかけ離れている。というより人間とかけ離れている。まさに死神の姿であった。 しかし、彼女の本質はただのかわいい女の子そのものである。間違うことなかれ。 |
| 性格 | 基本的には明るい子。でも心の底は、とても悲しい。 | にこー、と屈託無く笑う仕草が堪らないほどに愛しい。そりゃ宏だって犯罪と言われようが心奪われるよ・・・。しかし、心の底では笑うことは無いのだ。彼女はあくまで死神。魂を運ぶ者。誰が楽しいなどと思うかよ・・・。心から救ってあげたいと思う。 |
| 言動 | 死の寸前の人間の元へ赴き、その魂をあの世へ運ぶ。 | 50年間これを続けてきた。感情も置き去りにするほどに淡々と、決して望んだわけではなく・・・。 いいかげんに終わらせて欲しい。 |
| 好きなもの | 焼きもろこし | 夏祭り。春樹。宏。果たされなかった約束。 その一つとして少女の記憶に強烈に焼きついた想いでの一つとして、彼にもらった焼きもろこしがある。 それは、夏祭りの残骸。 だからこそ、今度こそ一緒に夏祭りを見たい。二人で笑い合いながら・・・。 |
| 特技 | お手玉とか | ちとせの部屋で見せた意外な一面。「ボク、すごい?」と嬉しそうに宏にアピールする仕草がまた微笑ましいではないか。 |
私的分析
ある田舎の神社にて、
宏は一人の少女と出会う。
しかし、
その姿は、異質
それでも宏の目には普通の女の子に見えたのかもしれない。
だから少女は宏に心を許したのかもしれない。
それはある意味幸せだ。
だが、同時に不幸でもあった・・・。
宏をじっと見据える少女。
彼女には宏が見えている。
しかし・・・、
彼にも少女が見えている。
そんな、お互いの姿の確認。
そんな、普通の出会いである光景。
しかし、そこには悲しい事実が纏っているのだった。
少女の姿が見えるということはつまり、死の匂いが漂っているということ。
なぜなら、死に近い人間にしか少女の姿は確認出来ないのだから・・・。
それが分かるから、少女と出会った時彼女の顔はいつも悲しみを纏っている。
宏の傍では幾度となく屈託の無い笑顔を覗かせるけど、それは本当の笑顔ではなく、死神の業を背負う彼女にとっては束の間の休息。強がりともいえる悲しい笑顔なのだ。
彼女が死神という役目を担っている限り、決して心から笑える日は来ないのである・・・。
だって、彼女は死神だから。
人間じゃないから。
小さな身体にはあまりに荷が重過ぎるのではないか?
迷える魂を運び続けて50年。
訳も分からないままに、死神としての責務を負って、
ただ、死に逝く者の魂をあの世に運んでいる。ただ、その繰り返し。永遠と思える時を繰り返している。
その度にたくさんの人々の憎悪や悲しみをその身に受け続け、
身体を削り、追い詰められていた
そして、何かの感情を置き去りにした・・・。
「別にお嬢は悪くない」
そう言った宏の言葉はどれだけ彼女の心を癒してくれただろうか。
確かに別に悪くない。
いつの間にか、そうなってしまったのだから。
知らないうちに、死神という立場を背負わされていたのだから。
誰が悲しもうが、罵声を浴びせようが、お嬢にはどうすることも出来ないではないか。
ただ、黙って魂を運び続けるしかないのだ。
悲しくても、つらくても・・・。
それだけが名前も無い彼女が唯一出来ること。拠り所。
自分の感情を置き去りにして、千夏というもう一人の自分を置き去りにして、
ひたすら無限に生き続けるこの小さな少女の悲しさ。
誰が分かってやれるのか?誰が癒してあげれるというのか?
分かってやれるはずも無い。
他人には決して分からない。
しかし、それでも宏は他人ではなかった。
お嬢の夢を共有し、お嬢の本当の苦しみを理解する。
彼にはその資格があるから。
アルキメデスはいつか言った。
「お前はお嬢の内野である」、と。
じゃあ、内野ならば何が出来る?
お嬢の苦しみはどうしたら拭い去ることが出来る?
決して無関係ではない宏の存在理由は何だ?
それは、宏の命にも関わることである。
宏の命は昔、お嬢に貰ったもの。
お嬢は宏に命を分け与え、
さらに千夏というもう一人の自分を切り離した。
そんな、虚ろな存在。
不完全な命。
ならば、それを元に戻せばいい。
お嬢に返せばいい。
3人が一つになれば、きっと何かが変わるはず。
それは、お嬢の忘れ物。
小さい頃にお嬢と出会って、友達になって、些細なことで笑い合えた、記憶の中に押し込めた想い出。
さらにそれよりはるか昔の宏の祖父との約束。
止まったままの時間。宏と共有した命。千夏というもう一人の自分。約束。
それら全てがお嬢に足りないもの、つまり忘れ物であるはず。
だから、お嬢に歩み寄る。
そしてその心の中を垣間見た時、お嬢は決して死神などではないと分かるだろう。
心の底では待っていた。宏を、人を愛するきっかけを与えてくれた人を・・・。
そしていつか心から笑える自分を。最後には自分の幸せを見つけるために。
夏祭りを楽しみたい、果たされなかった約束を果たしたい。
宏と共に・・・。
そんな、普通の女の子
笑顔が可愛らしい、側に居て欲しい女の子であった・・・。
だからこそ、宏も、ちとせも、華子も、アルキメデスも、女将さんも、この名も無い少女が好きなのだ。
だからこそ、宏も命を掛けたに違いない。
全てがうまく行くように。
はかない命の煌きを放つちとせのために、置き去りにされた千夏の苦しみを開放するために、
そして他でもない、愛して止まない名も無い少女のために・・・。
それはきっと誰かに悲しみをもたらす結末かもしれない・・・。
しかし、最後にはお嬢に笑っていて欲しい。
いつか、夏が楽しいものだと心から思えるように。
生きていることが素敵なことだと感じることが出来るように・・・。
そんな、誰かの想いは届いたのだろうか?
奇跡は起きたのだろうか?
今、お嬢は笑っている。
宏の傍に。いつも一緒だと言って・・・。
・・・・・・
結末は、闇の中。
誰かと別れて、誰かが悲しんで
別れの涙も数え切れないほどにあった・・・。
でも、最後に愛する人の姿があれば、それは多分幸せなこと・・・。
だから、今は、夏を楽しむ。
季節が移ろい、秋になっても、冬が来ても、春が訪れても、
そしてまた夏が巡って来ても、
来年も、再来年も、いつまでもいっしょに・・・。
彼女は、名も無い少女。
お嬢と呼ばれた少女。
そんな彼女にある日、付けられた名前。
「水夏」
ちとせが考え出した、名前。
名も無い少女のための、名前。
何気に相槌を打つ宏。
しかし・・・、
水夏・・・。
水の夏・・・。
それは、日常の一コマだったのかもしれない。
しかし、その言葉の中には一体どれだけの想いが詰まっていたのだろう?
そこへ辿りつくまでに、どれだけの想いをどこまで運んだのだろう?
そして、名無しの少女はそれをどんな想いで受け止めたのだろう?
全て、謎のまま。
ふと決まった日常の些細な出来事。
しかし、それでも名無しの少女にとって、自分の存在を明確に主張するもの。
それは、拠り所。自分がいるという証。
魂を運ぶなどという無粋な任務ではなく、
こんどは「水夏」という名前が少女の拠り所。
ただ、それだけで、確かな存在感がそこにある。
もう絶対に離れ離れにならないように、
一人の少女の未来を祝福するかのように・・・。
宏も、ちとせも、そして「水夏」という少女もみんな笑っている・・・。
だからきっと、誰もが幸せ。
だからきっと振り向けば・・・。
、と・・・
にこー
いつでも愛しい少女は満面の笑顔でそこに佇んでいるはず・・・。
水夏という少女を瞼に焼き付けるように、輝くように、
いつまでも・・・。