高屋敷青葉<家族計画(D・O)>
「極端すぎる憎悪。極端すぎる愛情。」


(C)D・O
高屋敷家の所有者。
しかしその土地は別の人間のものであったため、家賃を払うことを余儀なくされる。
家族計画を承諾したのも、祖父との思い出のつまった家を守るためやむなしといういきさつである。
本当は人がこの上なく嫌いで、高屋敷家においても一定の距離を保つ彼女であったが、信じていた祖父との思い出が偽りであったことを知り絶望する。
その結果誰も信じないと誓った青葉だが、気になっていた司に支えられ、いつしか心を許すようになった。
高屋敷家がマフィアの手によって焼失した後、青葉は司と共に思い出の土地を離れ、新しい家へと移る。
その家とは、愛されなかったと思っていた祖父が青葉のために残した最後の遺産であった・・・。
祖父の愛と司の愛を受け取った青葉。
彼女は新しい家で、新しい家族を営むことになった。

振り向けば、いつでも傍に愛する司が居る幸せを感じながら・・・。



好感度  7
忘れられない指数  8
萌え度  3
信者発生率  7


高屋敷青葉<どっちかって言ったら>

 


独自調査と思い込みによる詳細

 概要 説明
容姿 スレンダーな美形。見た目はモデル系。鋭すぎる眼光。 黙っていれば申し分なし。しかし一度その眼光を受けた瞬間ヘビに睨まれたカエル。
性格 冷酷非道な毒舌家。信条は「周りは全て敵」そして「もう誰も愛さない」。ただ、信頼した相手はとことん愛する。 過去受けてきた仕打ちからこのような性格が形成されたとしても文句は言えまい。親が与えた情の種類によって子供は変わるというテストケースの一つ。
言動 部屋にこもること多し。外で絵を描くこと多し。
祖父との思い出の品を探しているらしい。
人と関わりたくないから・・・。相手が引かないなら自分が退くまで。そんな孤高の女は公園で悪魔のような絵を描き客を不幸に陥れるのだった。
しかし、それら全ても祖父への愛着のなせる業。それだけ彼女の自己中主義は抜きん出ている。
好きなもの お祖父さまとの思い出。絵。 それのみが青葉に安らぎをもたらす。絵は独学。祖父が教えてくれなかったから自分でという健気さ。しかしそれが意味するところを知った時、青葉の精神は多分崩壊するだろう。
特技 毒舌。 人を恨んできた。人を憎んできた。孤独だからいつも本を読んでいた。
これらの要素を結束させた結果生み出されるのは、容赦ない毒舌家の他に無い。まさに必然の産物。

私的分析


寛の提唱する相互互助計画。即ち「家族計画」。
その擬似家族の苗字は「高屋敷」。その名の下に他人同士が集まっている。

それで青葉は長女という位置付けではあるが、彼女だけは正真正銘の高屋敷青葉であった。
なぜなら彼女の性は
正真正銘の高屋敷なのだから。

だから司達にとってそれが仮の家だとしても、青葉にとっては本当の家。
帰るべき場所なのである。

よって青葉は誰よりも固執する。
高屋敷家に。

家ー。
それは自分の存在を示す場所。家があればその存在を誰もが認める。
家があれば、人として生きていけるから・・・。

それが青葉には分かっているから、彼女は決して離れない。
誰が、いつ、どんな理由で高屋敷家を離れることになっても、
青葉だけは離れない。最後まで居続ける。
なぜならそこは、青葉の家なのだから。
どのシナリオでも、どんな局面に至っても、最後まで高屋敷に留まる青葉。
彼女こそが
真のヒロインなのかもしれない・・・。

それほど青葉は家に固執している。
しかし異常なまでの固執でもあった・・・。

青葉の執拗なまでの執着は誰にも理解できない。
しかしその固執は家というよりむしろ、その家での
思い出にこそ向けられたものだと理解した。

たまに青葉が漏らす、
祖父との思い出
それは絆。過去の中にのみ存在した絆。
彼女にとっては高屋敷の家において祖父と過ごしたあの日々だけが、最愛の慈しむべき記憶であり、だからそれを拠り所とするのだ。

しかしそれは悲しすぎる拠り所。
いくつもの楽しい思い出をその心に留めながら生きたその上で、
取捨選択した結果到達したの最愛の思い出ではない。
選択肢の無い思い出に過ぎないのだ。
なぜなら青葉の楽しい思い出とはそれ一つしかなかったのだから・・・。

たくさんの楽しい思い出ではなく、取捨選択もできないほどの貧しい過去。
20年以上も生きてきて、楽しかった思い出は唯一つ。
その
唯一という言葉がどれほどみじめでどれだけ寂し過ぎるのか、当の青葉には分かるまい。
なぜなら彼女はそれを考える材料すら与えられていなかったのだから。
青葉は他人から愛されなかったのだから・・・。

でも、だからこそ唯一の思い出。
その思い出の中で唯一人優しくしてくれた祖父のこと。
何も知らなかった青葉だけど、
祖父との触れ合いから多少でも愛の片鱗を与えられた。だから愛の存在を知ってしまった。
だからその愛をどこかにぶつけたくなる。
なぜなら愛することは、とても幸せなことだから。
知ってしまったからこそもっと知りたい。与えられたからこそ与えたい。
そんな
愛を一度でも肌で感じたことがあるから。

だから彼女はただ、祖父との思い出に浸ろうとする。
あの楽しかった日々が全てと言い切って。
本当の自分はそこにのみあると断言して・・・。

だからその思い出を汚す者は誰であろうと許さない。
それはつまり、祖父を認めない者は許しておけない。

そして青葉は他の人間には容赦せず、毒舌と嫌悪を以って接するのだった。

この時青葉はまだ気付かない。
祖父を神のように崇拝し愛した事実から導き出される青葉の本性。
信じた者には限りない愛情を捧ぐ人種だということに・・・。


さもあろう。
今まで誰にも愛されず、誰にも自分の感情を表すことを許されなかった。
つまり彼女の
アイデンティティーは尊重されなかった

ただ人形のように在ることを強制されてきた過去。
考えることなど許されていなかったし、出来なかった。

だから
彼女の処世術は憎むこと
自分を政略結婚の道具にしようとした父も。
自分の身体をもてあそぶだけだった婚約者も、
そして現在「家族計画」と称する茶番の中で滑稽な家族愛を展開する面々も、

誰も彼もが憎らしい。
そんな茶番は反吐が出る。


どうしてそんなに干渉するのか?
どうしてそんなに情を傾ける事が出来るのか?
どうしてそんなに笑う事が出来るのか?

青葉には決して分からない。


しかし反感だけは募るから。
憎しみだけは募るから。
青葉は次第にその憎悪を隠せなくなる。

苛立たしい。
鬱陶しい。


愚か過ぎるブタ共、

壊したい。
滅ぼしたい。



そしてその臨界点を突破した時、

青葉の最も嫌う末莉が自分の心に踏み込んで来た時、
その憎悪は遂に堰を切った。

それが、青葉・狂気の狼煙




家族の愛を得られなかった青葉。
末莉もまた同じ。
自分の境遇と似すぎている不幸な少女であるはずなのに。


それなのに・・・、


何でこの娘はこんなになついてくるのか?
何でこの娘はこうも笑ってられるのか?

それは恐怖。
近づいたら壊される。自分が。

近づいたら知ってしまう。
末莉と同じく、やはり自分も愛を求めているということに・・・。


だから近づいてはいけない。
自分を守るために。
最後の砦を守るために、半ば狂気の様相を以って退けるのみ。
ただ、攻撃するのみ。

私が信じるのはただ、お祖父さまだけなのだから・・・。


しかし、司によって事実を露呈された時、
思い出の品を掘り起こした時。
知りたくなかった事実を知ってしまう。

つまり、
お祖父さまは青葉を愛していなかった

結局、
青葉は誰からも愛されていなかった・・・


今までの自分を変えること。
それはつまり今までの自分を否定するということ。
それは言葉に出来ないほどの不安。

だけど今、変えざるを得ない状況にある。
今まで憎むことによって自分を保っていたプライドも、
その中でも楽しい思い出だったと言い切った100%の自信も、
全てが瓦解したのだから・・・。

お祖父さまとの美しい思い出も。
全てが妄想だったのだから・・・。



その時青葉の心は壊された・・・。



結局人は耐え切れないのだ。
楽しい事が何も無かったということに。
思い出は生きていく糧にはなるが、それが辛い物ばかりでは心が持たない。

だから
捏造する。
たとえほんの少しでも楽しいことがあったのだ、と。

願望を事実に摩り替える。
そうでなければ自分が耐え切れないから。

思い込みは人の業。
その心が壊れないために用意された抜け道。
それは人として生きるために仕方の無いことである。


でももう終わり。
過去を捏造して思い込んで自分に言い聞かせて何とか頑張ってきたけれど、
結局自分は誰からも愛されていなかった。
最後の希望だったお祖父さまからさえも、愛されなかった。

それを知った時、
自分が何のために生きてきたのか分からなくなった時、
青葉は涙を流す。

それは絶望の涙だった・・・。



誰も信じず、誰も愛さず、
過去のみを愛してきた青葉。
しかし今、その過去を失った。

もはや頼れるものは何も無い。

だから誰にも頼らず生きると誓う。
裏切られるのはごめんだから。
失うのはもうたくさん。
だったら築かなければいいだけのこと。

しかし、人は愚かなもの・・・。
失っても、愛されてなくても、
かつて愛した事実があるから愛情の可能性を無視できない。
愛情がもたらすぬくもりを決して忘れることが出来ない。

だからまた、繰り返す。

たとえ妄想だったとしても、一度は愛する気持ちを持ってしまったから。
たとえ思い込みでも愛される悦びをその胸に刻んでいるから。

だから今度こそ誰かにその愛を・・・。

この時、この場所では沢村司に。
自分と同じ境遇を持ちながら、自分と同じく人を信じない人間だけど、
それでも
最後まで自分を支えていてくれたから
今度こそは・・・。

その心が期待している。
愛を渇望している。

最大限に愛して欲しい。
その代わり、自分も最大限の愛を・・・。
それは、
命を懸けた誓いだった。

憎悪の度合いが強いから、その反面限りない愛情を捧げる事が出来る。

そして青葉はそんな女。
自分が決めたことを貫き、自分の信じた道を曲げない女。

だから
決して裏切らない
裏切られることがあっても自分から裏切ることはない。

そんな極端な情観念を持つ高屋敷青葉。

信じた道の為なら命さえも重くないという鋼鉄の精神


命を捨てるほどの想いがあり、
そして何より自分が望んだことだから。
沢村司は彼女に生涯を捧げる決心をしたのだろう。

愛情に恵まれなかった二人だけど、それを求める心は一層強く、揺らぐことが無い。

そして青葉のお祖父さまが彼女を愛していないという事実が覆った時、
お祖父さまは本当は青葉を愛していたという
真実に辿り着いた時、
青葉はまたも涙を流す。

しかしそれは絶望からくる涙ではないのである。

お祖父さまから裏切られた後司を手に入れた。
そして今、お祖父さまへの愛が届いていたことを知る。
だから絶望ではなく希望。
未来への希望・・・。


人は何と回り道をするのだろう。
司も、青葉も、お祖父さまも、
誰もが愛し方を知らなかった故に、不器用故に起こるすれ違い。

だけどこれもまた、一つの道。
不器用だけど、一つの愛情の形。

お祖父さまはその想いを遺産と言う形で青葉に残していた。

それは渡せなかったプレゼント。
渡したかったプレゼント。
謝罪を込めて、
それ以上に愛を込めて今、青葉に送り届けられる・・・。

そのプレゼントとは、
であった。

青葉はそれを受け取った。
既に亡き人から受け取った、大切な家。

そして司は青葉と共に生きる。
高屋敷青葉と彼女の祖父の心を形にしているであろう、その家で。

その家の名は「高屋敷家」。
かつて他人同士が擬似家族を以って寄り添った、あの仮そめの家ではない。
青葉と司という夫婦が営みを続ける為の家。
二人が本当の家族になった証を示す新居。

あの時暮らした都会の喧騒とはかけ離れた片田舎の家だけど、
二人の心は何処に居ても変わらない。

人を信じなかった二人だけど、今なら言える。


「絆が、出来ました」



それは祖父から青葉へ届けられたもの。
青葉と司が共有しているもの。

そしていつしか二人の子孫へと伝えられる・・・。


確かな絆と、変わらぬ想いを、



新しい家族を築き上げた青葉と司が共に寄り添う場所で。


高屋敷という家で紡がれる、小さな営みの中で・・・。