王春花<家族計画(D・O)>
母親捜して三千里。いつも笑顔を絶やさずに。
![]() (C)D・O |
属するマフィアから逃げ出してきて、行き倒れになったところを司に拾われたチャイニーズ。 だが、逃げ出したことと、その時持ち出したバッグの中に新種のドラッグが入っていたことで命を狙われている立場にある。 家族計画においては、高屋敷家三女として振舞っている。 彼女の来日の目的は母親を捜すためであるが、難航を示す毎日だった。 それでも司の手を借りながら母親を捜し当てた春花。一度対面して満足した後母国へ帰っていく。 日本で恋仲になった司のことを唯一の心残りとしながら・・・。 それから数年間、春花は司の事が忘れる事が出来ないまま、中国にて農婦として過ごす日々。 そんな傷心の彼女の前に一人の青年が現れ、それは春花の愛した沢村司その人だった・・・。 こうして二人は夫婦となる。 |
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王春花<どっちかって言ったら>![]() |
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| 概要 | 説明 | |
| 容姿 | チャイナ服が良く似合う、年の割には色っぽい少女 | さすが真正チャイニーズは一味違う。 というわけで、各地で中国娘ポイント上昇現象が巻き起こると予測する。 |
| 性格 | ほがらか、笑顔笑顔 | 「やっぱ大切よね〜・・・」。その笑顔あってこそ、一触即発の高屋敷家は救われていたのだ。だからみんな春花には存分に感謝するべし。 |
| 言動 | 無邪気に遊んでいる。たまに街を徘徊。 | 無邪気なのは本性には違いないが、同時に擬態でもある。実は母親を捜すため、マフィアの手から逃れるため、いつも気を張り詰めているのだよ。出来ることなら守ってやりたい・・・。 |
| 好きなもの | 食べること | 大食い春花。その胃袋はすぐに空っぽ。 ついでに司の財布も空っぽだ。 |
| 特技 | 動くこと、料理。 | 中国雑技団を彷彿とさせる運動神経。そして中国4千年の実力。どちらも春花を彩るものだ。 中国バンザイ・・・。 |
春花物語 〜絆が出来ました〜
病める東京。
深夜の裏街道。
司はそこで、行き倒れの一人の少女を拾いました・・・。
薄汚れたチャイナ服。
怪しげなバッグ。
見るからに訳あり。
そこから連想される言葉は「トラブルの匂い」。
裏の世界の事情に敏感な司にとって、それは危険に対する直感と言えたかも知れません。
「関わらない方がいい・・・。」
きっとそう思ったに違いありません。
だけどバイト先の上司である劉さんは、彼女を匿えと言います。
本心では嫌だった。でも逆らうことも出来ないのであって、
司は自分のアパートに渋々彼女を連れて帰ります。
それが、これから司に訪れる数々の騒動の発端だとも知らずに・・・。
彼は決して人に借りを作りたくない人間で、それは決して揺るぎません。
ある意味信念でしょう。
だけどこの少女「王春花」を家に留めた瞬間からその信念が瓦解します。
トラブルの種だと確信していた春花の存在。
彼女の所持していたバッグ。
その中にあったドラッグに手を出したとき、彼は自分の失敗を痛感したのでしょう。
そのドラッグは異常な性欲を伴う媚薬でもあったのです。
人間である司はもはや理性を抑えることが出来ず、ただ本能のままに行動して・・・。
結果、司は春花を犯してしまいました。
後悔した時はもう遅い。
司はいたいけな少女の肉体を欲求のはけ口にしてしまい、大いに自分を罵倒します。
だからこそ、律儀な彼は思ったのでしょう。
司は春花に借りを返す決心をしました。
どうしたらその借りを返せるのか。
悩む司ですが、そんな彼に朗報が一つ。
春花は中国から単身、母親を捜しに日本へ赴いているとのことです。
借りを返すのはここしかない。
たとえ司でなくても、独り頑張る少女を見てそう思わずにはいられないことでしょう。
とにかく人と関わることを極端に嫌う司なりに、せめて春花の望みを叶えるまでは彼女の為に尽くそうと奮闘します。
時には春花を庇い、時には春花の悩みを聞いてあげて・・・。
それ、全て春花に借りを返すため。
でもそれはあくまで司の主観であります。
当の春花はどう思っていたのでしょうか。
実は彼女は司に借りなど作ったつもりはなく、
むしろ自分こそ司に借りがあると言います。
拾ってもらったことでしょうか?
高屋敷家の家族として迎え入れてもらい、楽しい日々を与えてくれたことでしょうか?
それは春花の心の中にのみ存在すること。
誰にも分かりません。
司にも春花の言うことは理解できません。
借りを作っているのは果たしてどちらだったか、
支えているのは一体どちらなのか、
それはお互いの優しさを見ていけば、自然と想像できることでしょう。
でも、借りがどうとか、そんなことはあまり関係ないこと。
春花は高屋敷家においては間違いなく幸せだったのですから。彼女自身がそう感じているのですから。
いつも笑っていた春花。
その笑顔にどれだけ救われていたのか司は分かっていたのでしょうか?
春花を癒そうとして、実は司の方こそが春花に癒されていたと気付いていたのでしょうか?
司に人と共に有る心を教えるきっかけを作ったのも春花だし、
司の偏見を取り払ってくれたのも春花なのです。
彼女が居ると、何故か司は居心地の悪さを忘れてしまいます。
それは彼女の笑顔と気遣いとが堪らなく心地よいものだったかも知れません。
だからこそ春花のあたたかなぬくもりを自然に受け止めるようになりました。
この時多分、司は春花を愛して始めていたのでしょう・・・。
でも司だって馬鹿ではありません。
彼女の明るさに甘んじているばかりで良いはずはなく、
その明るさだって作られたものであると気付いています。
春花は人よりも多少強いだけということも、
だから人前では弱気を見せることはないのだということも分かっています。
だから彼女がその弱い心をあらわにした時、たまに覗かせる涙を見た時、司は再度思い起こします。
そう、彼女は母親に会いに日本へ来たのでした。
だから寂しくないはずはない。、と・・・。
司は忘れかけた使命を今こそ果たす機会だと思ったのでしょう。
母親をようやく見つけて、春花に会わせようとします。
でも春花は乗り気ではない。
一体どうしたのでしょうか?
そこで再度違うことを思い出してしまいます。
春花は他人に対して余りにも優しすぎるということ、
自分を犠牲にし過ぎるということを・・・。。
会ったことも無い母親だけど、親子なんだから会いたいのは当然。会う権利がある。義務がある。
でも司の思いとは裏腹に、春花はただ笑顔で首を横に振るのでした。
新しい娘と共に幸せそうに暮らす母を見て、それで満足だと言います。
生きていればいい。
見ただけで満足だ。
それは多分、春花の本心。
本心ではないけどやはり本心なのです。
何と気丈な娘でしょうか。
思わず涙がこぼれてしまいます。
そして、それが分かっているから司ももはや何も言いません。
それは春花のことを理解している彼だからこそ出来た判断でしょう。
つまり司は春花の事を気にしているという裏返しなのです。
そしてこの一件こそが、司の中で何かを決定させた瞬間でした。
春花と暮らしたい。本当の家族になりたいと・・・。
実はその気持ちは春花も持っています。
司が抱くよりもずっと昔から、出会った時から抱いていた恋心でした。
それならばもう問題はない。
二人は共に歩むべき。
そのはずだったのですが・・・。
国境の壁。
不法入国。
元々住む世界が違っていたという障害。
それが最後には二人を引き裂いてしまいます。
高屋敷春花は仮の姿。
本当は母親を捜すために日本へ来た中国人・王春花。
心は固まっていても、現実の壁は厳しかった。
一緒に居たかったのに適わない辛さ、いくばくのものだったでしょう。
それでも司は諦め切れないから、最後の手段を使います。
つまり、
「結婚しよう」。
擬似でなく本当の家族になれば、春花は大手を振るって日本に居続けることが出来るのではないかと思ったわけです。
司の妻として暮らす・・・。
無謀だと思える申し出、しかし理想の申し出。
それは日本で司が見せてくれた最初で最後の告白であったのです。
しかし春花はそれを拒んでしまった。
心ではそうしたいと言っているのに、司からの手を振り解いてしまった。
それは、春花の最後の優しさです。
でも間違った優しさだったのかも知れません。
それによって司も、春花本人も幸せではなかったのですから・・・。
こうして悲しみと共に中国へ帰ってしまった春花。
彼女の時は緩やかに、でも確実に流れて行きます。
昔過ごした東京という喧騒の中での出来事。
王春花ではなく高屋敷春花として過ごした大切な日々。
何もかもがみな懐かしい・・・、
それは彼女にとって色あせない思い出であるに違いありません。
しかし、それは全て過去のこと。
思い出となって、今は春花の心の中にのみ存在する記憶。
確かに楽しい日々でしたが、それを敢えて振り切って、春花は母国へと戻って来て現在を生きているのです。
それでも・・・。
高屋敷家での想い出は彼女にとって余りに大きすぎました。
その中でも一際輝く男性。
今も尚色あせない大切な人との想い出。
それは、沢村司との想い出。
春花にとって、それは忘れようと思っても忘れられないもの。
司のことを本気で好きになって、彼と居るだけで、彼と話すだけで幸せを感じた日々だったのです。
彼女は多分よっぽど素敵な恋をしてきたのでしょう。
でもだからこそ悲し過ぎる。
いい年頃の娘がそればかりに心囚われていては、女の幸せを逃します。
周りの人も春花の為にお見合いの相手を探して来てくれる。
何度も、何度も・・・。
昔からそうでした。
春花の笑顔はそんな優しい人々を引き寄せる魅力があったのです。
春花の春は、春の花。その名の通り、笑顔を絶やさないで欲しい。
彼女に沈んだ顔など似合いません。
それが分かっていても、やはり司のことを忘れられないのでしょう。
どんないい男だろうと、司の代わりなどできるはずも無いのです。
なぜならそれは所詮春花の心の中の問題なのですから・・・。
日本で春花が経験した恋の行方。
かつて司は別れ際に春花を引き止めるためにこう言いました。
「結婚しよう」と。
あれは司の本心だったのでしょうか?
間違いなくそれは本心だったと言い切れます。
司とはそういう人間だから。
そんな司だからこそ、春花は彼に心から惚れてしまったのですから・・・。
でもその時の春花はまだそんな器用に立ち回ることは出来なくて。
今、遥か離れたここ中国に、独り身であることも厭わない傷心の農婦として日々を暮らしています。
全てを承知した上で帰ってきた中国だけど、
人を思いやる心が誰よりも強い春花が選んだ道だけど、
だけど本当は・・・。
「ツカサに会いたい」
それこそ彼女の本心。
隠しても隠し切れない、
忘れようとしても余計に胸に残ってしまう想い。
結局春花はどうしようもなく寂しかったのです。
そして、その春花の心の隙間を埋めてくれるのは、もはや司以外には存在しないのです。
でも今更全てがあの頃に戻るはずが無い。
あきらめるしかない。
「ツカサに会いたい・・・」
時を経ても、大陸を隔てても、尚強く残る春花の想いだけを残して・・・。
・・・・・・・
ここは広大な中国。
奇跡など存在しない世の中。
だけど、そんな強い想いが届くことが稀にあります。
半ばやけくその春花の前に、性懲りも無く現れた見合いの相手。
背は高目の日本人。
でも春花にはどうでも良いこと。
余計な気遣いは無用なのに、
自分の心を満たしてくれるのは、司以外に居ないと言うのに・・・、
放っておいて欲しい。
全ての鬱憤を相手にぶつけようと振り向く春花でしたが・・・。
その時の春花はいったいどんな顔をしたのでしょうか?
狐に化かされたとは、こんな時のことを言うのでしょうか?
そこに立っていた青年の姿・・・。
春花を優しく見つめる瞳・・・。
忘れるはずが無い。
その青年はかつて王春花が愛して止まなかった、今でもまだ愛し続けている人。
ずっと待ち望んでいた沢村司その人だったのです。
待ち人来る・・・
それは、心通わせ支え合った楽しい日々の再来。
それは、かつて過ごした幸せな日々との邂逅。
始めて出会った時、春花が必要だと言ってくれた司。
家族計画の一端として。
別れ際に春花に居て欲しいと言った司。
彼女を失いたくない一心で。
そして今、春花が必要だと言う司。
ただ、二人で幸せになりたいだけ・・・。
司は懲りずに言いました。
「結婚しよう」と。
あの日と同じく、その手に婚姻届けを携えて・・・。
国の違い、優しさの使い方の違い。
それによって一度は離された二人。
でも想いは同じでした。
二人が心の中で望んできたことでした。
だから後はその心に従うだけ。
二人を阻む障害が既に無いのであれば、春花が今することはただ一つ。
飛び込めばいいのです。
彼との約束の中に。
新しい家族のスタートラインに。
その手始めとして今はただ、
司の腕の中に・・・
広大な中国の大地に吹く風は、多分今までで一番優しかったでしょう・・・。
ほんの少しの運命のいたずらから始まった物語を締めくくる言葉として、
その主人公「沢村司」とヒロイン「王春花」。二人が築く未来への第一歩として、
「絆が、出来ました」
めでたしめでたし・・・