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若生桜花<SNOW(スタジオメビウス)>
評点:9 属性:娘
「父上と母上は、いつ迎えに来てくれるのかのう・・・」
(C)スタジオメビウス落石事故に見舞われた彼方の第一発見者であるが、詳細は不明。
でも桜花と遭遇する時、彼女は大抵ネコのシャモンを引き連れ、子供らしくはしゃぎ回っていた。
そんな桜花は全く以って…、
激!カワイイィーーーッ!!!だよもん……
正に反則手。元気な笑顔を見せる幼女を無下にする者が居ようはずもない。
その証拠に彼方も早速保護欲を刺激され、澄乃の母性も大いにくすぐられていた。
だけど、桜花はたまに寂しそうな顔をする。
遊ぶ相手が居なくなると、途端に落ち込みテンションが下がる。
無理からぬこと・・・。
桜花はまだまだ親に甘えたい年頃。誰かと一緒にいなければ落ち込んでしまう、寂しがり屋の子供。慰めるのが傍らに居るネコだけでは切な過ぎる。
神社にポツンと腰掛けてうな垂れる桜花は、余りにも痛ましかった・・・。
でも桜花が望んだわけじゃない。
彼女には父親と母親が居ないのだ。甘える存在が居ないのだ・・・。
最初、桜花は言った。
「父上と母上の帰りを待っているのじゃ」
いつまで待てばいいのだろう・・・。
「ここに帰ってくると約束したからのう」
まともな食料も暖かい暖房も無い神社で、野宿のような真似をして・・・。
こんな可愛い桜花を放置して蒸発した両親は、万死に値した。
それとも、もう彼女の両親は死んでいるのだろうか。
果たされない約束を頼りに、桜花はこれかも独りで待ち続けるのだろうか。
そんなこと許されない。
こんなにいい子にしている桜花がこれからもずっと惨めなど、そんな現実堪えられない。
だから彼方は桜花を引き取った。
フィアンセである澄乃も桜花を養子にすることには大賛成。だから問題は何も無い。
彼方と、澄乃と、そして桜花の家族生活は始まった・・・。
それからの一年間は幸せの一言である。
彼方にとっては愛する奥さんと愛しい娘。
澄乃にとっては頼れる旦那さんと可愛い娘。
そして桜花にとっては、暖かくて優しい両親。
澄乃も新しい子供を身籠り、全てが理想的だった・・・。
だけど幸せとは長続きさせるのが難しいもので・・・。
幸せな家庭に隠された全ての現実が、ある日露呈してしまった。
桜花の姿は誰にも見えていなかった。
彼女の姿が見えていたのは彼方と澄乃。動物のシャモンとあさひ。そして何故か芽依子だけ・・・。
他の者は誰一人として見えない。存在を認識できない。
今、目の前で生きている桜花は、彼等にとって最初から居ない存在だった。
何故なら、彼女はこの世のものでは無いから。
既に死んでいるから・・・。
それは遠い過去の因果がもたらしたもの。
人間・白桜と龍神・菊花の間に生まれてくるはずだった赤ん坊の、命の名残。
生まれる前に父と母を無くし、そして自分も死んでしまった為、今もこの世をさ迷う報われない魂である。
本当は生まれてくるはずだった赤ん坊。
幸せになるはずだった命。
だけどその時、神は無慈悲だったから・・・。
桜花はとうの昔に滅びてしまった者。
この世界に居るはずがない、居てはならない女の子であった。
だから桜花は消え去る。
今ここに居る、彼方と澄乃を残して・・・。
本当の父親と母親の待つ場所へ・・・。
これは過去との邂逅。
末永く暮らしたいと願う家族を悲しみに陥れる、神が白桜と菊花に課せられた罰との邂逅。
未だ彼方達は因果の報いから逃れられなかった・・・。
だけど、その因果が不幸ばかりもたらしたわけでは無い。
少なくとも二人には見えていて、彼方と澄乃の娘として、桜花は確かに生きていた。
最初から会えないことを考えれば、それだけで充分な幸せだ。
そして桜花もきっと幸せだったに違いない。
過去作られるはずだった営みを、少なくとも一年間は為し得たのだから。
桜花が望んだ過去の光景を、遥か未来のこの場所で叶えることが出来たのだから。
父上が居て、母上が居て、自分がそれに甘える、そんな暖かい光景を・・・。
だから誰にも知られなくとも、桜花はこの世に生きていた。
そして彼方達はいつだって思うことが出来る。
桜花は誰よりも大切な愛すべき娘であり、
自分達は誰よりも幸せだったのだと・・・。
桜花の魂は天に召されたが、そこにはきっと安らぎが待っているだろう。
愛する娘はもう戻らないが、その記憶はきっと生きる糧になるだろう。
そして澄乃のお腹に宿る新しい命は、今度こそ祝福される。
桜花の分まで、桜花に負けないくらいに・・・。
菊花を失い、澄乃と再会し、桜花と出会った。
そして今、新しい命が生まれて・・・。
その時こそ彼方は、白桜から始まる長い旅に終止符を討つことが出来るだろう。
その時ようやく彼方は戻って来たと言えるだろう・・・。
迎え入れてくれるのは澄乃、愛する妻。
シャモンとあさひ、元気な動物達。
そして・・・、
「おかえりなしゃい、パパ・・・」
新しい命。
可愛過ぎて愛し過ぎる娘・・・。
そこに掛け替えの無い人達が居るから。
皆が幸せになれたと感じれるから・・・。
「ただいま・・・」
懐かしい場所に、昔届かなかった幸せに、欲しかった未来に。
そして大切な人達に・・・。
若生白桜<SNOW(スタジオメビウス)>
評点:7 属性:主人公、堅物系
「俺は、かなり無力な男だったのかもしれない・・・」
出雲彼方の転生前の姿。
龍神を呼び出す宮司の正統な血筋の者である。
白桜は幼い頃両親を野盗に殺されたが、龍神二人に助けられ命だけはとりとめる。
そして父の志を継ぎ、虎視眈々と龍神祭復活を目論んでいるのであった・・・。
彼は基本的に真面目で堅物。妹である鳳仙はそんな兄をよくからかっていた。
だけど幸か不幸か、彼の持って生まれた男前が女性達を惹き付けてしまう。
それも人に非ざる美貌を有した龍神の姉妹と、将来が楽しみな鳳仙など、特上の女子ばかり。
すました顔でそれを受け流す白桜は、結構嫌なヤツかもしれない・・・。
しかしながら、白桜も健康男児。一人前の性欲はしっかりと持ち合わせている。
大変結構なことであった。
だけど、相手が良くない。
白桜が選んだのは、こともあろうか龍神だったのである。
10年前、菊花に抱かれた時から白桜のときめきは止まることを知らず、再会した時にそれは爆発。
菊花も菊花で白桜LOVEだったから、ますます以って好都合であった・・・。
菊花に言い寄られた白桜は満更でなく、むしろ至福の喜び。
「待ってました」と言わんばかりにベッド・イン。
龍神の姫に植えつけられた種は、一発で実を結ぶのであった・・・。
だけどそれは、忘れてはならない戒めを破ってしまったということ。
「龍神と人は相容れない存在」という神の命令に背く行為。
神は怒り、菊花はその記憶を奪われてしまった・・・。
自分のことを覚えていない・・・。
その事実は白桜を疲弊させるに充分である。
結果、彼は遂に菊花を疎んじるようになり、神の思う壺にみるみる嵌っていってしまった・・・。
そして菊花が死んだ時、白桜もこの世に別れを告げる覚悟を決める。
あさひを掛け軸に戻し、
しぐれの気持ちに気付かないまま、
自分を一番愛していると言ってくれた鳳仙すらも置き去りにして、
白桜は菊花の躯の上で自害した・・・。
だが、これで終わりではない・・・。
自分は神に立ち向かえなかった男だけど、
菊花を守れなかった男だけど、
未来にはそれを可能とする男が現れるかもしれない。
神の摂理を捻じ曲げ、過去さえも変えることの出来る、そんな強い男が・・・。
自分はそんな強い男に転生したい。
そして再び彼女と・・・。
死の間際、悲劇の運命に終止符を討つ人間を予感した白桜。
自分が犯した罪を洗い流してくれる未来を夢見た白桜。
彼の記憶と彼の願いは輪廻転生を繰り返し、出雲彼方へ。
罪も、罰も、そこに必ずある希望も全て彼に任せたい。
その無責任さは万死に値するかもしれないけど、もう自分は疲れてしまったから・・・。
後はよろしく、未来の自分・・・。
若生鳳仙<SNOW(スタジオメビウス)>
評点:10 属性:妹
「それでも、兄上を誰よりも愛している・・・」
ああ鳳仙、いい。
すごく・・・いい。
属性は妹。髪型はツインテール。
肉体は未だ未発達なれど、決して子供なわけじゃない。
そんな華奢で且つ女らしい身体を巫女服で包み、将来が楽しみなルックスを、目立つリボンで可愛く装飾。
それは、綺麗になりたい女心。
全て兄上に向けたもの・・・。
鳳仙は兄上・白桜が大好き。
もっと話しかけて欲しい。もっと微笑みかけて欲しい。もっと構って欲しい。
兄上が目の前に立っただけで心臓が早鐘を打つ。兄上のことを考えただけで身体が火照る。
もし夜伽の相手をせよと言われても、まるで問題ない。いつでも心の準備はしているから・・・。
鳳仙は兄上を切ないほどにお慕い申し上げている。
だけど兄妹だから、そんなことは許されない。とても言い出せない。
それでも好きだから、ちょっかいだけは出してしまう。
自分が兄上の妹でなければ、どんなに楽か分からない・・・。
そんな、内に秘めた乙女心。
全ては兄上のせいだ・・・。
なぜ兄上は私の気持ちに気付いてくれないのか。歯がゆい・・・。
なぜ菊花様はそんなに心を開け広げに出来るのか。羨ましい・・・。
そんな菊花様を、なぜ龍神の姉君は止めないのか。自分も兄上が好きなくせに・・・。
でも、姉君の気持ちも何となく分かる。
分からないのは自分だ。
なぜ私は兄上を好きになってしまっただろう・・・。
このように、愛する兄上と、兄を慕う龍神の姫二人挟まれて独り悩む女子、若生鳳仙・1○才。
キミは堪らなく・・・いい。
君は決して負けてない。
容姿だって負けてない。ハートだって負けてない。
その可愛さも、女らしさも、想いの深さも、決して龍神女に引けはとらないはずだ。
兄妹という足枷があるとしても、本質的には関係ないはずなのだ。
現に菊花は龍神であることを顧みず、白桜に猛烈なアプローチを掛けているのだから。
その究極の禁忌を犯している菊花に比べれば、鳳仙など可愛いもの。
だから、彼女が唯一負けているとすれば、それは気合だ。
気合とは勢いに任せること。勢いとは自らを縛る足枷などものともしない心の強さ。
つまり自分の心に正直になることであった。鳳仙には気合が足りない・・・。
もっと気合を入れろ・・・!
そうしないと、いつまで経っても白桜は振り向いてくれない。
そうしないと、いつか兄上を横取りされてしまう。
だけど鳳仙はやはり鳳仙のままだったから・・・。
兄上を菊花様に取られてしまった。
もう傍観者に徹するしかない。
ここから苦悩の日々が始まった・・・。
平然を装っても、やはり心は揺れるもの。
菊花様と仲睦まじく過ごす兄上を見るのは余りにも辛すぎた。
でも、兄上の悲しい顔を見るのはもっと辛いから・・・。
兄上が幸せになれるよう力を尽くす。
いつでも兄上に付いて行く。
兄上は今までずっと私を必要としてくれたから・・・。
雨の日も、風の日も。
平穏な時も、危険な時も。
兄上と共に居る。
でも本当は、私自身が兄上を必要としているからかもしれない。
あきらめ切れないだけかもしれない。
あきらめ切れないから、迂闊にもこんな言葉を漏らしてしまう。
「私は兄上のことが大好きだ」
菊花様が天に召されたというのに、兄上を自分に振り向かせようとしてしまった。
でも希望にすがりたかった。
菊花様を失った兄上は、余りに危険だったから。
放っておくと、今にも死んでしまいそうだったから。
何とか繋ぎ止めたい。
兄上を現世に・・・。
だけど多分、繋ぎ止めたかったのは兄上の心。
嘘偽り無い自分の心を、愛する兄上に受け入れて欲しかった。
全て言葉のまま。私は兄上を愛している・・・。
この言葉、兄上に対して残酷過ぎる。
菊花様に申し訳なさ過ぎる。
私は厚かまし過ぎる・・・。
だけど、兄上は応えてくれた。
この世で自分を一番愛していると言ってくれた。
その言葉は、菊花様を失った兄上が現世に留まってくれるという可能性。
そして、自分が兄上の側に居られるという可能性。
一番愛する者を残して行くほど、兄上はいい加減な男じゃないから。
兄上は嘘を付くような人じゃないから。
きっとこれから上手く行くに違いない。
菊花様を失った傷は私が癒して行けばいい。
天が罰を与えたとしても、二人で抗っていけばいい。
生きてさえいれば、いつか笑える時が来る・・・。
そう思いたかった。
でも何故か、兄上は言葉と裏腹に死んでしまった。
それが自分の仕事だと言わんばかりに、菊花様の後を追って自害してしまった。
愛していると言った私を残してあっさりと、当たり前のように。
兄上は嘘吐きだ・・・。
だけど、本当は分かっていたのかもしれない。
自分では、兄上を留める理由にはならないということを・・・。
兄上が女として愛しているのは菊花様。
私は肉親として愛されていただけに過ぎない・・・。
それに世界で一番愛していると言ったのは、人間の世界でのこと。
菊花様は天界に住むお方で、この世の人には数えられないから・・・。
さらにその菊花様は亡き人となってしまったのだから、なおのことこの世の人には数えられない。
結局、どれを見ても私は二番でしかなかった。
兄上の一番にはなれなかった。
最期まで・・・。
その意味で、兄上は嘘など付いていなかったのだろう。
死ぬ寸前まで、私の幸せを心から願っていたのだろう。
でも兄上は勝手すぎる。
兄上が居ない世界に、私が生きる理由を見出せるとでも思ったのだろうか?
兄上の死を乗り越えられると考えたのだろうか?
私が言った「大好き」という言葉は、吹けば飛ぶようなものじゃない。
私の心はそんなに軽いものじゃない・・・。
それを軽く見て、自分は早々と楽になって、本当に勝手過ぎる。
だから私も勝手にさせてもらおう。
さっさと死んで兄上の元に行こう。
そうすれば、少しは楽になれるから。
あの世に行って文句を言えば、兄上も自分の身勝手さが分かるだろうから・・・。
でもそんなことはどうでも良いこと。
結局、兄上が居なければ生きて行けないのだ、私は・・・。
兄上は馬鹿過ぎる。
そんな馬鹿な兄上に朗報がある。
何と、遠い未来、兄上は転生することが判明したのだ。
何百年後か知らないが、兄上は再びこの地に生を受けることが出来るのだ。
そして恐らくは菊花様も転生なされることだろう。
私の先視の力はそう告げている・・・。
希望はまだ潰えていない。可能性はまだある。
良かったな、兄上・・・。
それにしても、最後まで兄上に尽くす私の健気さ。妹の鏡と言うしかない。
そんな妹の鏡を置き去りにするのだから、やはり兄上は馬鹿者としか言いようが無い。
残された私に構うことなく、さっさと転生の準備をしているのだから・・・。
兄上よ・・・。
ちょっと自分勝手過ぎはしないか・・・?
私を苦しめてそんなに楽しいか・・・?
許さない。
そんな勝手、納得出来るわけが無いだろう。
だから、
絶対に文句を言ってやる。
自分がこんなにも苦しいのに慰めてくれなかった兄上に・・・。
どこまでも追いかけてやる。
さっさと先に行ってしまった兄上を・・・。
そして遠い未来、彼に再会した暁には・・・。
とことん苛めてやりたい。
これは私が兄上に課した罰である。
存分に受けるがいい・・・。
鬱陶しがられたとしても知ったことではない。
私は兄上の命を救えず、死に目にも会えなかったのだ。
それに比べれば遥かに可愛いものではないか。
だから待っていろ、兄上・・・。
そういうわけで、私は死ぬわけにはいかなくなった。
神の摂理を曲げてでも、兄上の転生体に見えるまで生きなければならなくなった。
気が済むまで兄上をなじる為に・・・。
もしかして、思い通りには行かないかもしれない。
彼に出会ってしまえば、私はまた女に戻ってしまうかもしれない。
今も、そして未来も、私は兄上を愛しているはずだから。
私は兄上に文句を言うために生きるのか、それとも・・・。
本当の目的は分からない。
自分の心は計れない。
だからそれを確かめるためにも、まずは出会うこと。
遠い未来にて、兄上が転生した人間を見つけ出すことだ。
どちらにせよ、これから長年生きていく私が生きる理由は一つ。
私の望みはただ一つ。
早くあの人に逢いたい・・・。