ゆ
雪月澄乃<SNOW(スタジオメビウス)>
評点:6 属性:幼馴染
「あんまん大好き〜、えうっ♪ 彼方ちゃんはもっと好き〜、えうえうっ♪」
月宮あゆのように「主人公がくれたものを好物」とし、沢渡真琴のように「頭が弱そうな奇声」を発し、でも美坂栞のように「絵を描くが如き芸術的趣味」を持ち、川澄舞のように「昔遊んだ男の子を一心に待ち続け」る、水瀬名雪のような「ほんわかだよもん星人な幼馴染」を作れないものか・・・。
その試行錯誤の末、遂に生まれた雪月澄乃。諸要素を無理矢理詰め込んだ強みを活かし、わけのわからぬヒロイントップ3に早々とノミネート。
彼女は正に予測不能。行く先々で「あんまんは命の源だよ〜」と触れ回り、「えうっ、えう〜っ」という奇声を執拗に発し、たまに趣味である絵描きに出かけながら、10年前に一目惚れした彼方をほんわかと、でも一心不乱に待ち続けていた…。
そんなヤバ目のヒロイン・澄乃。
10年ぶりに再会した彼方が更に格好よくなっているものだから、ますますLOVESTは快調。彼の戸惑いなどお構いないに、初っ端から愛情表現をフル稼働させているのであった。
「えうっ! 彼方ちゃん大好きだよ〜♪ えうっ!」
一緒に過ごした期間はわずかだと言うのに、大した惚れぶり。彼女も神岸あかりや月宮あゆと同じく、幼い頃に洗脳が完了してしまったクチらしい。
まさに恋は盲目であった…。
しかし澄乃の場合、幼い頃からなどという半端なものでは無かった。
彼女の恋は、数百年越しの恋である…。
遡れば遥か昔。
龍神光臨の儀式を取り仕切る宮司・白桜と、彼に恋してしまった龍神・菊花の悲恋から、二人の運命は始まった…。
「人と龍神は愛し合ってはならない」という禁忌を犯した二人に対し、神は罰を与える。それは菊花の全ての記憶を無くし、それによって白桜を絶望させることであった…。
その結果、菊花は発狂した後死亡し、白桜は自害する。二人の間に出来た赤ん坊を残したままで…。
その無念を残した白桜の転生体が彼方であり、菊花の転生した姿が澄乃なのである。
龍神として生まれながらも人を愛したが故に、悲惨な死を賜った菊花。彼女はまだ幸せになっていなかった…。
だから彼女は、現代に転生し雪月澄乃としての幸せを求める。
数百年もの想いを蓄積させた彼女にとって幸せとは、出雲彼方と共に過ごすこと以外にあり得なかった…。
だから澄乃は目一杯彼方に愛情を振り撒く。
時には恋人として、時には母として…。
彼と出会えるならば、何年待とうが構わない。
彼を助けるためならば、大吹雪の中お百度参りをすることなど何でもない。
彼方ともう一度やり直す為、彼方と共に幸せになる為に、澄乃は生まれてきたのだから…。
そんな健気で精一杯過ぎる雪月澄乃という少女を見ていると、自然と嫌悪感も無くなるもの…。
「えう」という奇声は生まれ変わる前、即ち菊花の名残。
あんまんを大切にするのは、昔彼方がそれをくれたから。
全てが何百年も前から続く菊花の魂、そして澄乃という少女の魂だったのである。
そして今尚も続いている、天に対する罪人という運命。
何度現世に復活しようが、与え続けられる罰…。
澄乃はその輪廻を断ち切ってくれる出雲彼方を、ただ信じて待っている…。