あやめ(第一章)<銀色(ねこねこソフト)>

「わたし・・・光ってた?」


 

年齢不詳。名前は無い。
赤ん坊の時に色街の男達に拾われ、親の顔も知らないままそこの住人となる。日々見知らぬ男達の慰み者となることで生きていたが、ふとした時に外に出掛けたままあてもなくさ迷っていた所を儀助と出くわす。
生きていることを実感できぬまましばらく行動を共にするが、儀助と触れ合っていくうちに次第に心を開いていく。
人を襲って食料を調達する儀助の傍らに身を置く毎日の中で、儀助が戦いに没頭する際、彼女は相手の攻撃を受けた。その刀傷が元で体力は日々低下し、薬を調達に出かけた儀助の帰りを待つことなく静かに生を終える。誰にも生きた証を残すことも無く・・・。
好感度  8
忘れられない指数  9
萌え度  6
信者発生率  7
あやめ(第一章)<どっちかって言ったら>

 


独自調査と思い込みによる詳細

 概要 説明
容姿 生気の無い顔。覇気の無い声。しかし器量はなかなか良し。
その足に目を向ければ、逃げ出さないように腱が切られているのが見える。
みすぼらしい着物にはふさわしくないと儀助も分析するように、程度の良い容姿だろう。儚さを秘めた瞳に目を離せない。
性格 極端に感情を表に出さない。 色街でひたすら男に奉仕し続ける毎日。物心ついたときには既に囚われの身のような状況。情緒を育む機会さえ許されていなかった。それはただ、哀れすぎた。
言動 自分からは滅多に喋らない。一般人の常識を持ち合わせていないため、奇怪に思える言動がしばしば見られる。たまに笑顔を覗かせる。 ただ相槌を打つのみだが、それでも時折見せる変化は儀助の心を穏かにする。そしてだからこそたまにしか覗かせない笑顔は至宝の価値があるのである。蛍のことも知らない。それは無邪気と言うより無知であると言える、悲しい彼女の背景を思わせる。
好きなもの 握り飯。月 儀助についていって握り飯をお裾分けしてもらう。りっぱな戦略である。人を殺してまで手に入れた握り飯はうまかろう。そして殺さずに得た握り飯もまた・・・。「朱くないほうがおいしいね」、とは無邪気なものだが憑き物を落としてくれるようだ言葉だ。
そして月はそんなちっぽけな彼女さえも平等に照らしてくれる存在だった。
欲しいもの 生きた証  生きているか死んでいるかわからない毎日だからこそ、せめて生きたという証が欲しかったのだろう。

私的分析

ただ、儚すぎるのだ・・・。
生まれて間もなく母を無くし、拾われた先が色街。食べるのにも困らず、戦で命を落とすこともないなど、彼女の知る所ではないだろう。その意味を考えることすら許されていなかった。そして同時に未来を自分で決定することすら許されなかったのだ。
限られた空間で触れ合う人々。それは彼女を抱くために訪れる、一晩だけのぬくもり。そんな中、何を感じ取れるというだろうか。それは彼女にとって嫌悪の世界。そっと目を閉じて、ただ闇に身を任せる。その逃避とも言える行為が彼女に出来る精一杯だったとしたら、それはなんと悲しいことか。
出来ることなら救ってやりたい。しかしどうにもならないから画面に向かって叫ぶ。その中の登場人物も、彼女の存在など知らない。知らない者を助けることなど出来ない。まるで今にでも消え入ってしまいそうな存在であった・・・。
つまり彼女には存在感が無いということ。日々訪れる男達にも「おい」、「おまえ」と呼ばれる毎日。それは自分が何者かわからないと言うこと。
人には名前がある。そんな当たり前のことさえも彼女は持ち併せ利せていない。どうすればいい?唯一人、月を見て物思いにふける彼女の心境を誰が推し量れたというのか?月は等しく万人を照らしてくれる。そう言った彼女を救ってやれるのか?
しかし、だからこそ誰かに分かってもらいたかったのだろう。たとえ儀助のような人殺しでも。確かに一緒に居る間、彼女の光は今までで一番輝きを放っていたに違いないから。それは誰もが求める存在意義という概念。
だからただ、儀助だけには側にいて欲しかった。たとえ儚く消え去る取るに足りない存在でも、彼女の光を受け止めてくれる人が欲しかった。それはあまりに涙を誘うのだ。
「わたし・・・光ってた?」。朱の糸につぶやく彼女。
「わたし・・・生きてた?」。朱の糸に問い掛ける彼女の声。
しかし、届かない願い。朱の糸は銀に変わらない。
だが、それでも彼女は言う。
「こんなわたしでもね・・・確かに生きていたんだよ」
無限にある生命の営み。その中で輝く大きな光、小さな煌き。だれもが精一杯に生きている。
だからせめて、それくらい願っても良いではないか。それが彼女の生きた証になるのなら。
その声は儀助に届いたのだろうか?それは誰かに届いたのだろうか?たとえ届かなくても、少なくとも私には届いたのだ。俺はちゃんと見てるぞ、と伝えてあげたい。それで少しは満足してくれるだろうか?

生きているからこそ残したい、証。たとえ一握りの人にでも、心の中にだけでも・・・。
だからせめて最後だけでも銀の伝説を叶えて欲しかった・・・。
しかし彼女は儚い命を落とす。
これが悲しくなくてなんだと言うのか?
彼女の好きだったあやめの花は、その存在を主張するように咲いているというのに。
それでも儀助よ、そんな彼女に名前をつけてくれてありがとう。
名も無い彼女の名前。たとえ誰がつけたものであろうとも、彼女はきっと喜んでくれるから。
だからこそ彼女の名前は・・・
あえて言おう!!
「あやめ」であると!!
「ジーク、アヤメ!!」


最後は誰にも知られることなく時間の中に埋もれた2人。結局幸せになれなかった2人。



それは、悲しい風景。願って、そして叶えられなかった2人のあって欲しかった未来の風景。
せめて、向こうの世界ではこの笑顔で居て欲しいと願いたい。