コミックマーケット63 〜わが征くは同人の大会〜

遠征日:2002年12月30日(最終日)
執筆日:2003年 1月 2日(さわたり)
訂正  :2003年 1月 3日 閲覧者様よりご指摘あり。コミケ実施日の日付間違いを訂正しました(汗
 
※この文章は、コミケ63のレポートに多少アレンジを加えた、ノンフィクション寄りテキストです





コミックマーケット・・・。
それは漫画、アニメ、ゲーム等、いわゆる2D世界にどっぷりと浸かった兵達の宴。
原作だけでは満足出来ない飛び級ランクなマニア達の巣窟。彼らの夢と執念が結晶化したものである。
毎回この時期になると動き出す。
莫大な金が。
大地を揺るがすほどに溢れる人々が。
そして止まることのない妄想が。
同人というキーワードを拠り所にして・・・。

それが同人のエネルギー。
それがコミックマーケット・・・。

私、さわたりは、そんな宴に参加して来た。
前々回のコミケ61から数えて、ちょうど1年後のこと。
とらハを愛し、ねこねこを盲信し、バルドフォースにのめり込んでいる。そんなステータスを纏った時期のこと・・・。







12月29日(日) 18:00頃
ピキューン!ピキューン!
「がっ・・・!がっ・・・!がっ・・・!」
ドゴォッ・・!
「ぐああっ、やられたっ・・・! くそっ!強ぇじゃねーか、彩音のくせにさぁ・・・!」

18禁PCゲーム「バルドフォース」を起動し、奇声を上げるさわたり。
コントローラを握る掌が熱気を帯びていた・・・。
しかし、熱を帯びているのは何も掌だけではなく、

身体全体が熱い・・・


目前に迫るコミックマーケットを意識しての昂ぶりであることは明白だった。
明日、年に2回しかない巨大イベント「コミックマーケット」に参加する予定のさわたり。3回目とは言え、未だ初心者の域を脱しないであろう。その不安が更なる不安を導き、同時に興奮を招く。そして単独で行動した前回の冬と異なり、今回は彼のHPに訪れるお客を同伴させるという試み。その緊張感が更に興奮を促進させていた・・・。



20:00頃
ピンポーン・・・!
タバコを吸うさわたりの耳に、インターホンが鳴り響く。
来訪者を迎えるため、さわたりはドアを開けるのだった・・・。

「こんばんは、さわたりさん」
「やあどうも、ぷちまりもさん」

訪ねて来たのは予想通りぷちまりも。彼はさわたりが運営するHPにおける、いわばお客様である。そのぷちまりもが今回のコミケに同伴することとなった。
さわたりの位置付けとしては、コミケを体験したいが初心者であるゆえ不安を拭い切れないでいる彼の、いわばアドバイザー的存在である。ぷちまりもの質問に対して、さわたりは逐一答えていた・・・。

「冬は寒いですからね。ちゃんと着込んで行かないと・・・」
「ドリンクの基本はペットボトルですよ。缶だと携帯したまま行動出来ないでしょ?」
「まあ人気サークルなら3時半くらいから並ばないとダメでしょう。コミケ戦士達を甘く見てはいけません」
「つまり、カベって言うのは超人気サークルですよ。会場内では並ぶお客さんをさばけないから、その列を外に逃がすわけです。まあ文字通りですな」

次から次へとまくし立てるさわたり。
ぷちまりもが初心者である事実をいいことに、あること無いことを口早に教え込む。
まるで、「俺がコミケを仕切ってるんだぜ」と言わんばかりのしたり顔で・・・。

その甲斐あってか、コミケの雰囲気がいかなるものであるか、ぷちまりもには伝わったのかもしれない。
彼は好奇の目を向けながら、そしてビクビクしながら、明日に思いを馳せていた・・・。

「ふふ、初々しいぜ・・・」
ぷちまりもの表情を見て、独り納得するさわたり。
彼は昨年の夏コミを思い出しながら考える。
初めてコミケに赴いた時の自分も、やはりこのような感じではなかったか、と・・・。

昨年の夏。
まだ東京に来て1ヶ月程度しか経っていないさわたりを助けてくれたのは、大阪に居る旧友であった。
土地柄も分からず、知り合いもほとんど見出せない状態ではあるが、コミケというイベントを体験したい気持ちは強く、何とかして行ってみたい。
その折、彼の古巣である大阪から旧友が訪ねて来たわけで、目的は同じくコミケ参加であったというわけだ。
初心者であるさわたりは、コミケに赴くため大阪の旧友に金魚のフンのようにくっついて行動したことを覚えている。

誰しも独りでは不安である。
それが初めての場所、初めての試みであるなら尚更だ。
ゆえに同伴者が要る。経験者であれば、より一層頼れるかも知れない。
誰しも最初は怖いものだから・・・。
コミケとは、そんな人間心理の一角を示唆するテストケースである。

そんな体験を元に、今、コミケに動じないさわたりが居て、対極には動じるぷちまりもが居る。
「(同人魂は世界に広がり、そして思いは受け継がれる・・・。そうだろ?フィアッセさん・・・)」
一日中部屋にかかる「とらハソング集」を聴きながら、さわたりは独り悦に入っていた・・・。



打ち合わせ―
「さて、ぷちまりもさん。サークルチェックは万全ですかな?」
さわたりは何故か自信たっぷりに問うた。
「うーん、ある程度は。でも、多すぎて分かんないですよね〜・・・」
ぷちまりもを見るに、行きたいブースを完全に特定できたわけでは無さそうだ。2000円以上出して買ったコミケカタログは無作為にめくられ、まるで指の運動の為に買いましたといわんばかり・・・。

無理も無い。
参加サークルだけでも数百、いや数千。一般参加者に至っては数十万にのぼる。そんな混沌極まりないイベントがコミケなのだ。その多岐で無造作に立ち並ぶサークルの中から、何百分の一に絞れというのが不可能である。
結局カタログは形骸化し、ネットサーフィンによる検索が始まる。
「まあ所詮カタログなんてそんなものさ・・・」
入場する時コミケカタログの所持をチェックされると思い込んでビビっていたさわたり。今となってはその顔に余裕の表情を浮かべることが出来た・・・。

ネット検索で次々とターゲットを絞るぷちまりも。
さわたりも一応再チェックをし、大体の目標が決まったところで一旦打ち合わせは終わった。

「時間は・・・まあ開場時間に着くくらいでいいでしょう」
「そんなんで大丈夫ですかね?」
「まあ今回はコミケの雰囲気を楽しむのが第一目的ですから、無理をする必要もないでしょう。徒党を組んで臨むヤツ、気合を入れてゲットしようとするヤツ。そんなヤツには絶対敵いませんからね。だから我々はマッタリ行くのが一番でしょうよ。それに・・・」
(ダメな時は何をやってもダメさ・・・)
さわたりは過去のコミケでそのことを思い知っていたのかもしれない・・・。

ともあれ、形だけでもコミケ準備が整った二人。
あとは気の赴くままに時間を費やす・・・。
気付けばぷちまりもは「バルドフォース」のサバイバルモードをプレイ中。
さわたりは「ゴルゴ13」を熟読中・・・。
こうして夜は更けていく・・・。



12月30日(月) 5:00
「・・・ちょっと。もう5時なんですけど」
時計を見て驚愕の意を示すさわたり。
「あ、ホントだ。結構ヤバい感じですねぇ」
やっとバルドのサバイバルモードを終え、結構のん気なぷちまりも。

それでもあまり落胆はしない。
「ま、8時くらいに起きればいいでしょう。遅れた時は遅れた時なりの行動をすればいいことですしね」
余裕か、はたまた諦めか。コミケに対する意気込みが甚だ怪しい二人であった。
後にこのやる気の無さがさわたりの首を締めることになることを、陽気な彼はまだ知らない・・・。



8:00 出発

「それじゃ、行きますか」
二時間少々寝てある程度の回復を得たものの、万全とは程遠いさわたり。
「うぐぅ、眠い・・・」
何故か寝付けなかったぷちまりも。
夜更かしの天罰覿面。二人は眠い目を擦りながら、頼りなく電車へ駆け込むのだった。



JR新橋駅
ビッグサイトへの連絡駅「新橋駅」の人は、予想以上にまばら。コミケで賑わうという雰囲気からはまるで無縁だった。
「普通ですね・・・」。
そうポロリと洩らしたぷちまりもの言に、さわたりは動揺。
「電車はいつでも満員状態。まあ堪らんですよ」と散々ぷちまりもに吹き込んだ彼にとって、この光景は非常に肩身が狭いと言えるだろう。
「(どうしてっ・・・?コミケつったらアレだろ?周辺の駅にはもっと人がブァーッ!て・・・!そんなせわしない輩が沢山居て・・・。それが新橋駅だったはずだろ? 何でこんなに寂れてるんだよ・・・?)」
肩透かしを喰らった格好のさわたり。こうなっては弁解するしかなかった。
「まあ、新橋駅よりも問題は『ゆりかもめ』。この電車に乗るのは相当厳しいですよぉ」
上ずった声で言う。
疑惑のぷちまりもを正面に見据えながら・・・。



ゆりかもめへGO
二人はゆりかもめに搭乗しようとホームへ駆け上る。
しかし、さわたりの思惑とは裏腹に、そこでも予想以上の閑散ぶり。焦燥は高まった・・・。
「普通に座れましたね」
ぷちまりもの追求めいた視線は最高潮。
「・・・そ、そうですね。いやぁ、運がいい!はははっ・・・!」
さわたりの焦りも最高潮。
「そう!きっとみんな既に会場に並んでるんですよ!こんなに遅く来る人間は、まあ少数ですから・・・。速きこと風の如し!これがコミケ戦士のあるべき姿ですよ」
とりあえず論点をずらしにかかるさわたり。
「おお、なるほどぉ。みんな気合入ってますね」
まんまと乗せられたぷちまりも。
この日、ゆりかもめの搭乗員数はきっと過去最高だと、せめてそう信じたかった・・・。



ビッグサイト到着

「うわぁ〜っ、多い・・・! この人達みんな気合満々かな?いや、違うな。気合満々ならもっとブァ〜ッ!って動くもんな」
はしゃぐぷちまりも。
「まあ、まだまだ序の口ですよ♪」
どうだ見たかと、何故か胸を張るさわたり。
いち早く列に並ぼうと足早に歩を進める人間の中、二人は比較的緩やかに歩いていた・・・。
途中で何人に追い抜かれたって、日常のペースが俺達のペース。それに、
「(どうせ今から急いだって大して変わるまいよ・・・)」
独りごちるさわたりと、それに付き添うぷちまりもは、およそ最後尾部分に属するであろう場所へ待機するのであった・・・。



待機中
「結構並んでますね。いつ入れるんでしょう?」

問うぷちまりもに対し、さわたりは「まあ11時くらいにはなるでしょう」としたり顔。
「前々回のコミケでは3時半に並んでねぇ♪」と、戦時中を懐かしむ老人のように、数少ない武勇伝を語りながら・・・。
しかし予想以上に列の流れは機敏。
10時半には入場出来たのであった・・・。

「やっぱり予想より大したこと無いですね」
「(グサァッ・・・!)む、昔はもっと凄かったんですよ。いやホント・・・!」

弁解しつつ、さわたりも感じずには居られない。
昔より人が減っては居まいか?と・・・。
それが景気によるものか、または同人人口の減少によるものであるのか、さわたりには到底判断がつかないが・・・。
前者なら寂しい。だが、後者ならばもっと寂しい・・・。





10:30頃入場 〜明暗を分けた東西の選択〜
「さて、東館か西館か、または企業ブースか・・・。どうします?ぷちまりもさん」
「さわたりさんの良きように。私は付き添いですから」

この時、さわたりの大脳はまるで活動していなかったのかもしれない。
何故なら彼は、最初赴く場所として東館を指定したのだから・・・。
基本的に絶対にゲットしたい品が集中しているのは西館。次に企業ブースのはずである。東館でチェックしているサークルは、数えるほどしか無かった。

だが、さわたりは東館を選んだ。
何故か?
それは、東館がコミケの顔と言われているからかもしれない。
その東館で前回悲惨な仕打ちを受けた自分の本能が、「名誉挽回をせよ」と命じたからかもしれない。
あるいは、コミケとは参加することに意義があり、商品ゲットはそのついででしかあり得ないと、無意識で自分なりの矜持を打ち立てていたからかもしれなかった・・・。

ともかくさわたりは西館を捨て、あえて東館に突き進み、ぷちまりもはそれに着いて行くのみである。
結果的にそれが、目も当てられない惨敗を迎えることになっても・・・。


歩き出したら戻れない・・・・


この人の流れの中ではとても・・・




11:00頃〜 東館
とりあえず東館に赴く二人。
「おお〜、なかなか凄い人ですなぁ・・・!」
「まあ、東館ですから」
真偽の程は別として、雰囲気がコミケという感じで良い。そう二人とも思っていた・・・。

そんな東館。
さわたりは前日、知り合いから「時間があれば買ってきて欲しいリスト」を貰っていた。それが東館に集中しているわけで、さわたり的には連れとの義理を果たす意味合いも含まれていただろう。
だが、それはとりあえず置いておくことにした。
頼まれ物とは、本来優先順位的に下位に位置するものだから。連れも「時間があれば」と言っているのだから。ここはそれを真に受けて・・・。

思い至ったさわたりはぷちまりもを見た。
すると、ぷちまりもが何やら興奮している。どうやら目的のサークルにぶち当たったようだ。
「葉鍵ロワイヤル」
それは言ってみれば、「バトルロワイヤル」のLeaf&Keyバージョン。登場キャラが殺伐と殺し合う小説であった。聞くところによると、2chの葉鍵好き住人達が、創作したものだと言う。噂には聞いたことがあり、自分も薦められていた・・・。
それを前に今、ぷちまりもが財布から金を取り出している。
「これをずっと待っていた」と、彼はそう言っていた・・・。
なるほど望みの品がゲット出来て幸せそうである。それに当てられてか、さわたりも無意識に手を伸ばす。
LeafとKey。
自分的最上ランクから外れたとは言え、その魅力あるキャラクタへの愛は、未だくすぶることがなかったから・・・。
とにかく初戦は満足と共に終わり、二人は足を進める・・・。



東館、初戦だけ・・・
だが、後が宜しくない。
何箇所かサークルを回ったが、大抵はカベ。もしくはそれに近しい混雑。さわたりはそれを見た瞬間いち早くげんなりしていた・・・。
「(あの一年前の悪夢をもう一度繰り返すと言うのか・・・)」
二度と長蛇の列には並びたくない・・・。そう思った瞬間、闘志は消え失せるもの。
そして弁解とばかりに口はこう動く。
「まあ、どうせ並んだって売り切れでしょう。無駄な努力ですよ、多分・・・」
雰囲気を敏感に感じ取ったのか、ぷちまりもも何となく腰を重くしていた・・・。
「ま、とりあえず西館にでも行きますか?」
困惑するぷちまりもに対し、取り繕うように言った。そして同意を得て、東館を去るのであった。
これはつまり後回し。いや、体のいい撤退であろう。
戦わずして逃げ去ったのだ、さわたりは。
たとえ列が長いとは言え、並ばなければ何も始まらない。無から有は生まれない。
そう知りつつも、あの列はやはり苦手だった・・・。

最初の勢いはどこ吹く風。2人は西館へ向かう。
その途中、さわたりは考えていた。
「これは、俺の悪癖・・・。カベはどうにも歯が立ちそうに無いから棚上げにして・・・。『どうせ無理だから』と決め付け、でも遠吠えだけは吐く。西館に逃げながら・・・。 それは一種の放棄癖・・・。ふてくされだっ・・・!」
なぜ、それに気付かない・・・
いいじゃないか、格好悪くても。たとえ一時流されても。
最終的にゲットできれば問題ないのだから・・・。
だから並べっ・・・!勝つために・・・並ぶんだ・・・!!

しかし、気付いた時には既に西館に居た・・・。




@西館 〜HAMEX-MEN
東館の逡巡が命取りになる。無意識ではそう確信していたに違いない。
だが一縷の望みに賭けて、二人は早速行動を起こした。

その時さわたりの歩に淀みなど無く、一目散にあるブースを目指す。
そのサークルこそが「HAMEX-MEN」。MMRキャラを巧みに使った笑いのセンスは随一である。それがコミケに出展するというから気が気ではなかった・・・。
多分、これは早く売り切れるだろう。そうさわたりは予想していた。
だが同時に彼は、この時ある種の楽観を抱いていたのかもしれない。
マイナーだという決め付け。エロも何も無い同人ソフト。見落とす人間は多いはず。だからきっと今から行っても大丈夫なのではないか?とそう思っていたのである。
ネットを介した時の情報伝達の早さはどこよりも迅速、そしてねずみ算式。その当たり前を無理やり思考から除外して・・・。
そう、「HAMEX-MEN」サークルの同人ゲームは既に完売。
ブースに残るは、一仕事終えて握り飯をかっ食らう、サークルの方々の姿だけであった・・・。
ある程度予想してはいたものの、驚愕を隠し切れないさわたり。堪らずその人に聞いてしまう。
「あの〜、HAMEX-MENさんの作品は、既に完売で・・・?」
それを聞いて、ちょうど目の前に居た人がスックと立ち上がる。
「あっ!ハイハイハイ!握り飯食ってる途中でスンマセン! そうですね〜、何か知りませんけどすぐに無くなっちゃって」
「ぐぅ、そうですか・・・。再販とかのご予定は無いのですか?」
「ああ、ハイハイハイ!一応予定はしておりませんが、もしプレイした皆さんから『面白い』というお声が多ければ考えますです、ハイ。逆に、『こんなのつまんねーぞゴルァ』ってことになったら多分再び姿を見せることは無いでしょう、ハハハ・・・」
「き、きっと面白いですよ!いつもボクも見てますし!」
さりげなくアピールするさわたり。
「これはこれは、ありがとうございます。まあプレイする皆さんの報告待ちということで・・・」
「そ、そうですか。ぜひ期待してます。これからも頑張って下さい」
「はい、どうも〜」

なるほど面白い作品を作るのも頷ける。どの方がチョンキバヤシさんか知らないが、とりあえず話しているだけで面白い人であった。
だが作品が手に入らなかった事実は変わらない。
面白ければ再販の目もあるらしいが、それはHAMEX-MENスタッフの方々と、そしてゲットできたユーザーに掛かっていた。

「予想以上に即売切れでしたね、さわたりさん。侮れませんね・・・」
見かねて気を遣うぷちまりもに、さわたりは言った。
「こ、こうなったら掲示板に書き込んでやる・・・」




AExpensive Noise

高井夜音氏のアイコンサイト。
ここもコミケに出すが、猛然とアピールしたのはぷちまりもだった・・・。
「これは逃せません!さあ行きましょう!」
ズルズルと引っ張られるさわたりであったが・・・。

「完売しますた」
ある程度予想出来たとはいえ、まあ無情だったのかもしれない。
高井氏本人であろう。商品の無くなった机で一人鉛筆をすばやく走らせ美少女を描く人がいた・・・。
「ほぉ〜、上手いものだな・・・」
そこそこ他人事のさわたりは無邪気に感心する。
だが、その横で今度はぷちまりもが落胆の色を見せていた・・・。
「まあ、人気のあるサイトですから気を落とさずに、ね?」
とりあえずさわたりはフォロー。それを受けてぷちまりもは立ち直る。
「まあそうですよね。でもあの方が高井さんだって分かっただけでも来た甲斐がありますよ!」
そう。商品はゲット出来ずとも、製作者に対面するだけでも価値があるはずだった・・・。



Bクリアバージョン
コミケに来た理由の一つとして、知り合いへの挨拶というものがあるだろう。
さわたりは自らのHPの掲示板アイコンに、クリアバージョンの製作者であるわいあい氏の画像を使わせて貰っている。その人がコミケにサークル参加しているとなれば、初対面とは言え顔を出すのが筋であった。
ぷちまりもを伴い、緊張した面持ちでブースへ近付く。机に一人座っていた・・・。
さわたりは声を掛ける。
「あ、あのっ・・!『さわたりのぺーじ』のさわたりですが、ここはわいあいさんのブースですよね・・・!」
「ああ、はい。そうです」
そう応えつつも相手方の反応が宜しくない。
「え?あんた達、誰?」と、顔が物語っていた・・・。
「(しまった!いくら何でも馴れ馴れし過ぎたか?そもそも俺は何を舞い上がってるんだ、一体?)」
さわたりは固まる。ぷちまりもも固まる・・・。
打つ手なし。そう思えた・・・。
しかし、
「ああ、えーと。わいあいさんなら今、留守中ですよ。一時くらいには戻ってくると思いますが」
「・・・え?そうなんですか?」
さわたり達は、わいあい氏では無い人に話し掛けていた。分かるはずも無い・・・。
次の瞬間、肩の力は大いに抜ける。
わいあい氏本人の前で買うのが筋だろうが、同人誌は売り切れると予測したのでその場で購入。
そして「じゃあまた来ますので」と捨て台詞を残し、その場を去るのであった。



その他
とりあえず、一通り撃沈の気配を見せた西館騒動。
だが落胆してばかりもいられないので、他のサークルに赴き買い漁るのだった。

・致命傷 「らぐなの『ぐ』
・蛸壺屋 「楓ちゃんの憂鬱!!」
さわたり的にはこの二つのサークルには通常以上に執着しているので、それらを無事ゲット出来たことは幸いである。
その後もさわたりは、順調に衝動買いを発動させていた。
ぷちまりもの財布の紐は堅かった。

ふとカベを見る。すると、
・JOKER TYPE
西又葵のサークル。前々回は姿を見ることすら適わなかった存在だ。それが文字通り山のような同人誌を積み上げ販売に勤しんでいた・・・。
「ほう、これはまた、強気な冊数だ・・・」
「5000冊くらいはありますかね?」
本当に一日で売れるのか?といわんばかりに挑戦的な物量を見て、思わず二人は立ち止まる。
「大庭詠美でも確か2000冊くらいだったはずから、こりゃ相当の自信ですよ、ぷちまりもさん」
何やら怪しげな例えを用いて分析するさわたり。
「へぇ〜っ!そうなんですか。さすが『それ散る』の原画家さんですねぇ」
分かったのか分からなかったのかは別として、納得するぷちまりも。
しばらく後、ぷちまりもは「こみっくパーティ」をまだプレイしていないことが判明している・・・。
しかしその勢いに乗せられたのか、彼は大変興味を示していた。
「まあ、あれだけあれば売り切れるってことはないでしょ?」
自信満々のさわたりの言を汲んで、ひとまずはその場を立ち去るのであった・・・。



C翠屋本舗
さわたりは飛び込みで駆け寄る。
なぜならとらハを扱っていたから・・・。
計画も無しに、無造作に買うのがコミケにおけるもう一つの醍醐味。それをさわたりは知っていた。

とりあえず、ドアノブに掛けるボードを数種類購入。
使うかどうかは別としても、手を伸ばさずには居られない。
なぜならとらハだから・・・。

「いいじゃない?かわいいじゃない、さくらタン」

その時、さわたりの凍結した笑顔はようやく氷解したのかもしれない・・・。


そんな感じである程度目標を達した二人。
「そろそろ企業ブースに行かないとヤバいんじゃないですか?」
ぷちまりもの進言を是としたさわたりは、早速企業ブースを目指すことにする。

だがその前に、さわたりには一つだけ消化せねばならない心残りがあった・・・。
それが「HAMEX-MEN」の完売についてのいきさつである。
あれだけ豪語した手前、結局購入できなかった不手際。それをどう申し開きするのか悩んでいたのである。
仕方なくさわたりは決断する。
「こうなったら、その敗退自体をネタにするしかない・・・!よって、せめて写真を撮ろう!」
「え?それのどこがネタなんですか?!」
「僕も知らない!だけど写真があれば証明できるじゃないですか!『完売』という事実が! そして言えるじゃないですか!『ボク達頑張ったんだよ』と!」
「え、えぇ〜〜っ・・・!」

ぷちまりもの不審な視線を背に、もう一度HAMEX-MENのブースへ向かうさわたり。もはや周りが見えていない状態だった。
「あの、すいません。せめてこの完売状態の写真だけ撮ってもいいでしょうか?」
「え?ああ〜ハイハイハイ!スンマセン、握り飯かっ食らってる最中で!こんなんでよければどうぞ」
前にも聞いた気がするが、まあいい。メンバーの人は、写真を撮り易いようにと律儀に席を立ってくれた。
その気遣いを多少嬉しく思いつつ、さわたりは敗戦記念を写メールに収めるのであった・・・。


去り際。
「ところで、これって何本生産されたんですか?」
「えー、200本ですね。それで十分だと思ったんですが、まさかこれほど早く売れきれるなんて」
「なるほど、そうでしたか・・・」
ある意味衝撃、ある意味納得のさわたりであった・・・。





企業ブース
「企業ブースにはあまり期待しない方が良いです」
「すぐ売り切れちゃうから?」
「そう・・・この場所こそが理不尽の巣窟です。転売屋と最高峰の信者の前には我々など赤子同然。欲しい物は戦う前からして無いのですよ・・・」
「激しい世界ですね・・・」

そんな根拠の無い会話を行いながらも、目指すブースは一応決まっている。
ねこねこソフト、フェイス、そしてディスカバリーがそれだ。



@ねこねこソフト
コミケ商品は通販で予約したにも関わらず、何故ねこねこに行かなければならないのか?
それは、さわたりが通販の料金を期日までに入金していなかったからである。
「すっかり忘れてまして・・・」
だが弁解とは裏腹に、さわたりには特に落胆した様子が見られなかった。もはや吹っ切れているのかもしれない・・・。

そんなねこねこソフト。
以前は看板に「ねーこねこソフト」と書いてあったそうだから、今回もやってくれるに違いない。多分「ねこねこソーフト」あたりだろうか?さわたりはそう思っていた。
だが、



「・・・・・・・ねこねこソフート」
その大胆さにあきれつつ、でも頬の緩みが止まらないさわたり。
「(ふふふ、さすがはねこねこ、そう来たか・・・。満足だ。俺はこれだけで満足・・・)」
その看板を見上げつつ、いつまでも微小を称えていた・・・。
「(行列ではビジュアルアーツに負けても、舐めた態度なら誰にも負けないのがねこねこ・・・。そうだろ?)」

「ちょっと、さわたりさん!」
そのひと時をぷちまりもの一声が突き破る。
「ん?何ですか?」
「進藤さんのシングルのヤツ、やっぱ売り切れてます!」
「がっ・・・!忘れてた・・・」
「えぇ〜!それでもねこねこ信者なんですか?」
「いや、つい名前に夢中で」
「ハァ??」
そんな会話の中、見上げれば確かにやかま進藤のシングル「冬もマシンガン」率いるクリスマスセットが見事に完売していた。

「予想していたこととは言え、切ないものだ。ならばせめてあのバスタオルだけでも・・・」
自分に言い聞かせるように、さわたりはコスプレをした売り子の前に立つのであった。

「これ、下さい!」

そう高らかに言う。
コスプレの女性はにこやかにバスタオルが入った紙袋を渡してくれた。
「2000円になりま〜す♪」
「はいはい、2000円ね。どうぞ・・・」
「はいっ!ありがとう、お兄ちゃん♪
「こちらこそ・・・・・・えっ!?」

さわたりは十数秒後に気付いた。
そのコスプレ女性が確かに「お兄ちゃん」と言ったことに・・・。

「何故、お兄ちゃん・・・?もしかして俺に気があるのだろうか・・・?」
しばらく愚考を繰り返すさわたり。そして、
「・・・・あっ!! まさかあれは・・・雪希のつもりかっ・・・!? ねこねこに骨まで侵されている信者共の欲望を少しでも満たしてあげようという、ねこねこソフトの粋な計らいかっ・・・!?さすがはねこねこ!こいつはやられたぜ、なあオイ・・・!?」
誰にともなく浮かれるさわたり。
前方で待ちぼうけを喰らうぷちまりもを見つけるや否や、早速走り出していた。
「ちょっとちょっと、ぷちまりもさん!ニュースですよ、ニュース!!」

さわたりが所有するねこねこ株が、また一ランク上昇した・・・。




Aディスカバリー
ここは毎回、とらハ関連の独壇場。
とは言っても、いずれ店頭で普通に発売されるであろうOVAやCD等を扱っているだけである。
とは言っても、発売前に売っているところを見せ付けられたら買わずには居られない。
1/1発売予定の「とらハサウンドステージX」を速攻で購入するに至る。
「やっぱとらハファンはこうでなくてはな・・・」
さわたりは、一人満足していた・・・。



Bフェイス
別にエロゲメーカーというわけではないこのブース。
なのに何故譲れないかというと、今回とらハ関連のグッズが多いかったから。とりわけ綺堂さくらグッズを惜しみなく展示していたからに違いない。
さわたりは無類のさくら愛好家。自らはそう思っていた・・・。

今回狙うは多数あるも、その中でもダントツでさわたりのハートを射止めたのが「さくら時計」。
さくらのボイスが入った目覚し時計らしい。
俄然、さわたりは妄想の虜になる。

「センパイ・・・朝ですよ」

「・・・・・うおっ! うおっ!! 欲しいぞオイ!!」
この上なく興奮していた・・・。



だが、その期待感も束の間。

「・・・・・・・・・・・売り切れ、だって?」
予想通りと言えば予想通り。さくら好きが多いから商品化されたのであり、ファンが多いければ多いほどそれを放っておくはずも無い。完売するのは自明の理だった。
それを分かっていても、尚さわたりは崩れ落ちる。その眼前は闇に閉ざされていた。

「さわたりさん!『さくら時計』売り切れですよ、売り切れ!」
「聞きたくない!聞きたくない!」
現実逃避をするさわたりに、ぷちまりもは容赦なくその事実を叩きつける。
だが、そのぷちまりもの次の言に、耳を傾けざるを得なかった。
「これ!『完売』の札の下に、『あと少しだけあります』って文字が書いてありますよ!つまり、一番最初に行けばゲット出来たんじゃないでしょうか?」
「ぐっ・・・!そんなこと・・・・そんなこと・・・・!」
あるかもしれない・・・。
二兎を追うもの一兎も得ずの言葉があるならば、その逆に一兎を追い求めればそれだけは得ることが出来る。そう言って何の間違いがあろう?
さわたりはここに来て、初めて自分の失策を呪った。
「俺はまたやっちまったのか?その場で決断しない『保留癖』を、またやっちまったのか・・・?」

気付いた時にはもう遅い。
さくら時計が二度と手に入らない事実に、さわたりはただ打ち震えるのであった・・・。


しかし数分後・・・。
見れば、他のグッズはあることに気付く。

「そうだ・・・。まだ終わってない。」
「え?」
「まだ、とらハが全滅したわけじゃない。」
「さ、さわたりさん・・・?」
「さくら時計がダメなら、他の商品で補完すれば問題ないはずだ!よしっ!」
取り憑かれたように、さわたりが突然ブースへ駆け寄った。
そして、
「これ下さい!この『とらハキャラファスナーアクセサリー』と、それと、この『フィアッセマグカップ』!二つとも下さい!!」
 
何かに突き動かされたように、とらハグッズを買い漁るさわたり。
「さ、さわたりさん。だってそのアクセサリーだけで4500円ですよ?本気ですか?」
ぷちまりもの声も届かず、さわたりは1分後に怪しい笑みを浮かべながら戻ってきた。


「コォコォコォ・・・♪これでとらハ関連の企業ブースは完璧だ」
常軌を逸した衝動買いに、ぷちまりもは怯んでいた。
「でも、さくら時計、結局買えなかったんでしょ?主目的の喪失を埋め合わせするには、それらの商品じゃ、ちと足りないのでは・・・」
「何を言ってるんです、ぷちまりもさん!!」
「ひっ!!」
言って、さわたりは4500円のファスナーアクセサリーを取りだす。
「ほれっ!このアクセサリーとやらにもさくらバージョンがあるじゃないですか?これだけ手に入っただけでも私は幸せですよっ。 破格に幸せっ・・・!」

「た、確かにそうかもしれませんが、しかしいくら何でもそれだけじゃ・・・」
食い下がるぷちまりもに、更に西館でゲットした掛札も取り出し見せてみた。

「これだってさくらです?そうでしょ?」


「た、確かにさくらです。でもそれとこれとは・・・」


「フッ・・・!いいですか、ぷちまりもさん?」
突然、悟りを開いたかのように、さわたりの顔が自信満々になった。
そして動揺するぷちまりもを前に力説する。


「確かに、さくら時計とやらは素晴らしい」
「・・・・・・・」
「しかし・・・」





「さ、さわたりさん・・・。あなたは・・・」

言い終えたさわたりの目は、かすかに潤んでいた・・・。



C戯画
バルドフォースに夢中の二人。
戯画ブースではバルド大会を催している模様である。
自然と足がそこへ向かった・・・。


見れば、3日間を通しての一位が385DAMと書いてある。つまり、一回のコンボで385ポイントのダメージを叩き出せば良いわけだ。それを追い抜けば商品がもらえる。
「これならいけるんじゃないですか?」
「確かに・・・」
少なからずバルドフォースの腕に覚えがある二人は、少し調子に乗っていた。
しかし、よく見れば使える武器が最初から指定されている。
しかも、コンボに使えなさそうなビーム兵器やらが平気で組み込んであった。
これらを駆使して300以上のコンボを組むなど即席で出来るはずも無い。
二人は、世の中を甘く見た迂闊さを恥じ、すぐに落胆した。

「やっぱ、我々ごときが出る幕じゃないですね、さわたりさん」
「ええ、世の中はやっぱり広いってことです、ぷちまりもさん」

即席で次々と見事なコンボを組んでいくプレイヤーに敬意を払いながら、その場を後にするのであった・・・。


こうして企業ブース巡回が終わる。
途中コスプレ広場で別世界を見て、大変満足感を覚えていた。

「あとは、西館でももう一回整理しますか?」




再び西館へ
一時を回ったこともあり、わいあい氏へ今度こそ会うために「クリアバージョン」のブースへ向かう。
そこには一人の青年が座っており、「あれがきっとわいあいさんですね」と二人して頷き、足を進めた・・・。
「あの〜、わいあいさんでしょうか?」

しかし、
「いえ、違います。わいあいさんはもう少ししたら帰ってきますよ」
またも不発。同人誌は既に売り切れていた・・・。



時間を潰す
さわたりはとらハコーナーへ。ぷちまりもは月姫コーナーへそれぞれ向かう。
さわたりは前半で金を浪費しすぎた為、少し慎重になっていた。
ぷちまりもは「もう少ししたら衝動が爆発しそうですね」と宣っていた。



合流できず
携帯が繋がらないのは当たり前。
そう知りつつ、つい携帯を鳴らす輩の何と多いことか・・・。
やっと掛かった電話。
「どこ居ます?さわたりさん」
「じゃあ、とりあえずわいあいさんのとこで合流」と一言。
「じゃあいつものところで」とでも言わんばかりに、自然に待ち合わせポイントを定める二人であった・・・。



JOKER-TYPE再び
ぷちまりもが叫ぶ。
「西又葵さんのヤツ、買いましょうよ!」
「えっ!いや、ボクもうお金が底をつきましたから・・・」
「そうですか!じゃあボクだけでも買って来ます!」
気合が入ってきたぷちまりもを背に、さわたりはそのサークルの売れ行きを見る。
すると、午前中山のように積んである本が、半分ほど減っていた・・・。
「半分も残っているのかと同情すべきか、半分も売ったのかと感嘆すべきか、さて・・・」
あまりにケタの違う搬入量を誇る「JOKER-TYPE」にとって、どちらが本音なのか、一ユーザーのさわたりの知るところではない・・・。



クリアバージョン・三顧の礼
クリアバージョンに目を向けると、ついに本人らしき人物が見つかった。
「こ、今度こそ大丈夫ですよね・・・」
「た、多分・・・。」
おどおどしつつも、ブースへ向かう二人。

「わいあいさんですか?」
「はい、そうですが」
「(よしっ・・・!今度は成功だ)」
二人して確信する。
だが、自己紹介を済ませていない我々を見て、氏はいぶかしげな様子である。
それを見て、開口一番ぷちまりもが爆弾発言をした。

「『チームさわたり』の者です・・・!」
「えっ!?」
「えっ!?」

わいあい氏とさわたり、両者がぷちまりもに振り向いた。
「あ、ああっ・・・!さわたりさんのところの!これはこれはわざわざ来て下さって感激です!」
わいあい氏は喜んでいる模様。
「(チ、チームってちょっとアンタ・・・!二人しか居ないでしょうが!?)」
さわたりは動揺している模様。
それでも、ここに最後の目的を果たした・・・。

軽く現状報告をしつつ、楽しいひと時。
商品をゲット出来るに勝る充足感を、確かに感じていた・・・。

「あ、ウチの本は買えました?」
「ハイ!しっかりと午前中に!!」
さわたりとぷちまりもが同時に叫び、最後に「頑張って下さい」と声援を送って、暖かなひと時は終了した・・・。


「いやぁ、いい人でしたなぁ」
「そうですな」



あとはマッタリ・・・
これを以ってちょうど良い区切りとした二人。
帰る直前に、ぷちまりもの最後の欲望の爆発。月姫関連グッズを山のように買い漁り、さわたりを困惑させるのであった・・・。




そして帰途へ・・・
「疲れましたね」
「ええ、疲れました」

「でも、楽しかったでしょ?」
「ええ、楽しかったですね」


これで3回目のさわたり。
今回が初めての経験、ぷちまりも。
確かに商品獲得率は3割にも満たなかったかもしれない。
でも・・・、
それでも・・・


そこに人が居るならば、
そこに同人誌があるならば、




俺達は、そんなコミックマーケットにまた行きたい






かもしれない・・・








祭りの後
コミケ後、二人は秋葉原へ直行。
ちょうど近くに居た海斗氏を呼び寄せ、打ち上げらしきものを催す。
ぷちまりも「やっぱり品物を確実に手に入れるには、チームを結成するしか無さそうですな」
海斗「人海戦術というヤツか。雀鬼龍さんとこもそんな感じだった」
さわたり「なるほど、チームね・・・」
そして後はとらハについて語る・・・。


帰りの電車内、さわたりは冒険をしている。
ねこねこソフトの紙袋を堂々と掲げ、しかもその日購入した「葉鍵ロワイヤル」をおもむろに取り出した。
その表紙には、浩之やあかりの絵が描かれていた・・・
「いいのか・・?本当にいいのか・・・?電車内でマニア本を堂々と読む!その一線を超えてしまっていいのか?今日の俺は何かが違う・・・!」
その時さわたりの脳裏にある言葉が蘇る・・・。
「きっと、酔ってるんです・・・」

「そうだ!俺は酔っているんだ!だからここで日和がプリントされた袋を見せびらかそうと、あかりの絵が描かれた本を開こうと何ら問題ない!ありがとう茜ちゃん・・・!」
コミケの魔力とは、その当時よりも、むしろ直後にこそ出現するのかもしれない・・・・。




以上









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