愚考≠考察




第六回

「なぜなにステッペンウルフ in 飛刀 〜わたし、ロボットですから(少々18禁)・・・〜」


発起人
相馬 透<ステッペン・ウルフ>
二階堂あきら<ステッペン・ウルフ>
クーウォン<飛刀(フェタオ)>
(※画像引用:戯画SAGA PLANETSJANIS/ivoryevolution












「お前達!!下らない話ばかりしてないで
少しは仕事をするんだっ!!」











「ハ、ハイッ!!スンマセ〜ンッ!!」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「あ〜あ、クーウォンさん怒っちまったよ・・・。
ちょっと仕事怠け過ぎたか?」





「何言ってんだ!飛刀はフレッスクス制のはずだろ?
何で論議を交わすのに、いちいちクーウォンの顔色を伺わなけりゃならないんだよ。」





「あの人、結構人使い荒いから・・・」





「全く・・・。俺達は人間なんだから、雑談くらいしたくなるだろ。一休みしたくもなるだろ。」





「そうだな。俺達はロボットじゃないんだから・・・」





「ロボットか・・・。
もしロボットが居てくれたら、さぞ生活も楽になるんだろうな。ヤツらは疲れを知ることなく働き続けてくれるんだから・・・。
全く、飛刀にも掃除ロボットの一つくらい支給して欲しいもんだよ」





「あ〜・・・。気持ちは分かるが透、そりゃムリだ。飛刀は貧乏だからな・・・。
っていうか、まだ早いって。エロゲ世界と違って、現代のテクノロジーではロボットの実用段階はまだ先の先。本当の意味で人間の役に立つロボットが日常を闊歩するのは遥か未来だろ・・・。」





「遥か未来って、そんなにか・・・?
工場とかに設置してあるロボットとかは充分実用に足るし、人間の役にも立ってると思うんだが・・・」





「おいおいっ。今さら何、現実的になってんだよ・・・。
お前の言ってるロボットってのはアレだろ?ベルトコンベアーに乗って流れてくる製品に淡々とネジをはめて行ったり基盤を取り付けたりする、あのルーチンワーク型のヤツのことだろ?」





「まあ、な・・・。
でもアレだって立派なロボットじゃん?人間では難しい精密な作業、決して狂うことがない正確さ。何より人間の役に立つっていう存在意義を十分に果たしているんだから。」





「そりゃ分かってるって・・・。でもな、結局はそれが限界だろ?プログラムされた通りに動き、ただ無感動に作業をして行く。それ以上のことは出来ないだろ?
それはロボットじゃない、マシンだ。文字通り、ただの機械に過ぎないんだ・・・。
お前が言うロボットとは一昔前の定義であって、今ではまるで通用しない。現代の人間はそれだけじゃ満足しない・・・。
もっともっと上を目指すのさ。ロボットに更なる高度なアクションを要求するのさ。」





「『A.I』、つまり『人工知能』ってやつだろ?
自分で考え、そして動く・・・。それをロボットに求めてるんだろ?人間は。
そんなの知ってたさ。知ってて聞いてみただけだよ・・・。」





「まあそうだとは思ったよ・・・。
この情報社会、ただ生きてるだけでロボットの存在が目に飛び込んでくる・・・。日進月歩の代表格・ロボット産業。その一挙手一投足は、好奇心旺盛な人間達の心を掴まずには居られないからな・・・。
世の中で取りざたされる話題の大部分が、常に新鮮さを備えたものである限り、ロボットはまだまだ外れの無い案件。人類のロマンを掻き立てるに足るキーワードに違いない・・。
まあそんなロボット産業だからこそ、ただのルーチンマシンだった色気無い時代を通り越した時、大衆は放って置かなかった。『頭脳を持つ』というその進化を垣間見ただけで、遠からず来るであろう未来に思いを馳せてしまったんだな。
今のお前のようにさ・・・。」





「そりゃ、誰だって興味はあるよ。動物とはまた違う、最も人間に近づくことが出来る存在なんだからな・・・。
『SONY』の『AIBO』なんて、まさにロボット新世代の火付け役と言ってもいいだろう。まあそのモデルは犬なんだけど、機能に関しては確かに周囲を唸らせたに違いない・・・・。」





「その通りだな・・・。
発売当時、『AIBO』は25万円とかとんでもない金額だったくせに、それを求める成金共は後を絶たなかったと言うし・・・。
しかもあまりに殺到する需要の為、抽選まで行わなければならなかったってんだからな・・・。
本物の犬のように忠実な仕草をして、人間に甘えたりして・・・。その行動パターンには限りがあるとは言え、『本物に近いロボット』のアピールにAIBOは十分貢献したと思うぜ・・・。」





「より本物に近づくため、か・・・。まあそれはロボットに課せられた使命の一つであることに間違いは無いだろう。
でも、AIBOはもう一つの重要な使命をまるで満たしてないよな?本物の犬らしい仕草で心を癒すのはいいけど、それ以上のことはしないよな?」





「『人間の役に立つ』ってことだろ?
まあ確かに犬のロボットじゃ、せいぜい遊び相手としての役割しか果たせない。疲れた大人の心の穴を埋める程度でしかない。
本当のロボットの真髄は、人間の負担を軽減することにこそあるってのにな・・・」





「そうだよ。だから俺は犬よりも、今目の前にある雑用をやってくれる『掃除ロボット』の方が欲しいんだ・・・。
実用的でないロボットなんて、ただのごく潰し。いや、電力潰しでしかない・・・。」





「まあその辺はメーカーもちゃんと考えてるさ・・・。
AIBOはあくまで愛玩用。お前が主張する『生活の軽減』を目的としたロボット達もまた、同時進行で研究されている」





「たとえば?」





「そうだな・・・。
じゃあ例えばコイツを見てみろよ・・・。」





「な、何だ!この『バチェラウィルス』みたいな物体は!?」





何言ってんだよ・・・・。これはお前が切に希望してた『お掃除ロボ』。天下の松下が世に放った、思考型ロボのテストケースじゃないか・・・。
そこに置いておくだけで勝手に掃除を始めてくれる優れものさ」





「こ、こんないびつな物体がそこまでやるのか?」





「人間の技術力を舐めちゃいけないぜ、透・・・。
いつだって人は不可能を可能にする。文明の歴史ってのは、不可能を可能にする人類の歩みそのものだろ・・・?」





で、でもさあ・・・。
これって『障害物があれば事前にどけておけ』とか『赤ん坊やペットは部屋に置いとくな』とか、いちいち設定しなくちゃならないみたいだぜ?そんな設定やってる暇があったらさっさと自分で掃除しろって感じだよ・・・。」





「そんなの仕方ないだろ。
いきなり理想が叶うわけじゃない。何度も失敗を繰り返し、その都度浮き上がる問題点を一つ一つクリアして・・・。
その試行錯誤もまた人類の歴史であり、それがあってこそ進歩も出来るんだからさ・・・。
だからプロトタイプがショボいなんてのは当たり前だよ・・・。
まあきっとこの『掃除ロボ』は紆余曲折を経て、いつか誰にも文句の付けられないエキスパートマシンになるさ」





「でも結構高そうだなぁ・・・。AIBOもそうだが、一般家庭に浸透しなけりゃ、はっきり言って意味が無いぜ。」





「そりゃそうだけどな・・・。
でも最初に目が飛び出るような価格を付けるのは至極当たり前のことさ。生産コストが掛かるのは、何といっても初期投資の段階なんだからさ・・・。
でもな、透。そんな高過ぎる商品にも手を出すヤツは居るんだぜ?だからこそ市場も成り立つんだと思う・・・。
大金をはたくヤツは、一般人に先んじて最先端、最高級を味わうことが出来る。これは人間の優越感を大いに満足させるに違いない。
逆に一般人は、時代のパイオニアを行くユーザー達が愉悦に浸っている間、ただ指を咥えて見てるしかない。しかし一般ユーザーってのは金を持ってないんだから、仕方ないと言えば仕方なかった・・・。
つまり、市場の原理を支えるのは金以外の何物でもないってこと・・・。先んじれば得るもの多く、逆に追従するだけの輩じゃあ得るものは少ない。
メーカーはその先端であるが故のメリット、競争相手が無く、第一人者となれるメリットを。ユーザーは、高い金を払うに見合うだけの、他者からの羨望の眼差しを。他の奴らよりいち早くその先端に触れるという優越感を。
そんなメリットを得んが為に、先行投資という名の大金を投じるんじゃないか。他を出し抜く為に、投資を惜しまないんじゃないか・・・。
そのステータスは決して小さいものじゃない。そして安いものじゃない。
つまり、市場の原理とは、常に金ありきなんだ・・・・」





「・・・・そんなの分かってるさ。
金では得られないものがある。でも、金でしか得られないものもある。そうお前は言いたいんだろ?
だから俺のような貧乏人は、『お掃除ロボ』を手に入れるのはまだ早い。そういう結論なんだろ?」





そういうこと。貧乏人に許されるのは、せいぜい甘い夢を見ることだけさ・・・。
まあ、最近ではこんなのも発売されてるから、ロボットを自分の下僕にするのは決して金持ちだけの道楽だけじゃなくなったけどね・・・」





こ、このCDウォークマンみたいなヤツが掃除をしてくれるのかっ・・・!?」





そう・・・。この格安掃除ロボット『ルンバくん』もまた、『お掃除ロボ』の一形態。庶民のレベルにまで下ってきてくれた、いわばロボットのコストパフォーマンスモデル・・・」





「そ、そりゃ願っても無いことだが・・・。
なーんか違うんだよなぁ。松下の掃除ロボにしても、この『ルンバくん』にしても・・・」





「ん?何が不満なんだ?彼らはまだ未熟だが、成長次第では十分人間の代わりを果たしてくれるようになる。そう俺は踏んでるんだがね・・・」





別に機能はいいよ、それでもさ・・・。
でも何かこう・・・そのビジュアルが、そのスタイルが物足りない。言って見れば、人間味が無いんだよ・・・。
AIBOには『人間の生活向上の為の機能』が欠落していたが、この掃除ロボ達にはAIBOにある『生のオーラ』、つまり『ぬくもり』が足りない・・・」





ぬくもりか・・・。
確かにこんな味気ない姿じゃ誰も喜ばないだろうけどな。」





やっぱりお掃除ロボって言ったらあれだろ?もっとこう、『とりゃーっ!』って感じで一生懸命掃除してくれるヤツの方がいいだろ?
『マルチ』みたいにさぁっ・・・!」





「お!?今、『マルチ』と言ったな?ついに言ってしまったな、その固有名詞を・・・。」





「な、何だよ。悪いのかよ・・・。
別に間違ってないだろ?誰だって色気の無い機械よりも、ああいう可愛い女の子が掃除してくれた方がいいに決まってるっ・・・!」





「ははは。まあムキになるなよ、透。別に悪いなんて言ってないんだからよ。
ただ、その単語を発したとなれば、もう止まらないぜ?
マルチはおよそ人間の持つテクノロジーと叡智を総動員した究極のロボット。現在の人間が想像し得る範囲での、ロボットの最終進化型だ。『HMX-12』・通称『マルチ』という名称にしても、エロゲユーザー以外に飛び火しているほどの浸透率を誇っている・・・。
要するに、マルチを語ることは、果てしない未来を語ると同じというわけだ・・・。
まあ、現実的に見てそのマルチの領域に行き着くまでの道のりは遥か遠く険しいんだけどね・・・。
俺が聞いてるのはさ、そんな生きてる内には叶わないであろう未来を、今ここで熱く語ってしまっていいのかってこと。後で虚しくなると分かってて、尚、それを望むのかい?ってことさ、透・・・」





「分かってる。そんなこと分かってるさ・・・。
あんな人間を超えたロボットがそう簡単に出来るわけが無い。それをクリアするためのキーワードである人工知能だって、はっきり言って児戯に等しい段階だろう。
だが夢を見たっていいだろ?
人が生きるってことは、夢を見るってことだ。それを見なくなったら死人なんだ」





「どっかで聞いたような台詞だが・・・。
分かったよ透。そんないつだって熱いお前が俺は好きさっ。」





「そ、それじゃあ、あきらっ・・・!」





「ああ、話そう・・・。
人間の心の中に潜む、欲望の火・・・
現在ロボット技術の最先端を行く大企業・ホンダの技術力、そして豊富な想像力さえ軽く吹き飛ばす・・・
爆薬の存在についてっ・・・!」





「ば、爆薬っ・・・!!」





「その爆薬は、全てエロゲーの中にある。
現在のロボット価値観などまるで届かぬ遥か未来の常識は、エロゲーのロボットキャラに余すところ無く凝縮されている・・・」





「うん!うん!分かるよあきら。要するに、あまりに人間に近付き過ぎたロボット達が、人間と自然に共存してしまっている世界だな?」





「ああ、そんな世界だ・・・。
そこに居るロボット達は、より人間に近く、時には人間よりも人間らしい振る舞いを見せていた・・・。
お前の大好きな『マルチ』にしても、『TO HEART』の中で、元気に掃除をしながら生きてるぜ?」





「あぁ・・・いいよなあ、マルチ・・・。
そのほのぼの〜っとした表情。癒される仕草。まるでどうやったら人間が喜ぶか、その全てを知り尽くしているかのような立ち回りぶりだ。
やっぱり共存って言うからには、人間の心を癒さなくちゃ意味が無いぜ・・・」










「そんなマルチは、やはりロボットの最終進化型・・・」

(c)leaf












「まあ浮かれるのはいいが、透・・・。
実のところ、そのマルチには大きな欠落があるぞ?最終進化と呼ぶにはまだ足りない、重大な欠落が・・・」





「何っ!?一体マルチに何が足りないって言うんだ!?」





「そりゃ一目瞭然。マルチには人間に勝る機能が何も装備されてないじゃないか・・・。」





「ぐっ・・・!」





「 力は人間以下。頭脳も人間以下。家事にしても掃除以外は何も出来ず、ロボットのくせに何度でもドジを踏む・・・。
ロボットの存在意義ってのは、人間が為し得る多面的な作業のどれかを特化させることにある。少なくとも一つは人間を上回っていなければならないはずだ・・・。
そのエキスパートたらん姿。より高機能を追求した姿こそが、本来ロボットに求められること。逆に、人間でも出来るようなレベルしか発揮出来ないロボットには大した価値が無い」





「じゃ、じゃあマルチは要らん子だと、お前は言うのか?」





「そこまでは言わない。ただ、ロボットの本来あるべき姿を突き詰めた時、そのウィークポイントは決して無視出来るもんじゃないぜ・・・。
そうだな。マルチと対極を為す彼女の姉妹機『HMX-13』、つまり『セリオ』の方が、よっぽどロボットとしては相応しいと言えるんじゃないか?」












「彼女は超技術・『サテライトシステム』を駆使し、何でもパーフェクトにこなせる、まさにテクノロジーの結晶だ・・・。
そんなセリオこそが、ロボットの本領を発揮した姿。機能的に文句の付けようも無い、ロボットの最終進化に違いないぜ・・・」


(c)leaf









「だ、だけどセリオには感情が無いじゃないか。マルチのように笑ったり泣いたりしないじゃないか・・・。
そんな感情を排したロボが人間と打ち解けるなんて到底思えない。まして、より人間に近付くなんて出来るはずがない・・・。」





「もっともな意見だがな、透。別に打ち解ける必要なんて無いし、近付く必要も無い。
いや、根本的な部分では人間に近付かない方が望ましいんだよ、きっと・・・」





「な、何故だ?」





「ロボットは人間を助けると同時に、人間の生存を脅かす存在でもあるからさ・・・。」





「生存を脅かすだって?」





「そうさ・・・。
確かにロボットは限りない可能性を秘めている。だがその無限の可能性故に、人類の脅威になり得るんだ・・・。
お前、『ロボット三原則』って知ってるだろ?」





「『人間を傷つけるなかれ』、『人間の命令に忠実であれ』、そして前の二つに背かない限りは『自分の身を守るべし』、だろ・・・?
だがそれがどうした?マルチは別にその三原則に背いているわけじゃない。セリオも同じだ・・・。
まあお前がセリオこそ理想って言うんならそれも良いと思うけど、だったら尚のこと感情があった方がいいんじゃないのか?セリオは機能が完璧なんだから、後は心さえ人間らしくなれば、より素晴らしい存在になるんじゃないのか?」





「分かってないな、透・・・。
確かに感情があった方が楽しいに決まってる。それはマルチで実証済みだ・・・。
だが心を与えるってのは、つまり『自我』を与えることなんだ。自分で考え自分で動く、完全自律という究極のメカニズムを組み込むことなんだ。
それがどんなに危険なことか、お前はまだ分かってない。」





「そんなに危険か?いまいちピンと来ないな・・・」





「なら順を追って説明してやろう。
まずはこれを見ろ・・・。」










「彼女は『とらいあんぐるハート3』の『ノエル・綺堂・エーアリヒカイト』。作中のヒロイン『月村忍』のメイドロボとして活躍している。まあ呼び名としては、ロボットではなく自動人形(オートマタ)だが・・・」

(c)JANIS/ivory









「ノエルなら俺も知ってるよ?主人に忠実で仕事も完璧にこなす、美人で時に可愛いメイドさん。そしていざとなったら主人の危険を守る、頼もしい存在だ。
その戦闘力は、人間を遥かに超越した主人公『高町恭也』ですらまるで及ばない程だった・・・。
まさに戦うメイドさんって感じだが、彼女が何か罪を犯したか?」





「別に何もしていない。だが人間では絶対に太刀打ち出来ない力を有しているという、その事実だけで罪なんだ。それはいずれ人間に脅威を及ぼすかもしれない・・・。」





「ははっ。何言ってんだよ、あきら。あの優しいノエルさんがそんな酷いことするわけ無いだろ?
彼女はいつだって忍や恭也に忠実で、決して人を傷つけることが無い。凶暴なことなんて何もなく、猫にさえ敬語を使ってひれ伏すほどの。とっても律儀なお方だよ・・・。
その姿は、誰が見ても安全なロボット。人を傷つけず、命令を忠実に遂行する、まさにロボット三原則に則った存在さ」





「表面上はな・・・。
だがノエルは、その絶大なる戦闘力を以って、ライバルであるオートマタ・『イレイン』を破壊した。つまり暴力を振るった・・・」





「はぁ!?おいおい、よせよっ!イレインはロボットじゃないか?ロボット同士なら戦っても構わないんだって・・・。
それに元々の原因は、『イレイン』がノエルの主人である忍を殺そうとしたからだろ?忍はイレインにとって敵だけど、その前に人間だ。その人間に危害を加えようとするなんて、ロボット三原則に背く重大な罪じゃないか。壊されて当然だよ・・・。」





「そんな重罪を、何故イレインは実行してしまったんだ?」





「そりゃあお前、忍をどうにかして排除したい人間・『安次郎』の命令を受けたからだよ・・・。
安次郎は忍の財産を横取りしたいから、人間をねじ伏せる力を有したオートマタ・イレインを仕向けたんだよ」





「でもその安次郎にしても、攻撃目標はあくまでノエルだけに設定していたよな。その主人である忍を殺せとは命令しなかった・・・。
そして命令する気もさらさら無かったんだろう。何故ならロボットには自分の身を守る前に人間の命令に従う義務があり、さらにその前には、何人たりとも傷付けけてはならないという大前提の義務があると知っているからさ。いくら憎い人間が居ても、ロボットはそれを傷付けることが無いようプログラムされていると知ってたからさ。
その大前提の前では、人殺しの命令などまるで意味が無い。そう安次郎は思い込んでいた・・・。
だが、イレインはノエルだけでなく、忍にも手をかけようとしたんだ。その前に、絶対であるはずの主人・安次郎を攻撃して致命傷を負わせてしまったんだ・・・。
絶対に人を傷付けれないはずのイレインが安次郎の命令を聞かなかったのは何故だ?ロボットが人を傷付けるという重罪を犯したのは何故だ?」





「そりゃあお前、計算外だったんだよ・・・。
オートマタの最終形態と言われたイレインには、自我が備わっていたからだ。より人間らしくというコンセプトから、人間と同じく考え、欲すように作られてしまっていたからだよ・・・。
あれだけの戦闘力を持っているなら、人間を見下したとしても仕方ない。自我があれば優越感も芽生えるし、自分に見合った欲求を抱くようにもなるさ・・・・。って、あれ?」





「おいおい。まるでロボットが人をないがしろにしてもいいみたいな言動じゃないか?ん?」





「いや、確かにロボットには自我があった方がいいけど・・・でも、人を傷付けちゃったらその時点でお終いで・・・いやでも心が無かったらただの機械なわけだから・・・」





「どうした、何故口ごもる?ロボットの人権を声高に主張するんじゃなかったのか・・・?」





「いや、そうなんだけど・・・。
イレインみたいなヤツが居たら、ちょっとマズいかもしれないと思ってさ。」





「そうだよ、透・・・。それこそが自我を持ったロボットの矛盾、そして危険性だ・・・。
自我を与えた時、ロボットの頭脳に危険領域が発生する。その危険領域の中で、義務が権利に書き換えられる。
当然その権利には不純物も混ざるだろう。場合によっては、ロボットは十分に人を傷付けうるだろう。世の中に居るのは、何もマルチやノエルのような存在ばかりとは限らない・・・。」









「イレインは、自我を持ったロボットが辿るもう一つの可能性。即ち人類にとって脅威となる可能性の一例なんだ・・・」


(c)JANIS/ivory








「うむむ・・・。でもそれは、イレインの製作者にも問題があるんじゃないか?ロボットにとって最も重要な大前提・人間にとっての安全性を100%義務付けてから、自我を植え込むべきじゃなかったのか?」





「透、そうじゃない・・・。
自我には保証が無いんだ。与えられた最優先事項、プログラムされた絶対命令を超える可能性があるからこそ、自我と呼べるんだよ・・・。
確かに安次郎は、イレインを不安定な初期状態で起動させてしまった。その軽率な行動のせいで自分も死にかけた。
だが、たとえ事前のチェックを万全にしたところで、イレインの攻撃本能が人に向かないという保証は無かった。何故なら彼女は自我を持つ者なんだから・・・。
自我ってのは、自分を知ること。まず第一に自分で考えること。人の分岐が善と悪の両極端に分かれるように、自らを知ってしまったロボットは、同じように様々な分岐を辿るはずだ。
これが本当の意味で人間に近付くってことだろ?
だから、ロボットに自我を与えた末路が人間の天敵ってのは、決してあり得ないことじゃない・・・。」





「そ、そうかもしれないけど・・・。それじゃあまりにつまんないじゃないか?ノエルみたいな存在に希望を託すわけにはいかないのか?彼女もまた自我を持ったオートマタじゃないのか・・・?」





「いや。厳密に言えば、ノエルは自我を持っているとは言えないな・・・。
彼女は自分で学習し、思考し、そして成長もしていくが、それはあくまで忍から与えられた変わらぬ義務が根底にあるからこそ。つまり『忍を守る』という絶対戒律をより良く遂行する為の手段を、限られた思考経路の中で、日々蓄積して行ってるだけに過ぎない。決して無限じゃないんだ・・・。
要するに、忍が居て初めてノエルは人間らしい思考プログラムを発動することが出来る。逆に言えば、忍のメンテナンスやコミュニケーションが無ければ、その感情の揺れは大幅に減る・・・。
もう一つ。絶対戒律を終始変えないってのは自我とは言えない。日々接する周囲と共に価値観を変えて行くのが、本当の自我なんだ。裏を返せば、『まず忍ありき』という絶対戒律が思考に先んじて脳に到達する時点で自我じゃない。絶対戒律があらゆる思考を抑制する時点で、彼女はまだ機械の領域を脱しない。
それは人間で言うところの『ポリシー』に近いかもしれないが、やはり同じではあり得ないのさ・・・。」」





「ノエルの人間らしさはあくまでプログラム内での範疇ってことなのか?」





「まあ、そういうことになる。俺が知る限り、本当の意味で自我を持ったロボットになる為には、このイレインのように白紙の状態から始めなければならない。
だがそれでは危険すぎるから、人はその前に最優先事項だけは丹念にプログラムしておく・・・。これがあってこそ、ロボットも人間と平和共存出来るってもんじゃないのか?透・・・」





「そ、そりゃ分かったけど・・・。
それにしても、何て寂しいことを言うんだよ、あきら・・・。
じゃあ何か?結局ノエルやセリオに人権が与えられる日は、永久に来ないってことか?」





絶対とは言えないが、その確率は高い・・・。
だってお前、ノエルのようなパワーファイターが人間に背いたらどうなる?セリオのように人類を超越した知能が敵に回ったらどう対処する?
彼女達が自分の為に生きるようになった時にはもう遅い。既に地球は『ロボの惑星』だ。誰もロボ達を止められない・・・。
だからさ、ノエルはあれ以上の感情を与える必要はないし、セリオも単なるイエスマンで問題ないのさ。
せいぜいマルチのような無力な存在に豊かな感情表現を与え、可愛がってやるのがいいのさ、透・・・。
さっき俺は、マルチには欠落部分が多いと言ったけど、本当のところは、それらを補って余りある美点を持ってるマルチこそが、やはり究極のロボットに近いかもしれない。
人間と最も上手くやっていけるという美点を持っているマルチこそが・・・。」





「マルチが何にも増して誇れる部分とは、『絶対に人を傷付けない』という安全性。三原則の最優先条件をより100%に近い状態で維持出来るであろうその姿勢、か・・・。
確かにあの非力な姿と覚えの悪過ぎる頭は、人間の安心感を誘うかもしれない。決して自分を傷付けない、いや傷付けることすら出来ないという確信を持てるかもしれないな・・・」





「そういうこと。性能よりもまずは安全性の確保が先だ・・・。
だから優れたロボットに与えるのは権利じゃなくてあくまで義務が望ましいだろう・・・。
まあそれでも、どうしてもセリオに感情を与えたいと言うのなら、方法は一つだ。
つまり、その頭脳を人間以下にしてしまえばいい。」








「同じようにノエルの感情をより豊かにしたいなら、この物騒な武器をさっさと取り外し、その後彼女の超人強度をミニマムまで落とせばいい」










「つまり人間以下にしろってこと・・・。
だけどそれじゃあロボットの意味なんて無いから、結局はプログラムで制御する方法を採用するんだ・・・。
つまり、力ある者に対しては、あくまでそのコントロールを人間の手中にし、制限をかける。逆に力なき者に対しては規制を緩め、より幅広い自由を与える。
と、こういうわけなのさ・・・。」





「あちらを立てればこちらが立たず、か。まるでタイプの違う生徒に頭を悩ます先生の気分だぜ・・・。」





「ま、ある意味先生には違いない。
絶対戒律が存在するとは言え、一応情報を集め成長していく準自律型ロボットなんだからな・・・。
人を傷付けないとしても、教え方を間違えばとんでもない方向に行ってしまうだろうよ・・・」





「許された範囲でしか動けないロボットでも、主人である人間によってはまるで違う性格になり得るってことだな?」





「そういうこと・・・。
まあこの際だ。その分岐について少し触れて見ようじゃないか、透。
ちょうどここに良い例があるぜ・・・?」





「へぇ?どんな感じだい?」









「まずは、『evolution』から出たタイトル『マシンメイデン』。そのヒロインである『アルシア』だ・・・。
『ドール』と呼ばれる彼女は擬似人格を持ち、教育すればするほど様々なコミュニケーションを覚えていく・・・。」







「ふんふん、それで?」





「教育者である主人公の温和な性格も手伝って、彼女は優しくて可愛らしい女の子として、その心を成長させたんだ。」





「なるほど。容姿に見合った女の子らしさを存分に備えることが出来たわけだな?いわゆる善の教育を施した結果が、このアルシアという女の子型ロボットなわけだ・・・。
すると・・・・・・なるほど大体読めたよ。次はそれと対を成す悪の存在があるってことなんだろ?」








「さすがに鋭いな透・・・。
お前の言う通り、アルシアと同スペックでありながら、まるで違った道を歩んだのが、彼女『シンシア』だ・・・。
彼女は『マシンメイデン外伝』のヒロインなんだが、本編である『マシンメイデン』にもちゃんと登場してる。ただ、教育者が違った為に大きく歪み、全く別の成長過程を辿ってしまったという内容が用意されているのさ・・・。
シンシアを担当する『松岡涼』という男。コイツはアルシアの主人と違い、かなりのレベルで鬼畜系だった。よってその松岡の調教に大いなる影響を受けたシンシアは、予想通り性奴隷。惚れ惚れするほどのセックスマシーンと化してしまったというわけだ・・・」











「うーむ、恐ろしい・・・。
人を傷付けるわけじゃないが、その可能性の広がりこそが恐ろしいぜ。
後の教育によって如何様にも変わるなんて、まさしく人間そのものじゃないか・・・」





「そうだな・・・。
だが透よ。本当に恐ろしいのはもっと別のところにある。このシンシアが辿った道にこそ、最大の脅威は隠されているのさ・・・。
それはさっき言った『我を持ったロボット』と双璧を為す程に人類の天敵。種の保存に波紋を投げかけ、側面から攻撃し削り取って行く、切り札的兵器なんだ」





「Hなロボットが誕生しただけで人類の屋台骨が揺らぐなんて、とても思えないけど・・・」





「よく考えろ、透・・・。
松岡の教育によってシンシアが得た役割とは性欲のはけ口だろ?つまり売春じゃないか。」





「まあ、そうなるな・・・。
本来の目的が何だったか知らないが、その可愛い顔と魅力的な肉体から繰り出されるHは、人間では決して及ばないような気がする。
こういっちゃ何だが、どんな味なのか俺も興味はある・・・。」





「そりゃそうだろ。人の手で自由に加工出来るからには、ブサイクなヤツなど作らない。どうせやるんなら、より理想的な容姿をロボットに与えるはずさ。
だけど、そんな絶大に可愛くて美人なロボットを一度でも抱いてしまった男共は、その最高級の感触を忘れることが出来るかね?
また抱きたいと思うんじゃないのか?」





「まあ、そうなる可能性は高いと思うが・・・。
おいおいあきら。まさかお前、そのロボットに没頭しすぎる男達が増殖して、生身の女に興味を示さなくなるって言いたいんじゃないだろうな?ロボットには生殖機能が無いから、子供がどんどん少なくなって子孫の減少を招くなんて言うつもりじゃないだろうな・・・?
もしそうなら大丈夫だよ。性欲と愛情は別物。衝動的な性欲だけでは、人は決して満たされない。心が満たされなきゃ話になんないだろ?
杞憂だよ、杞憂・・・。」





「確かにただの人形ならばいい。まあ屈指のテクニシャンでも、この際はいい。男を喜ばせる為の演技だと思えば、こちらとしてもドライに接することが出来るからな・・・。
だが、それにもし人間らしい感情が芽生えてしまったらどうする?生の感情をほとばらせたら、どう対処する?
本物以上の身体とテクニックを持ったロボット。その心さえ人間に追いつき、そして追い越してしまった時、そのロボットに傾かないと言い切れるか?」





「う、うむむむむ・・・。それは・・・正直分からない。
ただ、理想的な存在であるとは思う。
その肉体は最高でいつまでも朽ちることなく、その精神はロボット三原則に基くが故の従順さも手伝って、さぞや男にとって願っても無い性格を帯びるだろうから・・・。」





「まさに、それこそが最後のラインなんだ。
そして人間に近付けても良いが決して同じにしてはならないという、さっき言った絶対戒律を正当化出来る最大の理由なんだ。
作り手である人の向上心が失せない限り、ロボットのポテンシャルも同じように向上していく。そして悪いことに、そのスピードや蓄積量は人間を凌駕してしまうだろう。精密で正確であるが故に・・・。
だから、そんな水を吸収する砂のごとき待遇を与えてはいけない。軽率に心を与えてはならないんだよ」





「な、なるほど・・・。
性欲処理としては有用。だけど恋愛対象、結婚対象にまでステップアップさせてはならないということか。ロボットは子供を産むことが出来ないからな・・・。
そして、だからこそ感情を植え付け過ぎるのは好ましくないということなんだな?劣情の割合を愛情が凌駕してしまわないように、あくまで対ロボットとして接することが出来るように・・・。
確かに『自我』に目覚めたロボットが可愛く妖艶に言い寄って来たらひとたまりも無い。それを振り払う自信はとても無い・・・。」





「だろ?だから取り除くのさ。ロボットから心を・・・。そういう意味で行けば、セリオのような無感動なヤツが最も安全だ。また、マルチのようにまるでそそらないボディを与えるのがベターだろう。
とりあえず一番に避けなければならないのは、ロボットが心身共に人間を超えてしまうこと。そして人間がそれに溺れてしまうことなんだ。」











「そういう意味で、『SAGA PLANETS』の『PURE HEART』に登場したヒロイン、『アルファ』などは危険が満載かもしれない・・・。」










「うーむ、確かに可愛い・・・。いかにもピュアハートって感じで好感が持てそうなロボットだが・・・」





「その魅力に止めを刺すように、アルファには心があった。心を癒す女性型ヒューマノイド、通称『AI-D(アイド)』として作られた彼女は、純粋さを併せ持ちながらも豊か過ぎる心に育ってしまった為、人間の女を超えてしまったんだ・・・。
こうなったらもはや主人公は骨抜き。アルファ抜きでは生きられないだろう・・・。

まあ俺が思うに、彼はこの先もずっと・・・」














「突き続ける。灰になるまで……!」

(c)SAGA PLANETS












「余計な感情を持たせてしまった為に起こるアクシデント・・。
だからセリオのような無感情女が適任なわけか。だからマルチのような色気ゼロの体型が推奨されるわけか。
男に最後の歯止めをかけるために・・・。」





「まあそんな処理を施してもまるで意に介さない『藤田浩之』のような強者も、中には紛れていたりするが・・・。
彼はある意味ロボットの愛し方と人間の愛し方を心得ている賢者だから、まあ問題ないだろう・・・。
だが浩之のレベルまで到達出来ない一般人。そんな奴らに対しては、セリオの感情抑制やマルチの色気消滅処理は、抑止力として十分有効だと思う。」





「まさに理性と本能の闘い。
せめぎ合うのはロボットに心を与えるか否かという論議だけじゃない。それを扱う人間の心さえも激しい火花を散らしてたんだ・・・。」





「中々奥が深いだろ?
ロボットの自由を広げることは、人間の自由を狭めることにも繋がる。両者の人権は、常に危ういバランスで調整されている・・・。
それを崩さない為にこそ、絶対のロボット三原則があった。
何より、そのロボットを行使する人間の心をこそ、崩してはいけないというわけさ・・・。」





「なるほど、その自由権を剥奪されるのは何もロボットだけじゃないってことだな。ロボットという諸刃の剣を行使することによって、人間の自由も奪われているわけだ。表現の自由や、恋愛の自由と言った精神的自由権を・・・」





「まあ精神的だけでは済まない場合もある。
例えば、もし売春を一手にロボットが引き受けてしまったら、それこそ風俗の皆さんは一夜にして失業だからな・・・。」











「いくら純然たる人間性を示さずとも、Hの相手となれば、アルシアのような可愛い娘に太刀打ち出来る女はそうそう居ない」




















「また、ノエルのように、たまらない美人がそう簡単に転がっているとも思えない」

(c)JANIS/ivory











「まあマルチに貪りつける浩之のような存在は、そんなに多くないだろうからいいけど・・・。
とにかく病み付きになるのは間違いなさそうだ。
そしてそれは、法外なブラックマーケットの温床にもなり、それがまかり通ってしまえばもう治安の乱れどころじゃないだろうよ」





「よーく分かったよ、あきら。
ロボットに自我を吹き込むのを極力避けるという、その大切さが・・・。
それはロボットに課された義務をより確実にする為の不可欠要素というだけじゃなく、人間自身を守ることにも繋がるんだ・・・。
ロボット三原則にしてもそう・・・。
人を傷付けないことは、安全性の証明。
人に忠実であることは、操作の確実性。
そして自分を守ることは、耐久性の持続。
どれも機械に課せられた、基本的な義務じゃないか・・・。
それを解き放つのが許されるのは、マルチのように心の底から人の助けになりたいという義務を、自らの絶対戒律としたロボット。また万が一暴走しても、人を傷付けることは無いと確信出来る時。
そして藤田浩之のように、本当の意味でロボットと向き合える人間に対してだけなんだ・・・。」





「その藤田浩之は、『ロボットに心があった方がいいに決まってる』と事も無げに言い切った・・・。
だがそれは、彼が飛び抜けた人間だからなんだ。本当の愛を知っている人間だからなんだ・・・。
だから一般大衆に心あるロボットを広めるのはまだまだ早いと断言出来た・・・。
まあ、現代の技術を見れば、そんなことを心配するのはまだまだ先なんだけどな」





「そうだな・・。
だが、例え今の時点での最高技術が『ホンダ』の『ASIMO君』だとしても、いつかそのテクノロジーはエロゲの世界に追いつくだろから・・・。」





「そうだな。そうに違いない・・・。
だから願わくば、その時に藤田浩之のような叡智を持った人間が、少しでも多く居ますように・・・だな?」





「でも出来うるなら、マルチが完成するまで俺達も長生きできますように、と・・・。
ちょっと贅沢な願いかな?」





「まあ人は不死じゃないから、難しい要求ではある・・・。
だけど人類の技術力の飛躍を信じて、少しでも長く生きようじゃないか。
希望がある限り、人は生きていけるからっ・・・!」





「うん、その通りっ! それじゃあ長生きする為にも、日々を懸命に生き抜くとしますかっ!?」





「よく言った!俺も出来る限り付き合うからさ、親友っ♪」


















「その日々を生きる為には、まずは働かなければならない・・・。それを知っているかね、君達・・・?」






「あん!?何だってっ?」





「またも仕事を放り出して、中々楽しそうな話をしてるじゃないか・・・?」






「げっ!?ク、クーウォンさん!」






「是非私にも聞かせてくれないかな・・・?ん?」





「い、いや、これはその・・・」





「全く、お前達は目を離すとこれだ!自分達が飛刀の命運を担っているという自覚がまるで感じられない・・・!
もっと真面目にやらんか、真面目にっ!」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」





「だから何と言っていいのか、どう説明すればいいのか・・・」





「・・・・・・・・・・・いや。真面目にやってるさ、クーウォン。」





「何だと!?」





「透!お前!」





「何を怯んでるんだ、あきら?俺達は人として正当な権利を行使してるだけじゃないか・・・。そうだろ?
そしてクーウォン。俺達はロボットじゃない。人間なんだ」





「意味不明なことを言って誤魔化すつもりかね!?」





「あっ!?なるほどねっ♪
つまりこういうことですよ、クーウォンさん・・・。
俺達は人間。疲れもすれば、身体を壊す時もある。だから働き尽くめでは居られない・・・」





「あきら、君まで・・・!」





「よーしっ!さすがは あきらだ・・・。
もう一度言うぞクーウォン!
俺達はただの人間。まあ飛刀の兵隊という意味ではロボットに近いかもしれないよ・・・。
だけど、たとえそうだとしても・・・」






「ロボットにだって、心はあるんだっ!」







「・・・・・・・・・・・!」





「そういうことだから、たまには休憩させてくれ♪
それにさ、どうせ俺達が居なけりゃ飛刀なんて雑魚の集まりだろ?ってことは、飛刀の行く末は俺達の指先三寸だ。ならばむしろ、俺達の都合にそちらが合わせるべきだとは思わないか?
だから、そう・・・。たとえ軍隊に追い詰められたって、同志達が何人フラットラインしたって・・・」






「俺達のペースが飛刀のペース!」







「!・・・・・・・・・・・・・・・」






「とまあ、そんなわけなんだよクーウォン」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言いたいことはそれだけか?」





「ん?まあね。要するに今日は喋り疲れたって事さ。なあ、あきら?」





そうそう♪だからそれを癒す為、今日のところは家に帰らせてもらいますよ。だって・・・」













「わたし、人間ですからっ・・・♪」


















「き、貴様ら〜〜〜っ!!」