愚考≠考察




独り言 

EVER17(PC版)プレイ完了 ネタばれあまり無いけど有り

独り喋り
相馬 透<ステッペン・ウルフ>
(※画像引用:戯画













つぐみっ・・・!つぐみぃ〜〜っ!!







「よかったね!ホントよかったね!!」





「ようやく終えたココルート。EVER17の最終面。それをクリアすることによって、ほぼ全ての謎を解いた俺・・・。
当然そんな俺だから、様々なことが思い浮かんだ。そしてこれからそれらを書き殴ってやろうと意気込んだものさ・・・。」





「だけど、そんな気も失せてしまったよ・・・。
俺はつぐみが幸せになったのなら、それで十分。彼女が救われたことに喜んだ瞬間、その喜びを伝えるだけでいいかな?と思ったわけなんだ。
EVER17の総括であるココルートの名目はココであり、第3視点ブリックヴィンケルであり、プレイヤーである。そして他のヒロイン毎に残った謎の解決が責務であり、筋である。
だが、今の俺にはつぐみだけでいい。
エンディングの彼女が、武の側で笑顔を見せただけで、もう満足だ・・・。」





「思えばつぐみは常に報われない人生だった・・・。
キュレイに感染し、死なない身体となり、永遠に独りで生きる孤独を背負う羽目になった・・・。
哀れな女。切ないヒロイン。俺は偽り無くそう思ったね。
だけどな・・・。
そんなつぐみを救ってくれる存在もあったんだ・・・。」





「それがEVER17中最もカッコいい男、倉成武だ。
ヤツは平凡な大学生のくせに、命短き人間の分際で、不死超人・つぐみにモーションをかけるんだ。その勇気には恐れ入るしかない・・・。
だけどその勇気も本当はただの蛮勇。何しろつぐみは死ぬことも無いし17歳から年を取ることも無い、EVER17な女なんだからな・・・。
つぐみだっていい迷惑だったろう。気楽に普通の人生を歩んでるくせに、何も疑うことなく『生きることこそ最も崇高』などと言い切り説教たれるんだから・・・。
そんな目をキラキラさせる浅はかな武を、つぐみは当然糾弾したさ。嘲り罵ったさ・・・。武の信念を全身全霊で否定する理由と権利が、彼女にはあったんだから・・・。
だけど武は、そんなつぐみにすらやはり『生きろ』と言い切った。生きている限りは生きろと力強く言ったんだよ。憐れみを込めて、励ましを込めて・・・。
だけどその言葉の中は決して口から出任せじゃなく、言葉の裏には確固とした責任があった。その責任を果たすための決意が彼にはあった。その根源には、つぐみに対する偽り無き愛が込められていたんだ・・・・。
武は全て受け止めてくれた。呪われた運命によって偏り過ぎたつぐみの憎悪も、自分の身体に対して抱いてた諦めの心も、武は逃げることなく全て受け入れたんだ・・・。
そして選んでくれた。狂わんばかりに悠久の時を過ごさねばならないつぐみを死ぬまで愛することを。もはや人間では居られないつぐみを知って、それでも彼女の隣を歩くという蛇の道を・・・。
武は小町つぐみという悲しい少女の苦しみを共有することで彼女の心を癒し、つぐみを愛し続けることで生きることの素晴らしさを伝えようとしたんだ・・・。
たとえ欺瞞であろうとも、つぐみはきっと嬉しかったはず。たとえこれから続く長い時間の間に辛いことが起ころうと、乗り越えていけると思えたに違いない。
倉成武という男と巡り合うことによって、彼女の心はようやく癒された。
小町つぐみは倉成武に救われたんだ・・・。」





「だが、瞬く間にその武を失ってしまう・・・。
ほんの数日間の幸せと、たった一夜のぬくもりを残して、武は海の藻屑と化した。彼女一人を置き去りにして、武は永遠の眠りについてしまったんだ・・・。
バカヤロウ、武・・・。
『俺は死なない』とか言っておきながら、早々に死ぬんじゃねーよ。つぐみにいらぬ期待を持たせやがって。つぐみを悲しませやがって・・・。
男なら言ったことは守れよ。最後まで責任取れよ、バカヤロウ・・・。
こうして、せっかく訪れた希望は一瞬で絶たれ、つぐみは前にも増して世を儚み憎むようになった・・・。
結局つぐみはまたも独りきり。そんな彼女に鞭打つように、次なる災厄が訪れる・・・。」





「ライプリヒ製薬の存在がそうだ・・・。
人類の発展とは名ばかりの人体実験を生業とする腐れた連中、ライプリヒ製薬。武の遺言を守り生きようとするつぐみを、奴等は決して離そうとはしなかった・・・。
ヤツらはキュレイキャリアである彼女を世界規模で指名手配し追い詰める。肉体的にも、精神的にも・・・。
ヤツらは外道でありそして鬼畜だ。殺してもすぐに再生するつぐみの身体を、ありとあらゆる苦痛を伴う実験の為に利用したんだ。あまつさえ、元々美人で女の色気を持つ彼女が年を取らないことをこれ幸いと喜び、低俗な肉欲を満足させる為の肉奴隷として仕立て上げていたんだ。
つぐみの身体を自由にしていいのは武だけで、だからこそつぐみも『武にだけは、全部見せてあげるから・・・』と身体と心を開いたというのに、なんてふてえ野郎達なんだ。怒りで髪の毛が抜けそうだぜ・・・。
とにかく、こんな鬼畜共の追跡があった故に、つぐみは常に日陰者として裏道を歩まねばならなかった・・・。」





「だけど、そんなつぐみを不憫に思ったのか、神様は彼女にほんの微かな希望を与えた・・・・。
それは、子供だ。愛して止まず、今でも忘れることなど出来ない武との間に出来た、つぐみの息子と娘だ。
つぐみは既にこの世に居ない武の子を身篭り、出産した・・・。
子供は二卵性双生児。男の子と女の子。それは後のホクトと沙羅なんだが、武という命を失った彼女にとって、二人は忘れ形見。生きる支えを失いかけたつぐみにとってホクトと沙羅は、絶望の淵から這い上がるために、前を向いて歩く為に、もう一度だけ与えられた生きる希望だったんだ・・・。
彼女は子供達に夢中になった・・・。
定職に就けない立場、4畳半で暮らさなければならない貧乏な現状。それは追われる者の宿命かもしれなかったけど、二人が居たからこそ、武があれだけ主張したにも関わらず忘れそうになっていた『生きること』の意味を、再び追うことが出来たんだ・・・。
武が居ない空虚を埋めることは決して出来ないけど、癒すことは出来るだろう。生きる力にはなっただろう。
彼女は子供達と居られる間だけは、自分がキュレイで追われる立場ということを忘れていた。それほどに、平和で幸せな毎日だったんだ・・・。」





「けど、やはりその平和も長く続かない・・・。
ライプリヒ製薬の執念は、世間の隅の隅で密かに暮らす親子達の、ささやかな笑顔すら許さなかった。
その結果、つぐみはまた逃亡生活を余儀なくされ、ホクトと沙羅を置いて行かざるを得なかったという悲しさ・・。
つぐみにとっては全てとも言えた子供達を失うことによって、またも生きる意味を失ってしまったんだ・・・。」





「不幸はさらに続く・・・。
施設に預けたはずのホクトと沙羅は、結局ライプリヒ製薬の手中に陥ち、あまつさえその二人を置き去りにした冷たい母親として認識されてしまう。
そしてその誤解は後の後まで解けることが無かった・・。
2034年LeMUで二人に再会した時、つぐみの心境はいかばかりのものだったろう・・・。
会いたくて仕方なかった、抱きしめたくて仕方ない実の息子と娘がすぐ側に居るというのに、彼等は自分をこの上なく蔑み憎んでいるという、痛すぎる現実。そして正体も明かせいまま、本心を誰にも知らせないまま独りで耐える苦しみ・・・。
子供を守る為に、生きる為にほぼ唯一の選択を採らざるを得なかったつぐみは、そんなにいけないか?子供達のことを一日たりとも忘れられない、そんなあり余る愛情を備えた女が已む無い事情でその愛情を隠すのは、それほどまでに罪なことなのか・・・?
彼女の笑顔だけが消えていく。心だけが疲弊していく。
つぐみはもう疲れ切っていたんだ・・・・。」





「結局のところ・・・。
ライプリヒ製薬ある限り彼女は不運から逃れられない。
武が側に居ない限り、ホクトと沙羅を抱きしめない限り幸せになれなかった。
現在までのEVER17においては、不幸のスパイラルがつぐみを放すことは決して無かったんだ・・・。
だからこそ悲しかった・・・。」





「しかし、そんな彼女の不幸のスパイラルが、ココルートで遂に断ち切れた!
ココルートによって、遂につぐみが報われたんだよっ!
だからこそ俺は、それだけで嬉しい!だからこそ俺はココルートを、しいてはEVER17をこう終結させ、ただこう叫ぶんだ・・・!」





「よかったねつぐみ!ホントよかったね!
とな・・・」





「それが俺の、EVER17の全て・・・。
2017年から2034年にかけて複雑に入り乱れた人間模様。ブリックヴィンケルをプレイヤーと見なし、そこにココという最後のヒロインを絡ませ、時間軸を行き来して演出したEVER17。それをクリアしてから言いたいことは山ほどあったけど・・・。
俺にとってEVER17とは、つぐみを救うための物語。それに始まり、それに終わるドラマだった・・・。
最初2017年に武がつぐみを救い、だけどその武が居なくなったから、今度は他の者が救う。直接的に助けるわけじゃないが、武とココを海底から助け出そうとする優や桑古木その他の人間の行動は、間接的につぐみを助けるだろう・・・。そして武と同等の立場を持ったホクトと沙羅をつぐみに相対させることは、崩れそうになるつぐみの心を最後の最後まで繋ぎ止めるだろう・・・。
つぐみルートから優ルートまでで描いた過程は、癒されぬつぐみの心を描いた過程そのものであり・・・。それを全て逆転させハッピーエンドで決着させるココルートこそ、長い間暗闇を歩いて来たつぐみがようやく癒され救われる、幸せの大団円だったんだ・・・。
EVER17の収束を見事だと言う者は多い。その中には演出の仕方、ネタや判断材料を与えるタイミング、それを連結させ同期させるテクニック等様々なものが含まれているだろう・・・。
だけど俺にとってEVER17の収束とは、一番最初に登場したつぐみが一番最後に幸せになれるという、その単純な感動の描き方、魅せ方にこそ全てがあった・・・。
武、桑古木、空、沙羅、優、ブリックヴィンケル、ココに関連する事象は全てつぐみに関連する事象であり、全てのエンドはつぐみトゥルーハッピーエンドに収束されていた・・・。
それがEVER17の物語が完結することだと、俺は思いたい。それは単につぐみが好きだからなのだが、だけどつぐみが好きだからこそ、やはり俺は言い切る・・・。
EVER17の全てはつぐみハッピーエンドに収束し、それを以ってEVER17は終息する、とな・・・。」





「終息した後、俺は、今回挙げた『愚考≠考察・EVER17』の第一回目に立ち戻ってみるんだ・・・。
そして立ち戻って改めて見た時、冒頭に記した第一声の意味を、このゲームを薦めた者の叫びを心から納得するだろう・・・。」





「だから俺は彼等と同じように、やはりこう叫ぶだろう。」










『EVER17をやれ!いいからやれよ!』
とな・・・」





「きっと、こうしてEVER17信者が増えていく・・・。
そして俺は、EVE17を評するには、そんな叫びだけで十分なんじゃないかなと思ったんだ・・・」





「そう思わせるようなゲームに、即ち『EVER17』に対し、俺は心を込めて・・・。
ありがとうございました・・・。」