愚考≠考察




独り言 

Fate/Stay nightプレイ中・第七回(2004/02/23)
「アンリミテッド・ブレイドワークス」
ネタばれアリ

独り喋り
相馬 透<ステッペン・ウルフ>
(※画像引用:戯画
















「うむぅ・・・。
アーチャー、やっぱりかっこいい・・・・」







「その言葉しか当て嵌まらないな、何度考え直しても…。
そう。アーチャーは、何につけても格好良かった。いちいち眩しかった。彼の言動は、ことごとく俺の胸に突き刺さり、俺はその都度、子供のような瞳で彼の横顔を見上げるのだ。
多分、俺は彼に惚れていたんだろう。一人の男として、アーチャーが纏う男道に酔い痴れていたんだろう・・・。
その冷静沈着な佇まいだけで、大人の風格が颯爽と漂う。随所で見せつける的確な判断力は知性と勇気を感じさせ、何事にも正面から向き合う姿には、彼の余裕とそして真摯な姿勢が入り混じる・・・。
その反面、たまに見せる陰り、怒り、悲しみ。それは彼の、最後まで錆びつきたくない凍てつきたくないという葛藤とその信念の具現化で、生意気な小娘をいなす軽口は、そんな内なる闇と葛藤を愛しい少女に悟られまいとする彼の優しさ。そして士郎に対する毒舌や暴言は、それ全てが彼に向けた、そして自分自身に向けた魂の吐露だった・・・。」





「その悠久とも言える光と闇のせめぎ合いの末、彼が辿り付いた結論。もう一度踏ん張ると誓った、彼の無垢な笑顔の何と素晴らしいかったことか・・・。
最初から最後までいけすかない奴だったわ、と凛は言う。俺は俺で、アイツはアイツだと士郎は開き直る・・・。
だけど、二人とも分かってる。凛は、いつだってアーチャーに守られてきたのだということを。士郎は、いつだってアーチャーに導かれていたということを。
彼等は、アーチャーという存在に心惹かれ続け、彼の器用で不器用な背中を見つめ続け、そして最後は彼に自分達の背中を押してもらったのだということを、ちゃんと分かっていたはずなんだ・・・。」





「そう。みんなアーチャーを認めていた。彼のことが好きだった。だからアーチャーは、最後に笑顔で消えたんだ。後悔も心残りも無いと、そう言い切ったんだ。とても澄んだ顔で、溢れんばかりの笑顔でただ応えながら・・・。
凛のサーヴァント・アーチャー。天国を夢見て地獄を見せ付けられた英霊エミヤだけど・・・。
彼は、既に信頼と親愛を勝ち取っていた。一度として味合わったことの無い敗走を士郎から与えられ、誰からも得られなかった理解を凛から受け取った後、ようやく彼は望んだものの一端に触れたんだ。
本来の自分に。夢にまで見た、在るべき姿に・・・。
もうこれ以上望むことは無い。アーチャーはこれからもアーチャーで居続ければいい。ほんの少しだけ、ただ夢見たあの頃を心に刻み付けるだけで、彼はもう他の追随を許さないナイスガイになるのだから・・・。
だからお前等。『これからも頑張るんだ』と胸を張った英雄エミヤの勇姿を見て、誰もが目指したであろう男の極みを体現してくれた赤いイケメンを崇めながら、せいぜい何度でも呆けるがいいぜ・・・。.」





「まあ、そんな感じのイケメン君が、アーチャーこと英雄エミヤってわけさ。戦闘での隙はそこそこあるが、その男ぶりには微塵の隙も無かった・・・。
何?俺も結構いいセン行ってるって?
オイオイ正気か?お前如きがアーチャーと肩を並べるなんて、そんな最下級の笑い話は夢の中だけにしてくれ。
だって、アーチャーなんだぜ?俺達凡俗が100人立ち向かったところで鼻で笑われるのがオチだから、無駄な嫉妬は止めておいた方がいいよ・・・

何しろさ、アーチャーって奴は元が衛宮士郎なんだ。そのスタート地点である士郎にすら、お前の汚れた魂ではまるで届かないってのに、そのカッコイイ士郎は無限の時の中で着々とその勇者ぶりに磨きをかけてるんだぜ?こっちには寿命があるってのにさぁ・・・。
既に資質で劣っているのに、費やす時間でも尚劣る。故に我々凡俗は、いくらやってもその差を開けられてばかり。どうやってアーチャーに近付くのか、こっちが聞きたいくらいだ・・・。
まあそれでもアーチャーと張り合いたいって言うのなら、せめて次の方程式を理解してから出直して来い。
つまり、『鉄の意志+無限の時間=無限の権勢』という英雄の方程式だな・・・。
分かったか?分かったのなら諦めることだ。俺達一般人は、しょせん汚れ切った魂。開眼したつもりでも、3秒後にはその志を忘れ、5分後には何事も無かったかのようにポテトチップスを食っているという、そんな極め付けのダメ人間なんだから。堪え性の『こ』の字も無い、ありふれた俗物人間なんだから・・・。
そんな俗物に固有結界は張れない。せいぜい引き篭もりの殻を張る程度だ。
当然、無限の権勢も得られない。それは無限の修練を継続させた者だけに与えられる栄誉だからだ。ショボイ俺達に与えられるのは、せいぜいポテトチップスに含まれる、わずかな栄養でしかない・・・。」





「まあ、つまり俺が言いたいのはだな・・・。
アーチャーをカッコイイと思うのはいいけど、決して彼になろうとするなってこと。崇めるのはいいが、成り代わろうなんて不遜な考えは起こすなってことさ。
誰もアーチャーにはなれない。衛宮士郎と同じ魂の質を持った奴しか彼に近付けないのだから・・・。
まあ、それでもアーチャーに惚れたというのなら仕方ない。追いつくのではなく、追いかけることだけ考えよう。自分のダメ精神を、彼の崇高な精神を反芻することで塗り潰すことから始めよう。そのゴール見えないルーチンが続くようになれば、堪え性が少しはついたと言えるだろう。そして、少しだけ先に進めるだろう。
絶対的な背中をその瞳に焼き付け、それを忘れないだけで、男というものは高ぶりを持続させることが出来るものなのだから・・・。」





「まあ、難しいことだろうけどな・・・。
何度も言うが、アーチャーは男の中の男だ。全ての言葉に意味があり、全ての行動に理由がある。
そう。彼の言動は、いつだって我々を魅了していた・・・。」





「例えば、戦闘シーン。
ランサーとの対峙の時、凛を庇うように不動の姿勢を取った彼の、何と勇ましくそして不遜なことか。自分への自信が窺える瞬間だ。その自信は言うまでも無い、元は凡人だった彼の血の滲むような努力の末に生み出された、極めて得がたいステータスなのだ・・・。
そしてバーサーカーとの対決。勝てないと直感しつつ、それでもなお凛を守ろうとする姿の、何と見事な献身か。
その背中を見ただけで凛はイってしまったに違いない・・・。
しかも彼女を安心させる為に吐いた台詞、『別にコイツを倒してもいいのだな?』という強がり。何と機転に満ちた労わり、そして大好きな少女に対する忠誠心か。セイバーも真っ青の、曲げない騎士道精神がそこにあった・・・。
さらに、勝てないにしても一矢報いようとするその諦めの悪さ。あとはセイバーが、士郎が、そして凛がいつか何とかしてくれると信じ、悪魔のようなバーサーカーを6回も葬った。イリヤですら想像だにしない、アーチャーの底力がそこにあった。当然、その底力は言うまでも無い、彼の弛まぬ修行の成果としての必然、至極当たり前の奮闘だ。
その結果、やはり届かなかったとしても、必然としてアーチャーの消滅がそこにあったとしても、俺は彼に失望しない。いや、そんなアーチャーだからこそ、俺はますます彼に憧れを抱くのであった・・・。」





「そして例えば、言葉の掛け合い・・・。
凛を子供のようにあしらい、何度も軽口を叩いた。だけど、その裏には常に彼女への忠誠と、せめて心の負担を軽くしようとする優しさと、そして何より妹に対する愛情のようなものがあった。そう思うんだ、俺は・・・。
また、アーチャーは士郎を敵視し続け、幾度となく暴言と怨嗟の呪いを投げかけた。お前は必要無いと、何度だって冷たい言葉で突き刺した。だけどその裏には、未だ前を向いている綺麗な魂を持った士郎に対する深層心理での憧れと、だからこそ士郎を、そして自分を許せないという自責と後悔の念があった・・・。
それを認めたくないから、でも認めたいから、全ての言葉に殺気を込める。さっさと気付けと怒気を孕む。時折溢れ出る・・・俺の思いに気付いて欲しいという、そんな救いを込めた悲しみを込めた叫びと共に。そのように、俺は思わずには居られなかった・・・。
でも、そんな様々な感情を引きずりつつも、最後は目で物を言うんだ。肝心なところでは何も語らず、ただ背中で語るんだ。誰よりも逞しく、同時に脆くて儚いその背中を僕達に晒しながら。アーチャーという男の魂を晒しながら・・・。
まさしく男の生き様だ。相手は男だというのに、俺というやつは、もう今すぐにでも達してしまいそうだよ・・・。」





「そんな、何をしても絵になる男・アーチャー。誰もが目をキラキラさせて熱狂するのも良く分かる・・・。
そう。言うなれば、アーチャーとはセイバーの男版。セイバーと同じ魂の質を持った士郎が原型なんだから当たり前かもしれないけど、だからこそTYPE-MOONが何をテーマにしているのか、誰を主役としているか一目瞭然なんじゃないか?
つまり、誰がどう見ても力を入れているだろう第一節『フェイト』、そして第二節『アンリミテッドブレイドワークス』。これが『Fate/stay night』の全てだってこと。そしてTYPE-MOONが本当に伝えたいことは全てこの二つの章に含まれており、彼等のテーマを完全に具現化させるには、その二つの章に登場する人物だけで十分事足りていたってことさ・・・。
まあ、『ヘブンズフィール』も色々宣っていたとは思う。だけど『フェイト』『アンリミテッドブレイドワークス』に比べてその密度は遥かに薄かったし、力の入れ様や熱意の込め方が他の二つに比して全然なってなかった。そして、内容も正直どっちらけだ。公式にメインヒロインの称号を与えられた間桐桜も全然大した事ないし・・・。だから、このグランドフィナーレとか称する『ヘブンズフィール』は間違いなくオマケ。これはもう疑う余地が無いな・・・。
だから、メインヒロインは桜では無い。当然凛でも無く、セイバーだということになる・・・。
反論するならするがいい。俺の強情な主張は、先の『惹かれ合う同質の魂』論および、士郎が主人公という事実を加味しただけですんなり通るんだから・・・。
つまり、『セイバー=士郎=アーチャー』という三段論法だな。それを他でも無い、TYPE-MOONが文章の節々で説明してるじゃないか。そこに、アーチャーが『アンリミテッドブレイドワークス』のキーパーソンだという揺るがない事実が更に加わる。もう釈明の余地すら見出せないぜ・・・。
そう。『Fate/stay night』の核は『フェイト』と『アンリミテッドブレイドワークス』。そこに大きく関わる衛宮士郎と、セイバーと、そしてアーチャー。彼等は皆一様に、高潔な魂と崇高な意志を持っている。それは、TYPE-MOONが伝えたかった『揺れない心』と『理想を追い求める強さ』に一致しているのだ・・・。
それを語り尽くすには、凛では少々足りない。まして桜などでは、その影すら踏むことが出来ないだろう・・・。
結局のところ、TYPE-MOONが『Fate/stay night』に求めたのは、時間を超越したセイバーとアーチャーと、その元凶である士郎、その気高い3人が気高く立ち回り続けることによって得られる、レベルの高い感動。凛や桜など、真人間との日常でその最後を補完しながらも、実はその最後には大して重きを置いていないという、歪曲した理想への挑戦。『Fate』コミュニティーにて、ユーザーがセイバーと士郎とアーチャーを永遠にスパイラルさせることが、彼等の本当の意図だったのだ・・・。
一癖も二癖もある、ハッピー一歩手前なエンディング達がそれを物語る。物語の各所において時間という因子を強烈に指摘し続けていることが、先の3人が特別扱いである証明になり得る・・・。
そう。TYPE-MOONは、既に通常のエロゲー回路を捨てていた。日常的エロゲーの在り方を否定していたのだ・・・。」





「だから君、騙されるなかれ。
『Fate/stay night』の本性とは、神聖と歪曲の二つ。
そしてその本章とは、『フェイト』と『アンリミテッドブレイドワークス』の二つだけだ。
決して説明書を鵜呑みにするんじゃないぞ?間違っても、間桐桜コミュニティーで『ヘブンズフィール』ネタをスパイラルさせたりするんじゃないぞ・・・?」





「感動したのは『フェイト』。
熱くなったのは『アンリミテッドブレイドワークス』。
そしてカッコイイのはアーチャーだ・・・!
これが、正しい感じ方。正しい男の在り方ってもんさ。そうだろ?君もそう思うだろ・・・?」





「そう思うなら、さあ!
そんなところに留まってないで、さっさと『アンリミテッドブレイドワークス』をリプレイするんだ!!
確かにアーチャーは曲者だ。だけど曲者が主役になれない、なんて道理は無い!そんなことを言う奴が居るのなら、俺はその反論の悉くを凌駕して、その存在を叩き堕としてやろう・・・!
だから君達も、さあ一緒に!俺と一緒にアーチャーの魅力を再確認する旅に出掛けようぜ・・・!?
底知れぬ感動と共にっ・・・!!」
















「いくぞHEY!YOUよ!

 涙の貯蔵は十分か?」