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「随分と時が経ってしまったなあ・・・。
Fate発売から、早や2ヶ月。周囲は未だにセイバーだ、アチャ凛だなどと騒いではいるものの、それも当初の勢いには到底及ぶまい。
これほどの名作を記憶の片隅に置く算段をしているなんて・・・。
時の流れとは、恐ろしい。
時間の経過とは、まさに最高位の攻撃であった・・・。」 |
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「まあだからと言って、流れに迎合してFateに対する情熱を抑え込むようなことは、俺はしないがね・・・。
そこいらの輩と一緒ににするなよ?俺は結構本気モード。Fateと心中するくらいの覚悟を持っているのだ。
そう。俺はまだ現役なんだよ・・・。
まあ、そんな現役な俺が第一回目のプレイで感じたこと。その結果、言えること。
正直な気持ちとは、多分こうだ・・・。」 |
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「『ヘブンズフィール』は、とにかく頭が痛かった、ってな・・・。」
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「もう滅多なことでは、俺はそれについて語るまい。狂うほどにリプレイすることも、易々とはあるまいよ。
だがな、『フェイト』および『アンリミテッドブレイドワークス』についてはさにあらずだ。プレイ日記に一段落を付けることが出来た俺だからこそ、これから腰を据えてじっくりと『Fate/stay night』を堪能出来る。
自称『Fate通』を名乗れる日を夢見て、リプレイの嵐に立ち向かう腹積もりが、ようやく整ったのだ・・・。」 |
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「そういうわけで、長かった『Fate/stay nightプレイ日記』も終盤に近付いて来た。だからそれに相応しく、俺なりの纏めをこれから展開してみよう。
まあ前回でとことん疲れたから、なるべく簡素な流れで行きたいとは思うが・・・。」 |
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「それでは、述べるとしよう。
『Fate/stay nightプレイ日記』、その総論を・・・!
一つ目は、感情による分析だ・・・!」
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「伝奇活劇ビジュアルノベル『Fate/stay night』。
それは、大きく分けて3つの物語から成る・・・。
@Fate(フェイト)
AUnlimited Blade Works(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)
BHeavens Feel(ヘブンズフィール)
と、以上の3シナリオだな。
まあ、その他にも『プロローグ』があったりするが、そこはいずれ述べるとして・・・。
3つの本編。これらは完全に独立しており、各々に個別のEDが用意されている。つまり、別に他のルートを知らなくても納得の行く結末を迎えられるという意味だ。その都度燃焼出来るという点で、マルチエンドの王道から一歩たりとて外れてはいなかろうな・・・。
だが、これも最近のエロゲーの宿命か?それらマルチエンド単体では、決して真の謎解きには至らない。類似する他の作品の例に漏れず、『Fate』もまたネタの出し惜しみをふんだんに活用し、それによってユーザーに与える心理的効果と感動を最大限にまで膨らまそうとしているのだ。
つまり、現在流行の『収束型』の側面も併せ持つということ・・・。
もはや名作、大作には不可欠な要素『収束主義』。最近のエロゲーは複雑だなあ、としみじみ感じる次第なのであった・・・。」
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「と、まあそんなことはどうでもいい。それよりも俺の見解を述べなければな・・・。
だが勘違いするなよ?何も、これから放つ意見が正解や事実であるとか、そういうことを言ってるわけじゃないんだ。『これがFateの正しい在り方だ』などと尤もらしく語るつもりも無いんだ・・・。
そう。俺がこれから行うのは、個人的感情の吐露。だけど偽らざる感情の吐露。
その『偽らざる』というのが存外大切でね・・・。あらゆる本能は様々な理性によって遮られ、だからこそ自分の気持ちが分からないことが往々にしてあるのだが、本来その感情の吐露が無ければ何も始まらないのさ。
そこに理由が後付けされ、細部にわたる説明が付加され、ようやく一つの論理として昇華する。その大前提としてあるのが、自分の偽らざる本心ってことなんだ。
要は、イエスかノーか。好きか嫌いか。その二者択一をしなければ、物事は発展しないのだよ・・・。
つまり、感情とは総論。そして理性とは各論だろう。
総論だけでは不完全で、だから各論を必要とする。だけど総論とは不完全というだけで、一応立っていられることだけは出来るんだ。各論との違いがここにある。各論だけでは前提すら成り立たない、それだけでは存在すら許されないのだから・・・。
それを踏まえるからこそ、以下に述べるは俺だけの総論となる。俺が一体何を好きで、何が嫌いなのか?ただそれを発表するだけの場と成り果てる・・・。
だけど、それ故に真実なのだろう。世の中に氾濫する『行き場の無い衝動』の中のほんの一つ。無限に増殖し続ける『決して統制されることのない魂』の中の一欠片。そんな無指向性高き『内面の発露』あってこそ、人間らしさが生まれるのだから。それこそが、まさしく世の中を世の中たらしめているのだから・・・。
誰しもがそうであるように、衛宮士郎がそうであったように、常にこの世は『俺の正義が世の正義』。
『俺の声が神の声』だ・・・。」 |
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「そういうわけで、俺の総論。感情的な部分を最優先した、心の声を披露するのならば・・・。
やはり、『フェイト』およびセイバーの輝きが何よりも先に来た。
『フェイト』ほど美しい物語は他に無く、セイバーに及ぶ存在は一人として居ない。それは、俺の心をいつまでも捉えて離さないのだ・・・。
まあ凛ルートである『アンリミテッドブレイドワークス』もそれに拮抗するほど脱帽ものだけど、最強キャラであるセイバーが最もスポットを浴びる『フェイト』が存在し続ける限り、どうしても一歩下がる感を否めないだろうな・・・。
『ヘブンズフィール』が不動の最下位というのは、当然のごとく変わらないがな・・・。」 |
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「さて。それでは、俺の総論たる『フェイト&セイバーマンセー』たる所以。何ゆえにに俺はここまで彼女を、彼女が主役を演じるシナリオを愛して止まないのか、そのあたりを紐解くとしようか・・・。」 |
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「その理由の一つとして、セイバーの容姿がまず外せないだろうな・・・。
面食いだと言いたいのなら言うがいい。上っ面だけ見て本質を見ようとしない軽率なヤツだと謗りたいなら、いくらでも謗るがいいさ。そんなことを言った瞬間、逆にお前こそが軽率の極みだと謗られるんだからな・・・。
とりあえず、一つだけ真理を言っておくぞ?
奇麗事はよせ。男は元来、美人が好きなもの。そして女は美男子が好きなものだ。いくら取り繕おうが、内面など二の次なんだということを・・・。
内面を見て好きになったと良く言うがな、それはあくまでまず最初に容姿を見た後での判断に過ぎないのだ。
つまり、まず何よりも先に容姿を見、次に内面を見る。そしてその内面を踏まえつつ元の容姿に立ち戻る。両者の整合性が取れていれば取れているほどにその異性は理想的なのであり、不整合が余りに大きければ理想と大きくかけ離れる。
まあ整合性が取れていなくても、人間はかなりの妥協を働かせることが出来る生き物だから、完全な失望には至らないだろう。内面だけは無限に磨くことが出来るんだからな。少し容姿で劣ったからといっても、十分に補強できるだろう・・・。
重要なのは、その整合性をいかにとるか。見る者は、いかに妥協を働かせるかだが・・・。
どちらも突出していれば神に近付く偉人となれるし、どちらかが突出していても、やはり人とは一線を画すだろう。
まあ実際の英雄や偉人を見てみると、その内面が最重視されているようだが、やはり容姿の問題は完全には避けられまい。『物語に美男美女は付きもの』と言われるように、やはりいい男やいい女の方が話は盛り上るのだよ・・・。
先ほど俺は、内面は無限に磨くことが出来ると言ったが、多分凡人が真に憧れるのはこっちだろう。いや、凡人ゆえにと言うべきか、彼等が憧れてやまないのは、その無限に近付こうとする勇姿にこそあるに違いない。容姿の問題など軽く吹き飛んでしまうほどに、その懸命な成長劇は美しく映るに違いないさ・・・。
だけどそういう事情があるからこそ、内面を極め、かつ容姿すらも極みの位置にいる存在の、何と神のごとき輝きだろう・・・。
後世の人類から偉業を絶賛され、そして容姿までも人に非ず。その二つの要素を究極の場所で整えることが出来た人間は、まさしく奇跡。その奇跡こそが、人が真に欲っするものなのだよ・・・。
で、その奇跡を起こせたのは、Fateにおいてセイバーというヒロイン以外に居ない。だから俺は彼女に焦がれて仕方ないのさ・・・。
まあ本心を言えば、一人の凡人としてアーチャーにこそ最大級の喝采を上げるべきだと俺は思う。それが偉人に憧れる凡人の正当な心の動きのはずなのだから・・・。
だけどまあ、やっぱり男は美人に弱くてね・・・。
アーチャーがいくら鉄の意志で凡人から偉人に成り代わったと言っても、セイバーの神々しさだけは超えられない。彼女のあの少女のような肢体、汚れを知らぬ身体と心。そんな彼女が誰もなし得ないような偉業を果たし、かつ士郎も真っ青の志を頑なに実行しているのだから、俺としては頭を地面にすり付けて土下座するしか無かったんだよ・・・。」
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「そういうわけで、まずは美しい女子(おなご)ありき。
セイバーは美人だ。それも、万年蔵に篭って女に興味が無さそうな風を装う士郎ですら一秒で惚れさせてしまうほどに、尊大なる学園のアイドル・遠坂凛ですら自信喪失で立ち上がれなくなるほどに絶世の美人である。
少女のくせに、士郎より年下のくせに、アルクェイドも真っ青な美女ぶり。だけど一緒に過ごしてみれば、食事をそわそわして待ち続けるような可愛らしい女の子ぶり・・・。
そんな少女が聖女服を纏い、さらにその可愛さを助長させたかと思えば、今度は狙ったように鎧を装着させ、ベルセルクもあわやという大剣を握らせるギャップ効果・・・。
そんな感じで、女性の魅力をこれみよがしに振り撒きつつ、戦う女としても一級品で、そして全てを束ねるその志は天をも貫くほどに真実一路だっ・・・!
こんな非の打ち所の無い女性が他に居るか?
いや、居まい。
そんなセイバーからひと時でも目を逸らせると言うのか?
いや、逸らせまい。
世間では凛サイコーとか、ライダーさんイカスとか、あろうことか桜ちゃん可愛いとか、そんな幻聴としか思えない声が激しく巻き起こっているようだが・・・。
セイバーを差し置いて他の女に走るなど、俺には一生掛かっても理解出来そうにないよ。
人って、ホント分かり合えない生き物だなぁ・・・。」 |
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「まあ・・・。
セイバーが美人で可愛いお方だってのは、今更言わなくても皆知っていることだろう。それは周知の事実というヤツで、取り立てて騒ぐほどのことでもない。
だから俺が語らねばならぬのは、彼女の内面。その誓いの尊さと、魂の清らかさのはずだった・・・。
そうだ。セイバーは容姿もさることながら、その心の在り方が誰よりも綺麗で、誰よりも尊い。それが彼女の美しさをより一層際立たせていたのだということを、貴様等共々、俺はもう一度再確認するべきだ・・・。
よしっ!そうと決まれば・・・!」
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「いきますよ騎士王!
賞賛を受ける準備は十分ですか?」
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「サーヴァント・セイバー。別名・アルトリア。いや、別名・騎士王、アーサー王・・・。
とにかくこの少女は、ただただ戦乱の世を憂いていた。彼女はただ、国を救いたかったのだ。
か弱き細腕のくせに、まだ胸の発育すら不十分な華奢な身体のくせに、一国の王となる道を選んだんだ。
騎士として育てられたとはいえ、さぞかし重荷だったろう。さぞ辛かっただろうな・・・。
そう。一人の少女は、岩から剣を抜いた瞬間から笑顔を忘れ、ただ自分の職務に邁進する。一切の私心を表に出さず、公人として最大限の結果を出した。
そのため、犠牲にしたものは数知れず。小を殺して大を取るマキャベリズムに則った結果、こぼれ落ちたものは計り知れず・・・。
だけどそれも、最大限の結果を優先したがゆえの、彼女にしか為し得なかった英断なのだよ・・・。
全てを救いたい、でも全ては救えない。セイバーは、その当たり前を士郎なんかより、未熟時代のアーチャーなんかよりも遥かに弁えていて、だから最善だと信じる方法を常に取って、ただ戦っていたんだ。
まさしく彼女は、誰にも恥じることの無い、王の中の王だったんだ・・・。
だけど、最後に与えられた仕打ちは裏切り。命を賭けて守り通した国に、彼女は裏切られてしまった。
人間らしさが無いと気味悪がられ、人の心が分からないと疎んじられたまま、最後は孤独なままに死んでいったんだ。彼女の本心も知らないくせに・・・。
そう。アルトリアの誓い、それは確かに『この身は全て国のために』だ。だけど、それが意味するところは『みんなの笑顔のために』だったんだ・・・。
自分一人の笑顔を犠牲に万人の笑顔を得る。一つの花を枯らせて、後に大輪の華を咲かせる。それが彼女の望んだ本当の夢であり、そのためなら彼女は他に何も要らないと、気高い誇りを持って戦ってきたのに・・・。
何て惨い仕打ち。何て哀れな結末。
傍から見ればセイバーは、確かに士郎の言う通り馬鹿だったのかもしれない・・・。」 |
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「だがな、セイバーはそんなこととっくの昔に知っていた。自分がどんな結末を迎え、どのような末路を辿るか重々承知していたんだ・・・。
それを知ってなお選んだ棘の道。垣間見た未来には笑顔があったから、望んだ幸せがあったからと、真直ぐな瞳で来るべき絶望の未来を受け入れたんだ。
そんな彼女の気高い誓いを、誰が責めることが出来よう。まずは自分が大切などと、そんな凡俗的な回答をどうして投げかけることが出来よう・・・。
そう。アルトリアはやり遂げた。国のために戦うと誓った志は最後まで朽ちることは無く、それに自分の存在意義を見出した彼女の潔白なまでの誇りは誰にも汚すことなど出来ず、死の直前ですら胸を張れるほどに真直ぐだった人生。誰に恥じることもない・・・。
そして同時に、彼女の望みも叶っていたのだ。聖杯など無くとも、彼女の願いは既に叶えられていたんだ・・・。
そう、とっくの昔に気付いていた。自分のやってきたことに悔いなど何一つ無いと。ただやり遂げ自分で誇れたならば、それは最良の生なのだと・・・。
結末がどうであろうと、それは偽り無い自分の誓いと誇り、その具現だったのだと・・・。」 |
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「そう。セイバーはもう既に達していた。つまり、彼女は元々完璧だったのだ・・・。
その輝きには一点の曇りも無く、あったのは一時の気の迷い。国が滅びたという結果だけを強調したあまり、ほんの少しだけ自信を喪失してしまったその姿が、セイバーという亡霊となって短期間だけ彷徨っていただけなのだ・・・。
そう。彼女の美しい心の在り方、透明な人生に比べれば、そんな気の迷いなどは取るに足らない。そして『士郎以上に欲しいものなど無い』と光栄すぎるお言葉を賜れた衛宮士郎という存在ですら、アーサー王にとっては取るに足らないものなのだ・・・。
俺がセイバーを最も愛して止まないのは、まさにそこ。士郎を何物にも代えがたい存在と言っておきながら、それでも最後はそんな彼ですら振り切ってしまえるほどの強さ、迷い無き心こそが、セイバーのセイバーたる所以なのだよ・・・。
セイバーは分かっている。自分が生きた時代の全てと同じほどの価値を持つ士郎だけど、同じ世界には存在出来ない価値なのだということを。同量であって同質ではない士郎が存在を許されるのは、夢の中だけであることを。自分の誇りを最後まで貫き通すために、士郎のことは夢にしなければならないことを・・・。
何事にもやり直しなど効かない。効くのは人生と言わない。たった一回の人生だからこそ、過ぎ去った事実は全て受け入れて、終わったことを終わったことだと言い切れる。それこそが偽りの無い生、強さ。たった一つの人生という意味を、セイバーと士郎はとっくに知っており、それを実行出来るだけの心の強さが彼等にはあったのである・・・。
もしやり直すとしても、それはあくまで夢の中。現実とは違う、夢という理想郷の中で戯れればいい。
その狭間に、だけど一度だけ士郎と肌を重ねた。もし一時の夢というならば、これこそが最大限の彼女の夢だったのだろう。この一夜だけは夢なのだから、せめて一人の少女として、アルトリアとして。彼女が憧れた、人生のもう一つの可能性を思い描きながら。セイバーは、そう考えに違いなかった・・・。
結局、士郎が出来たのは、迷いを抱いていたセイバーの背中を少し押すだけのことであり、そんな少女が一瞬だけ見た『いっときの夢』を与えること以外になかったのだ・・・。
そう。いくら士郎に愛されようとも、いくら士郎を愛そうとも、曲げてはならないものがある。
それが『過去』という出来事。それが『事実』という現象。そして、己の意志・・・。
人は、その過去と事実を糧にして、残された時間に意志を込め、未来を展望するだけでいい。その未来すら無いというのなら、せめて夢を見ればいい。
アルトリアという少女のように・・・。
本当の生を実感したいのならば・・・。」 |
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「そうすれば、いつかは理想郷に辿り付けるかもしれない。
セイバーが垣間見た『いっときの夢』。それはこれから訪れるかもしれない理想郷の一つだったのかもしれない。
そう。べディヴィエールに見守られ眠りにつくアーサー王が見た夢は、士郎という少年に抱いた『いっときの夢』の続きだったのかもしれなかった・・・。
だから願わくば、その夢が彼女の望んだもう一つの幸せであらんことを。士郎との愛の物語であらんことを・・・。」 |
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「その時、忠実な部下に見守られながら眠りに就くアーサー王の顔は、ただただ安らか。
士郎に『愛している』と、その偽りない心を伝えたアルトリアの顔は、ただただ真摯。
そして戦うセイバーの姿は、ただただ輝いていた・・・。」 |
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「セイバーは、その全てが輝かしい奇跡だった・・・。」 |
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「だから、俺はセイバーが眩しい。セイバーを愛して止まない。そしてその愛についてですら、一緒に居るだけが全てじゃないと強く感じれたのであった・・・。
ゆえに当然の如く、そのセイバーが自らの矜持といっときの夢を披露してくれる至高の物語『フェイト』がいつまでも忘れられないのである・・・。」 |
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「確かに『アンリミテッドブレイドワークス』もベクトルは同じ。『一念、岩をも通す』の趣がプンプンと漂う凛ルートは、セイバールートと同じくらいに熱くなれた・・・。
だが、やはりセイバーの圧倒的魅力と、なにより最後に見せた『黄金の別離』での極限の愛情表現が忘れられない・・・。
『シロウ――貴方を愛している』
この一言が、心に深く突き刺さる・・・。
そう。セイバーは究極のヒロインにして究極の求道者。それはつまり、究極の生命体ということだ。
俺は、ただセイバーに憧れ、そして美しいと思ってしまったんだ。
衛宮士郎と同じく・・・。
それはもはや、ヒロインという括りでは語ることが出来ない存在だった。」 |
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「つまり、『Fate』は一にも二にもまずセイバー。
彼女が居るからこそ、それに同調できる士郎の格も大いに上がるし、ベクトルは違えどアーチャーの背中の意味もおぼろげと窺えるのだ・・・。
逆に言えばな・・・。
桜ルートが無くても別に機能する。あれは、全てを包括したグランドフィナーレだが、それだけに端折られている部分が多い。また、サーヴァント戦という本来の在り方から少し外れてしまっている・・・。
『ヘブンズフィール』ってのは要するに、元から居た士郎と桜が人間としてラブストーリーに目覚めるだけの話じゃないか。世界の広さという点ではピカ一だけど、それも結局は月姫世界を介入させてTYPE-MOONファンを喜ばせているだけという、独立出来ない他力本願シナリオじゃないか・・・。
つまり、『ヘブンズフィール』は一人では立てない。だけど『フェイト』は一人で立てる。多分、『アンリミテッドブレイドワークス』もな・・・。
だけどそれは、まずセイバーという一人立ちした究極の個性があればこそ。彼女と共に理想に向かって高めあう士郎が居て、蔭りを見せつつも男の含蓄を垂れるアーチャーが居て、そして彼等を見事に統率する天才魔術師・凛が居てこそ、『Fate/stay night』はその輝きを無限に広げることが出来るのさ・・・。
その中でも『フェイト』とは、まさしく『人としての理想』を極めたシナリオ。『アンリミテッドブレイドワークス』が『現在と未来、だけど変わらず在り続ける理想』という愚直さから来る理想を描くのだとすれば、『フェイト』はその愚直さに比べてあまりにも清廉で純粋過ぎる理想のカタチ・・・。
まさしく聖なるモノだ。それを醸し出す最大の要因たるセイバーは、まさしく聖女だ。
俺は、この聖女にだけは邪な心を持てない。ただ崇拝し、尊敬し、教祖に対する信者にも似た愛を捧げるだけなんだよ・・・。
って、オイ!そこのお前っ!
セイバーをオカズにしようなんて、そんな不埒なマネは、この俺が絶対に許さんぞっ・・・!」
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「と、まあ何だ・・・。
結局のところ、俺にとっての『Fate』とはだな・・・。
『セイバーに始まり、士郎に終わる』ってことだ。
この二人が最大限のステータスで共闘してこそ、『Fate』は最高の名作となれるのだと思う。
決して凛からは始まらない。桜では終わるわけでもない。
士郎がセイバーと出会い、戦い、そして別れ、だけど彼女との日々を糧にして遥かなる高みを、理想の姿を目指し続ける物語。セイバーに負けまいと、昔から憧れた正義の味方を目指し続ける物語。
それが、『Fate/stay night』のテーマ。TYPE-MOONが何と言おうと、この心は変わらない。俺は、俺が憧れたものを信じるだけなのだから・・・。
その憧れは、セイバーの心の在り方に憧れることに似ていて。アーチャーの背中に憧れることにも似ていて。
まるで、子供が星を掴むような憧憬が、そこには含まれていた・・・。」
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「確かに、士郎が持つ憧れは借り物かもしれない。
自分の心から湧き出た衝動じゃないかもしれない。
だけど、たとえ借り物であろうとも、そこに向かって進む士郎はやはり格好良く、そして美しかった・・・。
全ての人間が幸せという究極の理想。それを不可能だと知りつつも、だけどそれに憧れること自体は間違いじゃないと言い切れる魂。そして自分に出来ることを精一杯やろうと前を向き続ける士郎の、何と素晴らしいことか・・・。
士郎は知っている。全て遠き理想郷を求めて叶わなかったセイバーと同じく、全ての人間の正義の味方になることもまた届かない理想郷。だけど理想そのものはいつまでも人を惹き付けて止まない真実なのだとということを・・・。
だから真実を求める人間には誇りが漲り、そして輝きが満ち、他の人々に眩しく映るのだと・・・。
そこに本当の意味がある。ゲームをプレイすることの意義がある。見事な構成や洗練された技巧だけでは伝えられないテーマ。それに気付き、純粋な力を与えてくれるのは、多分『Fate』のようなゲームだろう・・・。
だから『ヘブンズフィール』はオマケなのだと俺は言う。俺に現実としての力を与えてくれる『フェイト』や『アンリミテッドブレイドワークス』こそがメインで、『Fate』という名作の柱に相応しいのだと・・・。
そこに他者の意志は介入しない。あくまで自分が信じた道、それに向かって歩んできた今までの過去があり、そこから延びた現在があるのみである・・・。」
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「士郎もセイバーも、その過去を噛み締め、今の自分となった。それ以外の自分は無いと、当たり前のように思うことが出来た・・・。
だから、セイバーとの黄金の別離も、二人にとっては当たり前の結末・・・。
道はただ一つしかあってはならないと、強く信じている二人なのだから・・・。
それを非難する資格など、誰にも無い。
彼女は、自分の信じる道に従った。彼女にとって当たり前の人生を生きた。
それは士郎も同じく・・・。
その迷い無き心が美しかったからこそ俺は『フェイト』に、そして『Fate/stay night』に惚れたんだ・・・。」 |
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「そう・・・。
だから俺の総論なんて、とうの昔に決まっていた。
今さら言う必要などまるで無かったんだ・・・。
そんな俺の総論、当たり前の総論。
この俺の、心からの吐露はただ一つ・・・。」 |
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