カラフルBOX(サウンドテイル) 
戯画でなければならない筈だったんだ・・・

(※画像引用:ねこねこソフト、朱のネタバレ多少あり)


 

あらすじ?概要?(うろ覚えVer)


海晴坂学園生である杜月鳴海。
中学時代から打ち込んでいた柔道を、怪我で断念してからというもの、軟弱な日々を送っていた・・・。

だが、それでも彼に表面的な不満は無い。
自他共に認める可愛いブラコンの義妹・杜月みなもや、自分を慕い続けてくれる年上の幼馴染・楠木綾音、その弟・誠という仲良し幼馴染のコミュニティーで癒されているからだ。
学園に行っても、うるさいクラスメートやら、熱血柔道男、物腰柔らかい美人の先輩など、対人関係には事欠かない。
彼は、学園生活を、ほぼ満喫していた・・・。

だが、そんな鳴海もたまに悩むことがある。
一つは、辞めてしまった柔道への未練。全国大会まで行った彼は、本当のところ柔道がまだ好きだった。
そしてもう一つは、女の子の扱い。義理の妹から幼馴染から、クラスメートから、鳴海の周りは自分に好意を持ってくれているだろう女の子が見て取れる。はたして誰を選ぶべきか・・・。

今、杜月鳴海は青春真っ只中に居た・・・。






 

感想?批評?(超私的版)
 
                      


23days―















「発売日は12月5日・・・。そして現在、12月28日・・・。」





「あれからもう、23日も経ってしまった・・・。」


「うん・・・」





「そろそろ動き出さねば全体に支障をきたすと俺は思うのだが・・・。」


「うん・・・」





「拗ねるのはそろそろ辞めて、いい加減に批評をしてみないか?」


「う・・・ん・・・」





「ふぅっ・・・。そんなに悔しかったのか?」


「・・・・・・・・」





「『カラフルBOX』を戯画作品だと勘違いしたことが・・・」








「うん・・・。何で私、戯画だなんて思っちゃったんだろう。『カラフルBOX』の名前が、戯画の『カラフルハート』や『ぱすてるキッチン』に何となく似てたから、都合のいい連想をしちゃったのかなぁ・・・」




「アラミス・・・」







「本当にやな記憶。忘れたい・・・」






「何・・・?忘れたい、だと・・・?お前は今、そう言ったのか?」


「・・・え?」





「そうか・・・。忘れたいほどに辛いのか。全ての記憶と引き換えにしてしまいたいほどに、その心は押し潰される一歩手前なのか・・・。」


「え、いやあの・・・。別にそこまでは・・・」








「ならば、全てを還してやろう。この俺が・・・」








「うわあっ!!いい、いいよ別に!冗談だってばぁ!」





「む、そうか。残念だ・・・。」





「ざ、残念って・・・・・・」





「もちろん冗談だ。」




「も、もう〜っ。カダンの冗談は全然面白くないんだからやめてよぉ〜。心臓が止まるかと思ったよ〜。」




「余計なお世話だ。」





「はうっ・・・!」






「俺は今のままの俺でいい。今の俺でなければならない。『カラフルBOX』が戯画でなければならないと思ったお前と同じように・・・。」


「・・・・・・・・・・」




「そうでなければならない筈なんだ・・・」


「わわ、分かりました・・・」






「まあ別にそんなことはどうでもいい。それよりも、分かったのなら立ち上がれ。間違えて買ったとは言え、お前は『カラフルBOX』を紛いなりにもコンプリートしたじゃないか。一刀両断するのはもはや今、この機会を置いて他に無い。お前の忌まわしき記憶と共に、今度こそ葬り去るのだ、アラミス・・・!」


「う、うん・・・。でもごめん、カダン。戯画作品と間違えたっていう記憶は全然消えないのに、肝心の『カラフルBOX』の内容は結構拡散しちゃってるの。カダンに還してもらうまでも無く、あんまり覚えてないんだよ・・・」





「なんだと・・・。お前はそれでも眷属か?選ばれし者なのか?俺は嘆かわしくてたまらない・・・。」


「うう、ごめんなさい。でもこればかりはどうしようも無いの。やる気が全然起きないの・・・。もう私は無理。だから代わりにカダンが批評して。お願い・・・」





「・・・・・お前は、それでいいのか?」


「うん、カダンさえ良ければ・・・」






「後悔しないと誓えるか?」


「うん、カダンが後悔しないなら・・・」





「分かった・・・。それをお前が望むならば是非も無い。俺は、お前を護る為にのみ存在する男なのだから・・・」



「・・・・・・・・・・」







「遠慮なく斬って捨ててやろう。この俺が・・・」







「わあっ♪カダン、ありがと・・・」





「礼には及ばない。それよりも覚悟するがいい、アラミスよ・・・」





「う、うん。どきどき・・・」






「そして覚悟するがいい・・・」












「『カラフルBOX』・・・!」

















「この作品は、『学園ラブコメディ』に分類されている。そうだな、アラミス?」


「う、うん。そうだった、と思う・・・」






「うむ。つまりこれは、最も一般的な部類。世間で幅を利かせる主流派に準じた物語という意味になる。それは、より民衆の心を捉えやすい定石を駆使することでもあろう。つまり、最も無難で安全な戦いに身を投じているのだ・・・」


「ま、まあそうなるのかな。でも安全なのはいいことだと思うよ?」






「その通りだと俺も思わなくも無い。しかしな、アラミス。最も安全な戦いは、裏を返せば最も危険な戦いという意味にもなりはしないか?」


「えっ!?」



「『学園』と『ラブコメディ』。この古から変わることなく最も広まっている二大戦略に則るのは構わない。だがそれは、自分達だけでは無く、より多くの他人も行使しているということ。そんな、誰もが同じ条件を用いた戦いにおいて、雌雄を決するのはただ人の資質。それを作る人間以外に有り得ない。」


「・・・・・・・・・・」





「この場合で言えば、『カラフルBOX』という作品を作った『サウンドテイル』なる集団の人間達の能力に全てが委ねられているのだが・・・。彼等は商業市場に身を投じるのは初めてという話ではないか。つまり初陣だ。初陣の身で、歴戦の兵達に研究し尽くされている領域『学園ラブコメディ』に挑戦することが、どれほど無謀なことか・・・。それを彼等は理解していたのだろうか?」


「で、でも・・・。初めてだから無難な道で自分達の可能性を模索したんじゃないかな・・・。」





「それはそうなのだがな・・・。だけど間違いなく忘れ去られるぞ?同じ戦略の中でも既に勝利の法則を編み出している熟練者が居る以上、新参者の『サウンドテイル』は決してその熟練者を凌駕することが出来ない。お前が既にその内容を忘れてしまっているように、買った人間の記憶からは既に消えかけているのだ。発売から僅か23日しか経っていないというのに・・・。誰にも覚えてもらえないというのは辛い。生きた証を立てられないというのは・・・辛いものだ。」


「カダン・・・」






「要するに、模倣をし過ぎたのが良くないのだ。俺が覚えている限りでは、話はそつなく纏まっていたと思う。やや稚拙な表現はあれど、それは『学園ラブコメディ』として適度なものだったと思う・・・。だけど、その適度が身を滅ぼすのだ。適度では決して過去の偉人を超えられない。在り来たりをなぞるだけでは、いくら可愛らしい言葉遣いや仕草を入念に組み込もうと、時間が経てば霧のように霧散するだろう・・・。
それはまあ、王道を行くのは構わない。だけどその王道の中においても必ず一つか二つは・・・・・・自分の限界を超えなけばならないのだ。」


「限界・・・・・・・・・・・・」





「そうでなければ死あるのみ。せっかく用意した『狙った萌えキャラ』の存在も、彼女等が抱く淡い恋の行方や心の機微も、年に似合わぬ主人公の説得力ある論調も、噛み合うことなく終わるだろう・・・。要は、二番煎じ以外の何者でも無かったのだ。」


「そ、そうかな?私は結構可愛いと思ったんだけど・・・」





「まあ、その時はそう思うだろう。だが、冷静に考えれば取るに足らないことに気付く。そうだな、例えて言うのなら・・・。
従姉妹でブラコンの『杜月みなも』は、所詮ショコラの『結城すず』に及ばない。主人公を慕う後輩『峰岸ゆか』は、みずいろの『進藤さつき』に及ばない。可愛い先輩という位置付けの『橘棗』はONEの『川名みさき』に敵うはずも無く、主人公と五月蝿いだけの漫才を繰り広げるクラスメート『山田穂波』など、ONEの伝説乙女『七瀬留美』と比較するのも愚かしい・・・。
そして主人公の杜月鳴海。柔道の腕は全国級だと言っておきながら、その華奢すぎる身体はどうだ。容姿をまず優先するのは分かるが、何でも都合良く書き換えるのははっきり言って意味が無い。背景を軽んじる作品には重みが無いからだ・・・。」





「そ、そんなものなんだ。結構厳しい世界だね・・・。でも、それにしても一つくらい何か特徴があってもいいと思うんだけど・・・。何か無いのかなぁ?」


「ふむ、そうだな・・・。敢えて挙げるとすれば、この作品の文章の中には『サムズアップ』という単語がやたらと多く見られたということか・・・」




「さむず・・・あっぷ?」






「Thumbs(サムズ)、つまり親指だな・・・。それをup(アップ)する。つまり、親指を立てて『OK』とか『Yes』という意思表示をするわけだが・・・。」





「うーん、こうかなぁ・・・こんな感じかなぁ・・・?何か、アメリカ人みたい・・・」






「まあな。だが、その『サムズアップ』という単語が余りに目に付くのが『カラフルBOX』のもう一つの異色性ではあるだろう。確認出来ただけでも、恐らく30回は下るまいな・・・。
だが、それは特徴と言えるだろうか?見る者が見れば『しつこい』という感情を抱きはしないか?繰り返しによる功徳は知っているつもりだが、度を越した繰り返しが果たして美徳になり得るのか?」


「うーん。確かにしつこいと嫌になっちゃうかもしれないね。ここだっていう時に使ってこそ価値があるんだもんね?」





「その通りだ・・・。だから、その『サムズアップ』の使い方を間違ったのも、この作品にとっては逆に失敗と言えるだろう。俺としては、そんな頻繁な繰り返しは願い下げ・・・
Thumbs down(サムズ・ダウン)だなっ・・・!」





「うあー、手厳しいねカダン。私としては、この『サムズアップ』ってちょっと気に入っちゃったんだけどな。」






「まあそれは別に構わないさ。だけどあまり使いすぎるなよ?本当に必要と思った時に使わないと、その価値が薄れるからな。」


「うん、分かった・・・。じゃあ結局のところ、『カラフルBOX』っていうゲームは、カダンにとってもいずれは忘れちゃうゲームってことでいいのかな?」


「決して嫌いでは無かったのだが、最終的にはそうなるだろうな・・・。
つまり、『カラフルBOX』とは可も無く不可も無い、ただそれだけの作品。これといった特徴をそれほど見出すことが出来ない、言わばその他大勢の中の一つだったのだ・・・。
まあ、唯一光ったのは、大人しい同級生『八重樫芽衣』の存在くらいなものだろう・・・。」





「う゛〜。その『八重樫芽衣』って子、私も覚えてるよぉ・・・。確か大人しくて上目遣いで主人公・鳴海君を見上げる、子犬みたいな可愛い女の子だよね・・・?確かにとっても可愛いと思うけど・・・そういうのがカダンの好みなの?」





「ああ、そうだ。彼女が居たからこそ、俺もまだ救われたと言って良いだろうな・・・」


「むぅ・・・。何か、結構ミーハーなんだね、カダンは・・・」



「何だ、妬いてるのか・・・?」


「ちちち、違うよぉ!ただ、私はっ・・・!」





「・・・ふぅ。お前は本当に子供だな。何も分かっていない・・・」



「ど、どうせ私は子供ですよぉ〜っだ!」





「そういうことじゃない。俺がお前のことを子供と言うのは、お前が俺の気持ちをまるで汲み取ろうとしないからなのだ・・・」



「え・・・?」







「確かに、この『八重樫芽衣』という少女。物静かで、頼りなくて、後ろから小走りに付いて回る仔犬のような可愛い存在だと俺は言った。そんな少女を、俺はとてもいとおしいと思う・・・。
だがそれは、何処かの誰かに似てるからなのだ。」



「そ、それは・・・誰かな・・・?」





「それはなアラミス・・・。お前のことだよ・・・」






「えっ!?」







「俺が『八重樫芽衣』というヒロインに目を奪われてしまったのは、ただ彼女がお前に似ていたから。お前に心惹かれてしまった俺の願望が、彼女に投影されていたからなのだ。
つまり、俺は別に『八重樫芽衣』など本当のところどうでも良い。ただ、お前が側に居てくれるのならば・・・。」


「あ、あの・・・・・・・」





「確かにお前は眷属で、俺は守護者。守護者である俺は、何よりも先にお前を護る義務がある。だけど俺は、その義務を理不尽に思ったことなど一度も無いんだ・・・。
そんなものとは関係なしに、使命感より先に、俺を突き動かすものがあるからだ・・・。」


「それは・・・何?」



「それは・・・・・愛だ・・・・」



「えっ!?」







「眷属である前に、お前はアラミス。それと同じように、守護者である前に俺はカダンなのだ。その俺が、遥か昔より見守っていた少女。まるで仔犬のように付きまとい、済んだ瞳で俺を見上げていた少女・・・。そんないとしいアラミスだからこそ、俺は今でもお前と共に居る。」


「カ、カダン・・・」





「俺はただ、お前の可愛い顔をずっと見ていられたら、それで幸せなのかもしれない・・・」




「そ、そんな。可愛いだなんて・・・」






「ならば言葉を変えよう。俺は、そう・・・。ただ、お前を・・・愛しているのだ」


「カ、カダン・・・」





「別に忘れてくれてもいい。だが、俺の心は変わることが無いだろう。今までも、そしてこれからも・・・。」




「・・・・・・・あ、ありがとうカダン、嬉しいよ」







「こんな恥ずかしい言葉は言いたくなかった。だけど、たまには俺も正直になっていいのかもしれない・・・」


「カダン・・・・・・」





「まあ今後は言わない。今回一度だけのことだ・・・。
だからアラミス、お前も一度だけでいい。本当の心を聞かせてくれないか?」



「え・・・?私の・・・心?」






「ああ。別に日々冷たくしてる俺が鬱陶しいでもいい。もう少し優しくしろと糾弾してくれてもいい。とにかく、お前の心の中にある気持ちを聞かせて欲しい・・・。」





「そ、そんな・・・。カダンったら、言わなくても分かってるくせに・・・」






「ア、アラミス・・・」






「私もカダンと一緒。小さい頃から、ずっとカダンだけを見てたんだよ・・・?」


「・・・・・・・」






「カダンは私を愛してるって言ってくれたよね・・・?
だから私もやっぱり一緒。私も・・・私もカダンのことを・・・」











「とっても、とっても・・・愛してるよっ♪」







繰り返す〜 リーズーム too late to slow...♪ (・∀・)


はす甘い〜 し〜ら〜べ〜に〜っ♪ (・∀・)


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・





それはサムズアップ。覚えたての意思表示。

満面の笑顔と共にするそれは、心からの「Yes」の証・・・。



その笑顔が心に残るものならば、

たとえ儚くても、人々の心に残るかもしれない・・・。



八重樫芽衣のように気に入ったキャラが居たのなら、

もしかして「カラフルBOX」も記憶に止まるのかもしれない・・・。




(終わり)
























・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







・・・・・・・・・・・・







・・・・・・・・・








「あ!見て見て、カダン!」





「ん?」






「夕日がとってもきれいだよ?」









「ああ、綺麗だな。ある意味、カラフルだとも言える・・・。
まあ、お前の笑顔の眩しさには到底及ばないがな・・・」












「も、もう〜、カダンったら・・・」












「カラフルBOX」のことは忘れても、俺はきっと忘れないだろう・・・。


このカラフルな夕日と・・・


そしてアラミスの笑顔だけは・・・






多分、永遠に・・・・・・・