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報告6:「時に魔法は命懸けだよ・・・」
(クライアント:デューク東郷)
デューク東郷、国際A級スナイパー。
行きつけの武器屋にライフルのカスタマイズを依頼したところ、体よく断られた・・・。
「無理なのか・・・?」
「当たり前じゃ!いくらワシとて出来ることと出来ないことがある!」
「・・・・・・・・」
「『2.5km先の照準を打ち抜く』など、そんなことが出来るものか!あんたらしくもない!その要望は人間の領域を超えておるぞ!」
「だが、それが必要なのだ」
「無理じゃ無理!そんなこと、魔法でもなきゃ不可能だて!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・そうか、じいさんでも駄目か」
「すまんな、こればかりはさすがに困りものじゃ・・・」
「そんな時こそ私にお任せ〜♪」
「・・・!?」
「誰じゃっ!!」
「はぁい、まじかる☆ひよりんだよぉ♪」

「『まじかる☆ひよりん』じゃと・・・?」
「・・・・・・・・・どこから入った?」
「そんなことはどうでもいいです〜♪ 私は無茶な要求をするデューク東郷さんの願いを叶えるために魔法の国からやって来た、魔法少女なんですから〜♪」
「このお嬢ちゃんは一体何を言っとるんだ。魔法なんて馬鹿なことを言いおって。誰がそんなことを信じるものか。のう、ゴルゴ13・・・?」
「・・・・全くだな」
「またまたぁ、デューク東郷さん自体が不可能の塊みたいなもんじゃないですかぁ♪ そんな人の口から奇跡が起こらないなんて聞きたくないですよぉ、るんららぁ♪」
「俺は別に奇跡を起こしているわけじゃない。必要な限りの情報を収集し、目的を達成するに足る銃と装備を整え、自分の力量がそれを可能だと判断した場合にのみ引き金を引く。ただそれだけのことだ。すべて俺の器量の範疇だ・・・。」
「う〜ん、お堅い人ですねぇ・・・。まあそういうことにしときましょう♪ でも今回は、そんなデュークさんが頼みにしているおじいさんでさえ不可能だと言い切った仕事をやろうとしている。そういうことですよね〜?」
「・・・・・・・・・・そうだ」
「さすがのワシでもお手上げじゃよ・・・」
「だからこそ私の出番なんですよぉ。デュークさんと同じに、私にも絶対の武器がありますから〜♪」
「・・・武器?」
「はい〜♪ それが私の魔法と、それを可能にするこの『まじかるハンマ・・・』」
「待て・・・!」
「・・・・・え?」
「ゆっくりだ。ゆっくり出してもらおう・・・」
「え・・・。そ、そんな、ゆっくりだなんて・・・。せっかくの決めポーズが円滑に進まないじゃないですか・・・」
「俺はお前の決めポーズに興味は無い。そして俺の前に立ったからには無闇な行動は死に繋がる。そのことを充分に認識してもらおう・・・」
「う゛・・・怖い・・・」

「もう一度言う。その後ろに隠したハンマーとやらをゆっくりと出すがいい。 少しでも妙な動きがあれば、俺の銃は容赦なくお前の胸を貫くだろう・・・。分かったか?」
「は、はうっ!わかりました・・・」
のそりのそり・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「は、はい・・・。こ、これが魔法のハンマー、「まじかるハンマー」ですぅ・・・」
「・・・・・・・なるほど。で、それで何をするつもりだ?」
「え、えーと・・・。デューク東郷さんのライフルを2.5km先の的に当たるようにぃ、このまじかるハンマーを使って魔法改造しようと思うんですけどぉ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、あのあのっ! お呼びでないなら帰りますぅ〜!びくびく・・・」
「待て・・・」
「は、はい・・・!」
「この場所はいわば限られた人間だけが出入りする武器屋だ。 そこに今招かれざる客が存在している・・・。 俺がお前を黙って帰すとでも思っているのか?」
「えっ!そ、そんなぁ、私は人に喋ったりなんかしません〜・・・・!」
「お前の言葉を判断するのは俺だ。言葉の裏付けを取らないままお前を信用するほど、俺は自信家じゃない・・・」
「にゃうん・・・!それじゃあ私は・・・」
「さっき言った魔法とやらを証明するか、死体となってここを出るか。二つに一つじゃな・・・」

「えぇ〜っ、そんなぁ! 魔法は絶対に成功するとは限らないですし・・・・」
「駄目ならば話はこれで終わりだ。そしてお前の命も同時に終わる・・・」
「う、うえ〜ん! まだ死にたくありません〜・・・!」
「結局この場に居合わせたからには、お嬢ちゃんよ・・・。生き残る道は一つじゃ。 その魔法を使ってゴルゴ13の依頼を遂行するしかないな・・・。彼はきちんと仕事をこなす人間の命は大切にする男じゃて・・・」
「にゃうん・・・」
「で、やるのかやらないのか?はっきりしてもらおう」
「・・・や、やります〜。 やるしかないです〜・・・」
「よし、では早速やってくれ・・・」
「は、はい・・・。 で、では行きます〜。 どうか失敗しないで〜、どきどき・・・」
「・・・・・・・・・・」
ピンプルパンプルロリポップン・・・
まじかるまじかるるんららぁ・・・
「そぉれ、お願いだからライフルの性能良くなれ〜。にゃう〜ん・・・」

ピロリロリンッ・・・・♪
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・これで、終わりか?」
「は、はいぃ・・・!デューク東郷さんのライフルは、魔法によってかつてない進化を遂げた・・・!はずですぅ・・・」
「何と不鮮明な回答じゃ!プロの風上にも置けんな! ハンッ!もし失敗しても言い訳にならんぞお嬢ちゃんっ・・・!」
「う゛、う゛う゛・・・・・・」
「それは試してみれば分かることだ・・・。 じいさん、早速このライフルを使ってみる。標的を飛ばしてくれ。距離は2.5kmだ・・・。」
「分かった、あんたがそう言うのなら・・・。それでは行ってみるかっ!」
「うむ・・・・!」
「ど、どうか当たりますように・・・・」
射撃テスト―――
「はっ!!」
シャッ・・・!
ズギューンッ・・・!!!
ビシィッ・・・!!
「な、何と!!命中しおったっ!!」
「もう一発だ・・・。 はっ!!」


「わわわ、やった〜・・・!成功したよ〜・・・!」
「こりゃ驚いたわい!魔法もまんざら捨てたもんじゃないのう?」
「・・・・うむ、確かに良い仕事だ。まじかる☆ひよりんの魔法とやらは確かに見せてもらった」
「そ、それは光栄ですぅ。 じゃあデューク東郷さんの悩みも解決したことですし、私はこれで・・・・」
「待て・・・」
「え・・・?成功したんだから、私は無事に帰れるはずじゃあ・・・?」
「そうじゃない・・・。 俺の注文を完全に遂行したお前に報酬を払わなければならない。 ここに2万ドルある。全額受け取ってもらおう・・・・」
「え、えぇ〜っ!!そんな、報酬だなんて・・・!私はお金の為に魔法少女をやってるわけじゃないですから・・・」
「先も言ったはずだ。俺は俺のポリシーで動く・・・。それに則った時、お前に対する正当な報酬を俺は支払わなければならない」
「で、でもこんな大金・・・」
「受け取れないとでも言うのか?」
「はうんっ・・・!ありがたく頂きます〜・・・」
「・・・・・・・・・・・・よし。これで契約完了だな。」
「は、はいぃぃ・・・・! まじかる☆ひよりんのご利用ありがとうございました〜。 じゃあ今度こそ失礼を・・・」
「待て・・・」
「はうっ!ま、まだ何か・・・?」
「こんなところに独りで来たのだから、帰り道が辛いだろう。送ってやるから車に乗れ・・・」
「そ、そんな。どうかお構いなく・・・」
「乗れないと言うのか・・・?」
「にゃうん・・・。の、乗りますぅ〜・・・」
「そうじゃお嬢ちゃん。ゴルゴ13が他人を気遣うなど滅多に無いこと。素直に甘えておくが良いじゃろうな」
「ううぅ・・・しくしく・・・」
「それにこの男は狙撃術だけでなく、そっちの方も相当鍛えこんでおるからのう・・・。期待して良いぞお嬢ちゃん!」
「え゛・・・?それって、まさか・・・・」

「・・・・・・しゃべりすぎだな、じいさん」

「おお悪い悪い、年甲斐もなく興奮してしまったわい・・・。 それにしても年老いたマダムから若々しい生娘まで思いのままに操るその手練手管。まったく、ゴルゴ13よ・・・」
「あんたも相当好き者じゃのう!」

「ちょ、ちょっと待って下さい〜!やっぱり私、遠慮しておきます〜・・・!」
「いいからさっさと乗れ・・・」
「それじゃあお嬢ちゃん!屈指のテクニシャンにうんと可愛がってもらうがいいぞ・・・!」
「う、うぇ〜ん!健ちゃ〜んっ・・・!」
グイッ・・・! ドサッ・・・! バタン・・・!
ブロロロロロロッ・・・・・・!
「・・・・・・・・・・・・行ってしまったか。 まったく子供をからかいおって、ゴルゴ13も人が悪い・・・。 まあ魔法が使えるとは言え、所詮肝っ玉はヒヨッコ。 まだまだ若いのうお嬢ちゃん、ククク・・・」
そして車内で―――
デューク東郷は、獣のような目つきでひよりんを凝視していた・・・。
「な、なにえっちな目で見てるんですか・・・?」
「・・・・・・・・・・・」
「無理矢理なんていけませんよぉ・・・。そんなことをしたら人を呼びますよぉ・・・。びくびく・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「そ、それに私には好きな人がいるんですぅ・・・。あと、おじさんには全く興味が無いんですぅ・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・」
「だ、だから考え直して下さいませんか〜? ぐっすんしくしく・・・」
ジィーッ・・・・

「・・・・・はうっ! お願いですからそんな舐めるように見ないで下さい〜・・・」
「・・・・・・・よく喋る女だな」
「え・・・?」
「別にお前をどうこうする気など無い。俺は来る者は拒まないが、強要もしない主義だ。安心して座っているがいい・・・」
「そ、そうなんですか・・・?うわぁ、よかった〜♪ もう〜、デュークさんは威圧感ありすぎですよぉ♪」
「これが俺の普通だ。放っておいてもらおう」
「はうっ!失言でした・・・」
「うむ・・・。ところで、まじかる☆ひよりんへの連絡方法は?」
「・・・・・・・はい?」
「俺は同じ人間と二度会うことを好まないが、例外もある。今回のようなことがあった場合、俺はお前の魔法とやらに頼むことがあるかもしれない。 そんな時連絡方法が分からないようでは困る。 だからお前とコンタクトを取る方法を教えて欲しい」
「そそそそ、それは駄目ですぅ!!」
「何故だ?必要な情報を入手するのはビジネスの基本だ。お前の魔法とやらが有意義だと判断したからこそ、俺も聞いているのだ。 お前としても、それだけの仕事が出来るのなら充分に成り立つビジネスのはずだが?」
「な、何でもビジネスに繋げないで下さい〜・・・」
「・・・・・・・」
「い、いえそうじゃなくって・・・!あ、あの私魔法の国に住んでますから!だから連絡取りたくても取れないんです〜!今日は偶然通りかかっただけなんです〜・・・!」
「・・・・・・・そうか、残念だな。ならば次はその偶然に期待するとしようか」
「わ、私もそう願います〜、おろおろ・・・」
「・・・・・・・・さて、どうやらこのあたりでお別れのようだな。 後はあの電車に乗れば空港まで直行だ。乗っていくといい。」
「は、はははい!あ、ありがとうございました〜・・・!」
「うむ、ではまた会う日まで」
「ま、また会う日までぇ・・・」
バタン・・・!
ブロロロロ・・・・・・・・!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
ガクガク・・・ブルブル・・・・・
「う゛・・・・・・・・・・・」
「うえーん!怖かったよぉ、ばかぁ〜〜!!!」

ガシャーンッ・・・・!
「Oh!crazy girl!」
「Hey、you! Don't move!」
「うえ〜んっ・・・・・・!!」
魔法が大成功した日。
ひよりんが恐怖を感じた日。
八つ当たりのまじかるハンマーが猛威を振るっていた・・・。
そして1週間後―――
A国の首脳が何者かに暗殺されたとのニュースが、新聞の一面を飾っていた・・・・。
こうして今日も、まじかる☆ひよりんは大活躍でした。
「テロリストは命懸け。魔法少女も命懸け。冗談が通じない人も居るんだねぇ・・・。ぐっすん・・・」

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